目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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しばらく、さんざん食べたり飲んだりして、みんなでゴロンと横になりました。
カナリアがみんなのために、歌をうたってくれます。

そこへ、2羽のツバメが急いでやってきました。
あわてて、とても興奮しています。

「先生! 海賊が入り江まではいっきて、先生の船をのっとってしまいました。全員で、船底に盗みにはいっています。」

「ええ!」

「でも、今、あいつらの船にはだれもいません。すぐにもどれば、海賊船に乗りこめます。あの船はすごくスピードがでるから、逃げられます。急ぎましょう!」

「それはいいアイデアだ。素晴らしい!」

先生は、すぐにみんなを呼び寄せると、

「カナリアよ! いい歌だった!」

カナリアに別れを告げて浜辺へ走りました。

海岸につくと、赤い帆を3本立てた海賊船が浮かんでいるのが見えました。
それから……まさしくツバメのいったとおりです。
船にはだれもいません。
海賊は全員、先生の船に盗みにはいっているのです。

「そおっと移動するんだ。そおっとだぞ」

全員、海賊船に忍び込みます。

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第15章 バーバリー・ドラゴン

すべてはうまく行くはずでした。
ブウブウが島でサトウキビを食べているときに、カゼさえひかなければ。

イカリを静かに引き上げ、そおっとそおっと、船を入り江から出そうとしていました。

ところが……。

「ブワックショイッ!」

ブウブウが突然、大きなクシャミをしたのです。

「なんの音だ!」

もう片方の船にいた海賊たちが、甲板に上がってきました。

「あ、あいつら、俺たちの船を!」

海賊は、先生が逃げようとしているのに気づくと、入り江の出口をふさごうと船を動かし始めました。
そこをふさがられると、先生の船は外海に逃げられなくなってしまいます。

悪党たちのボスが拳をふりあげ、海の上で叫んでいます。
このボスは、自分のことをベン・アリ・ザ・ドラゴンと名のっていました。
まるで竜のようなベン・アリという意味です。

「ハハハ! 逃げられないぜ、お客さん! さ、オレの船から下りるんだ。このベン・アリ・ザ・ドラゴンに勝てるはずがない。ほう、アヒル……ブタもいるのか。今夜は、焼き豚に焼き鳥だ! 助けて欲しかったら、知り合いに頼んで、トランクいっぱいの金貨を用意するんだ」

「ひいいいいー。ブヒブヒヒヒイイイイー!」

かわいそうに、ブウブウは涙をながして泣いています。
ダブダブは飛んで逃げる準備をしています。

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ホーホーが先生に耳打ちしました。

「あの海賊、ずうっとしゃべらせときなはれ。おもろなりまっせー。わしらのボロ船、すぐに沈んでしまいよるわ。明日の晩までには海の底、ちゅう話でした。ネズミのいうことは確実ですわ。ああ、おもろい! 船が沈むまで、ずっとしゃべらせときまひょ」

「なに、明日の晩までか? わかった。頑張ってみるよ……。えーと――何をいえばいいかな?」

ジップがいいました。

「くそっ! あいつら、こっちに呼んでください! 汚らしいゴロツキなんか、やっつけてやります。6人しかいないんだから。呼んでください! 帰ったら、となりのコリーに自慢できる。本物の海賊をかんでやったって。ね、呼んでください。やっつけますから!」

「しかし、あいつら、ピストルも剣ももってるぞ。むむ、いかんな。まずは話かけてみるか……。おい、こっちを見ろ、ベン・アリ――」

しかし、それ以上はコトバが続きませんでした。海賊が、ゲラゲラ笑いながら船を近づけてきたのです。
「だれが最初にブタをしとめるかな」などといっています。

「あわわわわわわわ、ガクガクブルブル……」

かわいそうに、ブウブウはふるえています。

オシヒッキーは、戦闘にそなえて、頭のツノを船のマストを使ってとぎはじめました。
ジップは飛びはねながら、吠えたり、イヌ語でベン・アリをののしったりしています。

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しかし、そのうち海賊の様子がおかしくなってきました。
笑ったり、ギャグを飛ばしたりしてたのをやめました。
困った顔をしています。
何か、心配なことが起きたのです。

ベン・アリは、じっと足元を見つめていましたが、突然、どなりました。

「なんてこった! 野郎ども、水だ!」

他の海賊は、船の側面をじぃーっと見ました。
船の水位はどんどん低くなっています。

海賊のひとりがベン・アリにいいました。

「でも、ほんとに沈むボロ船だったら、ネズミが出て行きますぜ」

ジップが海賊たちに向かって叫びました。

「このバーカ! ネズミはもう、逃げたあとだよー! 2時間前に出てったよー! ハハハ! 逃げられないのはそっちの方だぜ、お客さん!」

しかし、もちろん、海賊にはジップが何をいってるのかわかりません。

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やがて船のへさきが傾き始め、どんどん下がっていって、逆立ち状態になりました。
海賊は、船の手すりやマストやロープやらなにやら、とにかく滑り落ちないよう、つかまるのに必死です。

そこへ、海の水がうなりながら窓やドアから侵入します。
やがて、ごうごうという恐ろしい音とともに、ついに船は海の底へと沈んでしまいました。
6人の海賊は深い海に放り出されて、アップアップしています。

そのうちの何人かが、島の海岸に向けて泳ぎ始めました。
先生の船を目ざす連中もいます。
しかしジップが、そいつらの鼻にかみつくので、恐くて上がってこれません。

突然、恐怖の叫び声があがりました。

「サメだ! サメがいる! 船にのせてくれ、食われちまう! 助けて、助けて――サメ、サメ!」

先生の目にも見えました。
入り江一面に、サメの大きな背ビレが、スイスイと泳ぎ回っているのです。

その中から、大きなサメが一匹、船に近づいてきて、鼻先を海面からつきだして先生に話しかけました。

「ドリトル先生でございますか? 有名な動物のお医者さまの?」

「ああ、そのとおりだ」

「よかった。この海賊ども――とくにベン・アリは、とんでもない悪党なんです。もし、先生がお困りなら、てまえどもでよろこんで頂いてしまいますが、いかがいたしましょう――そうすれば、面倒なことはすべて消えますが」

「ありがとう。その心づかい、まことに感謝する。しかし、食べてしまうまでもないだろう。それより、あの海岸に向けて泳いでる連中、あれの邪魔してもらえるかな。わしがいいというまで、しばらく泳がせておきたいんだ。いいかな? それから、ベン・アリをここまで連れてきてくれんか。話があるんだ」

サメはベン・アリのところへ行くと、先生のいるところまで追い立ててきました。


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