目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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今日は天気もよく、先生とダブダブは運動のため、船の階段を上ったり下りたりしています。
涼やかな風が船にそって吹いています。
みんな気持よさそうにしています。

そんなとき、ダブダブは水平線のかなたに他の船の帆を見つけました。
赤い帆です。

「あの帆、なんだかイヤーな感じ。凶悪っていうか。なんか、もめごとがおそってくるような、イヤな予感がする」

ジップはぽかぽか日和のなか、寝ころがって、うとうとしていましたが、寝言でうなり声を上げ始めました。

「うー。……牛肉を焼くニオイがする。……生焼けの肉だ。茶色い肉汁がかかってる」

……などと、もごもごいっています。

「おやおや、このイヌはどうしたっていうんだ? 寝ながら鼻をピクピクさせて、何をいってるんだ?」

先生ががそういうと、ダブダブが答えました。

「イヌが寝てる時に鼻をピクピクさせるのは、ふつうだと思いますけど?」

「でも、何のニオイをかいでるんだ? この船では肉なんて焼いてないぞ」

「ちがいますよ。それはあっちの船からにおってくるんです」

「しかし、20キロ近くは離れてるぞ。いくらイヌでも、とおすぎてムリだろう?」

「いえいえ、イヌならかげますよ。きいてみたらどうです」

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ジップはまだぐっすり眠っています。

「ウウウ……」

しかし、また、うなって、くちびるを怒ったようにゆがめました。
きれいな白い歯がのぞきます。

「悪党の匂いだ。いままでかいだ中で一番たちが悪い。もめごとの匂いがする。ケンカの匂いだ。勇敢な男が6人のならず者と戦っている。あの人を助けないと。あ……あ……ああ!」

ジップは大きく吠えました。
そして驚いた顔つきで目をさましました。

「見て!」

ダブダブが叫びます。

「あの船、もうこんな近くに来てるわ。大きな帆が3枚……真っ赤だわ。だれかわからないけど、あたしたちを追いかけてる……だれかしら」

ジップがいいました。

「悪党だ。それに、あの速さだ。きっとバーバリーの海賊だよ」

「よし、船の帆をもっと張るんじゃ。もっとスピードを出せば、逃げられるじゃろう。ジップ、お前は下へ行って、もてるだけ帆をもってこい」

ジップは急いで下へおりて、あるだけの帆を引きずってきました。

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しかし、すべての帆がマストに張られ、風をはらんでも、海賊船にくらべると、話にならないスピードしかでません。
どんどん追いつかれます。

ブタのブウブウがわめきます。

「この船、ダメじゃん。あのダメ王子。一番おそいのを見つけてきたんだな。こんなボロいオモチャみたいなので逃げられっこないよ。バケツレースかよお! うえーん……ブヒブヒー!」

先生がアヒルに命じます。

「ダブダブ! 海賊が高速船で追いかけてくる。どうしたらいいか、ツバメに聞いてきてくれ」

「わかりました!」

ツバメの代表が降りてきました。

「先生、長いロープをほぐして、たくさんの細いヒモを作ってください。できるだけ早く!」

「わかった」

ほぐしたヒモを船の先に結びつけると、ツバメはそのヒモを自分たちの足にくくりつけ、飛び上がりました。
すべてのツバメで船を引っ張るという作戦です。

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個々のツバメはそれほど強い鳥ではありません。
しかし、これほどの数のツバメがいっせいにとなると話はちがいます。

いま、先生の船には千本以上ものヒモがのび、その1本1本を2千羽のツバメが引いているのです。

恐ろしいほどの速さになりました。

あっというまに、スピードがあがります。

先生は、帽子を両手でおさえました。
海面が泡立ち、荒れ狂う波のあいまを進む船は、まるで空を飛んでいるようです。

猛スピードの船の上で、動物はみんな笑えてきて、踊っています。

ふり返ると、海賊の船はどんどん小さくなっていきます。
赤い帆は遠くに消え去り、見えなくなってしまいました。

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第14章 ネズミの警告

船を引いて海を走るのは大変な作業です。

2、3時間もすると、羽根がつかれ、息も切れ、ツバメはしばらく休憩したいと先生にいってきました。
近くの島に移動して、息がもどるまで入り江の奥に船をかくしておくというのです。

やがて、ツバメのいう島がみえてきました。
島の真ん中には、とてもきれいな、緑にあふれた高い山がありました。

船はゆっくりと入り江にはいりました。
ここなら外海からは見つかりません。

「わしはちょっと、水を探しにいってくる。もう、船の中のは切れてきたからな」

先生はそういって、船をおりました。

「みんなもどうだ? 外に出て、草の上で転がったり、足をのばしたら?」

それを聞いて、みんなが外に出ようとすると……。

「おや、なんじゃ?」

たくさんのドブネズミが船底から階段を上がってきて、船から出ていくではありませんか。

「ヒャホッー! ネズミだ、ネズミだ! まてまてー」

イヌのジップが大よろこびで、ドブネズミを追いかけ回しました。
こうやってドブネズミを追いかけて遊ぶのが、イヌにはたまらないのです。

しかし、先生はジップをしかりました。

「こら、やめんか! ジップ!」


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