目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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さて、オシヒッキー、白ネズミ、ブウブウ、ダブダブ、ジップにホーホーは先生といっしょに船に乗り込みました。

しかし、チーチーとポリネシア、ワニは残ります。
アフリカこそがふるさとで、うまれたところですから。

先生は船の上に立ち、海のかなたを見やりました。
そのとき、思いいたったのです。
パドルビーに帰る道を、だれも知らないことを。

月明かりのなか、広い広い海は、おそろしいほど大きく、さびしく見えます。
先生は不安になってきました。

陸地が見えなくなってしまったら、海で迷ってしまうかもしれない。

ところが、そのとき、妙なささやくような雑音が聞こえてきました。

「なんだ? あの音は……」

その音は、夜空の高いところからやってきます。
みんな、別れのあいさつはやめて、耳をすませました。

音はますます大きくなってきます。
すぐ近くまできているようです……秋の風がポプラの葉を揺らすような、強い強い雨が屋根を叩いているような音にもきこえます。

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ジップが鼻をつきだし、シッポをまっすぐに立てました。

「鳥だ! 何百万もいる……すごい速さでとんでくる……あれだ!」

空を見上げると、丸い月を横切る筋のようなものが見えました。
まるで、小さなアリが巨大な群れをなしているような筋です。
それは、何百何千もの小さな鳥でした。

やがて、空全体が鳥でおおわれました。
それでも、鳥の数はまだまだふえつづけます。

あまりの数に月が隠れて光が見えず、海は、嵐の雲が太陽をさえぎった時のように、黒々としたものになってしまいました。

やがて、すべての鳥が舞い降りてきました。
水面をかすめて浜におりてきます。
夜の空はふたたび晴れ上がり、月の輝きがもどりました。


鳴き声を出したり、さえずりを立てる鳥はいません。
しかし、あまりにおびただしい数の鳥の、羽のこすれあう音が耳を圧倒します。

鳥は砂地に広がっています。
船のロープに列をなします。
森以外のすべての場所をうめつくします。

鳥は青い羽と白い胸を持ち、足にはとても短い羽毛がはえています。

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すべての鳥がおりたつと、音がやみました。

あたりを静寂と平穏が包みます。

静かな月明かりの中、ドリトル先生はいいました。

「こんなに長くアフリカにいることになるとは思ってなかったんだ。そうか……。家に帰ったら、もう夏か……。ツバメが帰る季節だ。なのに、ツバメたちよ! わしらを待っていてくれたんだね。……感謝する。なんという思いやりだ!」

先生はみんなの方をふりかえりました。

「さあ、もう何も恐くはない! 海で迷うことはない。イカリをあげろ。出発だ!」

船が海へとこぎ出されました。

チーチーとポリネシア、ワニは残ります。
急にさみしさがつのります。
三人とも、沼のほとりのパドルビーの、ドリトル先生が大好きでした。
今まで生きてきて、こんなに好きな人はいなかったのです。

みんな、何度も何度も何度も、さよならをくり返しました。
岩場にたちつづけて、涙が枯れるまで泣きました。
船が見えなくなるまで手をふりつづけました。

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第13章 赤い帆と青い翼

途中、先生の船はバーバリー沿岸を通ることになります。
このあたりは大砂漠の海岸で、砂と石ころしかない荒れ果てた寂しい土地です。
そして、ここにはバーバリーの海賊がいるのです。

この海賊は悪党の集まりで、海岸で船が難破するのをまちぶせ、通りがかりの船を見つけると、自分たちの高速船で追いかけます。

そして、海の上で相手の船を捕まえると、荷物をすべて奪い、乗っている人をさらい、船を沈め、歌を歌い、自分たちの悪事を誇りながら、バーバリーへと帰っていくのです。

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今日は天気もよく、先生とダブダブは運動のため、船の階段を上ったり下りたりしています。
涼やかな風が船にそって吹いています。
みんな気持よさそうにしています。

そんなとき、ダブダブは水平線のかなたに他の船の帆を見つけました。
赤い帆です。

「あの帆、なんだかイヤーな感じ。凶悪っていうか。なんか、もめごとがおそってくるような、イヤな予感がする」

ジップはぽかぽか日和のなか、寝ころがって、うとうとしていましたが、寝言でうなり声を上げ始めました。

「うー。……牛肉を焼くニオイがする。……生焼けの肉だ。茶色い肉汁がかかってる」

……などと、もごもごいっています。

「おやおや、このイヌはどうしたっていうんだ? 寝ながら鼻をピクピクさせて、何をいってるんだ?」

先生ががそういうと、ダブダブが答えました。

「イヌが寝てる時に鼻をピクピクさせるのは、ふつうだと思いますけど?」

「でも、何のニオイをかいでるんだ? この船では肉なんて焼いてないぞ」

「ちがいますよ。それはあっちの船からにおってくるんです」

「しかし、20キロ近くは離れてるぞ。いくらイヌでも、とおすぎてムリだろう?」

「いえいえ、イヌならかげますよ。きいてみたらどうです」


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