目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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第8章 ライオン総長

ドリトル先生は、今、目が回るのを通りこして、目玉が爆発しそうなほど忙しくなっています。

何百、何千というサルの病気をみなければいけません。
ゴリラ、オランウータン、チンパンジー、マントヒヒ、マーモセット、灰色ザルから赤いのまで、サルというサル、すべての種類がやってきます。
死んだサルもたくさんいます。

先生が最初にやったことは、病気のサルとそうじゃないサルを分けることでした。
次に、チーチーとチーチーのいとこにいって、葉っぱでできた小屋を作らせ、そこで、まだ病気になってないサルに予防注射を打つことにしました。

それから三日三晩というもの、ジャングルから、谷から、丘から、その小屋めざして、サルが続々とやってきました。

先生は、昼も夜も、ただただひたすら予防注射を打ちつづけました。

つぎに、先生は大きい小屋をもうひとつ作らせました。
ベッドのたくさんある小屋です。
病気のサルはすべて、その小屋に寝かせました。

しかし、あまりにサルの数がおおいので、看病の手がたりません。

先生は、他の動物に応援を頼みました。
ライオンや、ヒョウ、レイヨウといった動物に、看病の手伝いに来るようたのんだのです。

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ところが、ライオン族のヘッド、ライオン総長はとてもタカピーなヤツでした。
患者であふれている小屋に来たときも、肩をいからせ、上から目線でした。

ライオン総長は、先生にガンを飛ばします。

「先生よう。マジ、オレに頼んでんの? いっとくけど、オレ、百獣の王なんだけど。こんな汚ねえサル、めんどう見るなんてありえねえ。エサにもなんねえぜ!」

かなり恐かったのですが、先生はがんばって平気な顔を作りました。

「だれもエサにしろなんていってない。それに、汚くなんかないぞ。サルはみんな、毎朝風呂にはいっとる。お前の毛皮こそ手入れが足りないんじゃないか。いいか。わしのいうことをよく聞くんじゃ。いつか、お前さんたちも病気になるかもしれない。今、ほかの動物を助けておかないと、いざ困ったとき、お前たちライオンは仲間はずれになるぞ。あんまりえらそうにしてると、そういうことになるんじゃ。ほんとだぞ」

すると、ライオン総長は、鼻を高くしてこういいました。

「困ることなどねえ。ライオンは、いつも、困らせる方だ」

ライオン総長は、「決まった!」といわんばかりに、ノッシノッシと気取った歩き方で、ジャングルに姿を消しました。

同じように、ヒョウもタカピーな態度で、手伝わないといってきました。

となると、レイヨウも手伝いません。
ただ、レイヨウは草食系なので、ライオンほど高飛車なことはいいません。
足で地面をガリガリひっかきながら、

「だってぇ、看病とかぁ、したことないしぃ」

といって、ヘラヘラ笑うのです。

さあ、気の毒なことに、先生は死ぬほど困り果てました。
どうすれば、何千ものサルを、まともに世話することができるのでしょう?

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一方、ライオン総長です。
巣にもどると、奥さんライオンがあわててかけ寄ってきました。

「うちのチビ。食欲ないんだけど、どうしたんだろうね。昨日の晩から何も食べないんだよ」

オロオロして、泣き出します。
恐ろしいライオンといっても、そこはやはりお母さんなのです。

巣の中には、とてもかわいい小ライオンが2匹、床に寝ています。
ですが、たしかに片方の様子が変です。

それはそれとして、まずはライオン総長はドリトル先生とのやりとりを、奥さんに伝えました。

「なあ、聞けや……」

うれしそうに自慢げに語りました。

それを聞いて、奥さんは怒り狂ってライオン総長を巣から追い出しました。

「どこまでバカなんだ、てめえは! アフリカ中の動物がみんな、いってんだぜ。あの人はえらい先生だって! どんな病気だって治すって! マジで親切だって! 動物語しゃべれんのは、世界中でこの人しかいねえって! それが今まさに。こどもが病気になってる今この時に、出かけていって、怒らせてきやがった……。このタコ親父! 大先生に、なめたマネしやがって……そんなバカいねえよ! てめええええ!」

奥さんは、そう叫んで、ライオン隊長のたてがみをひきちぎりはじめました。

「イテテテ……イタイ、イタイ!」

「すぐにその人のところにもどるんだよ! でもって、あやまってこい。すんませんでしたって。他のライオンも全部つれてくんだよ! てめえの、あの頭からっぽの子分どもだ! ああ、あとそれから、バカヒョウとレイヨウもな。行ったら、先生のいうことは、なんでも聞くんだ。きっちり働けよ! そしたら気分を直して、あとでうちの子もみてくれるさ。ほらほら、早くしろッ、つッてんだろ! ちったあ、父親らしいことしろよな!」

それだけがなり立てると、奥さんライオンはとなりの巣にいって、となりの奥さんにグチりはじめました。

「まったく、ウチのダンナと来たら……」

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……というわけで、ライオン総長は先生のところへもどってきました。

「ちょっと通りかかったから、来てみたんだけどよぉ。どんな感じ?」

「まずいな。全然手が足りん。心底、困っとるよ」

「最近は、なかなか、むづいよな。だれも手伝いたがらねえし。ま、ある意味、しょうがねえんだけど……。にしても、すげえ困ってるみたいだし……なんなら、助けてやってもいいぜ……サル洗うの以外は。じつは、ダチの肉食系のヤツラにも、招集かけてきてやったんだ。ここ来て、手伝えって。ヒョウのヤツらとか、もうすぐ来んじゃね? えーと……でさぁ。ウチのチビが体調くずしてさあ。いや、オレはたいしたことないッ、つッてんだけど。ウチのヤツが心配してよお。だからもし、夕方さあ、近く来たらさあ、チビのこと、みてくんねえかなあ? どうすか?」


しばらくして、先生の顔はニッコニコになりました。

それというのも、ライオンとヒョウとレイヨウとキリンとシマウマが、つまり、森と山と草原にいるすべての動物が、先生の手伝いに来たからです。
あまりに数が多いので、つかえそうなのだけ選んで、あとは帰してしまったほどでした。

それからは、サルの病気はどんどんよくなっていきました。
週の終わりには、大きな小屋の半分が空になってしまい、次の週末には、残りの半分も治ってしまいました。

先生の仕事は終わりました。
あまりに疲れたので、寝返りもうたずに、三日間寝つづけました。


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第9章 サルの会議

チーチーは、ドリトル先生が起きるまでジャマがはいらないようにと、ドアのところで見張っていました。

やがて、先生は目をさますと、

「そろそろパドルビーへ帰らないといかんな」

といいました。

それを聞いて、現地のサルはとてもおどろきました。
サルは、先生がずっとここにいてくれるものだと思い込んでいたのです。


夜になると、そのことについて話しあうため、ジャングル中のサルが集まってきました。

まずはチンパンジーの長老が立ち上がりました。

「あの大先生は、なぜ帰るのじゃろう? ワシらと一緒だと、つまらないのじゃろうか」

しかし、だれも答えられません。

今後は、大ゴリラが立ち上がりました。

「先生にここにいてもらうよう、みんなで頼んでみたらどうだ? 家を新しくして、ベッドももっと大きくするんだ。召し使いももっと用意しよう。そうやって、気持よく暮らせますよって約束したら、もしかしたら、ずっといてくれるかもしれないぞ」

次にチーチーが立ち上がると、みんなはいっせいにざわめきたちました。

「ほらほら、見てみな! あれがチーチーだ」

「すごい冒険野郎なんだって」

「シッ、話が始まるぞ!」


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