目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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「うん。行く気になった」

オシヒッキーは答えました。
じつは、先生の顔を見た瞬間から、この人は信用できると思っていたのです。

「先生は、ここの動物にすごく親切にしてくれたよね。それに、役にたてるのはボクしかいないって、サルがいうし。でも、約束してよね。もし都会がいやになったら、すぐに帰らせてよね」

「もちろんだとも。きっと約束するよ。ところで、お前さんはシカの仲間かな? ちがうかな?

「うん、そうだよ。アビシニアン・ガゼルと、アジアティック・シャモアがお母さん系で、お父さんのひいおじいさんが最後のユニコーンだったんだ」

「それはおもしろい!」

先生はそういうと、ダブダブが詰めているトランクから本を出してきて、ページをめくりはじめました。

「博物学者のビュフォンはなんていっておったか……」

「あの。ちょっと気になることがあるんだけど」

ダブダブが質問します。

「あなたって、片方の口だけでしゃべっているみたいだけど、もう片方の口は使えないのかしら?」

「ううん、使えるよ。でも、こっちは食べるの専用なんだ。それだと、食べながらしゃべらないですむから、行儀がいいだろう。ボクらの種族は、みんなとても行儀がいいんだ」

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荷物を詰めおわり、出発の準備も整ったころ、サルが、先生のために盛大なパーテイーを用意しました。
ジャングルの動物もすべてやってきました。
パイナップルやマンゴーやハチミツや、その他たくさんのおいしい食べ物や飲み物を食べました。

食事のあと、先生は立ち上がりました。

「友よ。ワシは夕食のあとは頭が働かないので、長いスピーチはできない。そういう体質なんじゃ。そして、まさに今、フルーツだのハチミツだの、たらふく食べたばかりだ。しかし、これだけはいいたい。みなさんの住む、この美しい土地からはなれるのは、とても残念だ。しかし、やる事があるので、ワシは都会へもどらねばならん。みなさん、ワシがいなくなっても、これだけは忘れないでください。食べ物にハエがたかったままにしない。雨が降っているときは、地面に寝ない。えーと、えーと、では、これからも、みんなで楽しく暮らしてください。おわり」

先生が座ると、サルの拍手が長いあいだ続きました。
口々にいいます。

「この木の下で、先生とわれわれがともに座り、食したことを、いつまでも忘れず、伝えようじゃないか。先生は、本当に一番偉大な人間だ!」

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そこで、毛むくじゃらな腕をもつ、7馬力もの大ゴリラが巨大な岩を転がしてきました。

「この石は、この場所を永遠に記念するものである」

この石は、今日もなお、ジャングルに奥地の同じ場所にあります。
そして、たまに親子のサルが近くを通りかかったりすると、木々のあいまから石を指さして、こどもに伝えるのです。

「しずかに……あれをごらん。大疫病の年、善なる人とわたしたちが、あそこで一緒に食事をしたんだよ」

パーティーが終わると、みんなで海岸へ向かって出発しました。

サルは全員、先生のトランクやカバンを持って、サルの国のはずれまでついてきて、先生を見送りました。

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第11章 キモメン王子

川のほとりで立ち止まり、みんなでお別れをいいました。
お別れは長い間つづきました。
何千匹ものサルがドリトル先生と握手をしたがるからです。

やっと、なかまだけになってから、ポリネシアがいいました。

「ジョリギンキをとおるときは、そおっと歩いて、声もおとして行かないといけません。見つかったら、またつかまってしまいます。私がだましたことを、きっと根にもってますから」

「それにしても、こまったのう。帰りの船をどうしたものか。……ま、いいかあ。海辺にだれも使ってない船が転がってるかもしれん。取り越し苦労はやめておこう」


ある日、ジャングルの中の、とても木々の深い場所を通っていたときのことです。

チーチーが、ココナッツをさがしに木の上へ登っているすきに、道を知らないみんなは迷子になってしまったのです。
ジャングルの中をグルグルグルグルまわってしまい、全然海にいけません。

チーチーは、みんながいないことに気づいて、大あわてです。
高い木に登り、こずえのてっぺんから見渡して、先生の背高帽子をさがします。

「おーい! どこいったー!?」

手をふり、大声をあげます。
みんなの名前も呼びます。

でも、見つかりません。
まるで、いっせいに消えてしまったかのようです。

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じつのところ、みんな、かなりひどい目にあっていました。

本来の道から大きくそれてしまい、ヤブやツルがひどくおいしげったジャングルの中では、身動きをとるのですら、大変でした。

先生はポケットからナイフを出し、道を作りながら進みました。

しめってジュクジュクしたところでよろめきます。
ヒルガオのツルが足にからまります。
イバラが肌をさします。
ヤブの中で、薬カバンを二度もなくして、さがしました。

永遠の責め苦のようでした。
どうしても、元の道にもどれないのです。

苦難は何日も続きました。
服はやぶれ、顔は泥だらけになり、そして、こともあろうに王の住む宮殿の裏庭に出てきてしまったのです。

王の兵隊はあっというまに飛び出して、先生たちを捕まえてしまいました。

しかし、ポリネシアだけはに庭の木に飛んで逃げました。
だれもそれを見てなかったので、まんまと隠れることができました。
先生と残りの動物は王の前までつれていかれました。

王は大きな声を上げました。

「ハッハッハッ! やっと捕まえた! こんどこそ逃げられんぞ。全員、牢屋にぶちこんでカギを二重にかけておけ。そいつには、一生台所の床みがきをさせるのじゃ!」

みんな、またもや牢屋に逆戻りです。
朝には台所の床みがきをするよう命じられました。


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