目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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第5章 大旅行

ツバメに先導され、逆巻く波を乗りこえ、航海は丸々6週間つづきました。
夜になると、闇にまぎれないよう、ツバメは小さなランタンをくわえました。
その姿は、ほかの船からは、まるで流れ星のように見えました。

南に行けば行くほど、あたたかくなってきます。
ポリネシアとチーチーとワニは熱い太陽が大好きです。
笑いながら走りまわり、「まだアフリカは見えないかな」と船から身をのりだします。

しかし、ブタとイヌとフクロウは、こう暑くてはなにもできません。
船の後ろに置いてある大きなタルの影にはいって、ハアハアと舌をだしたり、レモネードを飲んだりしています。

アヒルのダブダブは、涼を取るため海に飛び込み、船のあとからついてきます。
しかし、そのままだと頭のてっぺんが熱くなってくるので、船の下にもぐって、逆側に顔をだしたりします。
そんな調子で、火曜日や金曜日にはニシンをつかまえました。
食料の節約のため、火曜と金曜は魚を食べる日にしていたのです。

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赤道に近づくと、トビウオの群れが近づいてくるのが見えました。
トビウオは、ポリネシアにたずねました。

「これはドリトル先生の船ですか」

「そうですよ」

「よかった!」

トビウオはとてもよろこびました。

「もう来ないんじゃないかって、アフリカのサルが不安がってたんです。来ていただいてよかったです」

「あと何キロくらいでしょうか」

「ここからアフリカの海岸まで、ほんの90キロ足らずですよ」

別の時には、ネズミイルカの群れが波間をおどるようにやってきて、またポリネシアにききました。

「これは、有名なお医者さんが乗っている船ですか?」

「そうですよ」

「なにか、旅に必要なものはありませんか?」

「そうですねえ。玉ねぎが足りないかなあ」

「すぐ近くに島に、野生の玉ねぎが生い茂ってるんです。そのまま行っててください。今行って、とってきます」

イルカはあっという間に海のむこうに消えてしまいました。
そして、これまたあっという間に、海藻でできた網を引きながらもどってきました。
中には玉ねぎがぎっしりと詰まっています。

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次の日の夕方、太陽が沈むころ、先生がいいました。

「望遠鏡をくれ、チーチー。わしらの旅も終わりに近づいてきた。もうすぐアフリカの海岸が見えるだろう」

30分ほどすると、確かに、前方になにやら陸地らしいものがみえたような気がしました。

しかし、どんどん暗くなってきて、よくわからなくなってしまいました。
すごい嵐がやってきました。
稲光と雷鳴。
暴風と大雨。
高波が船を叩きます。
そして……。

バーン!

大きな音とともに、船は動かなくなり、横にたおれました。


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「どうした!」

先生が叫ぶと、階段の下からポリネシアの声がしました。

「難破かもしれません。アヒルに、外へ出て調べるよういってください」

それを聞いて、ダブダブはすぐさま海に飛び込みました。

ダブダブは帰ってくるといいました。

「岩とぶつかって、船の底に大きな穴があいてます。水がはいってきてるので、すぐに沈んでしまいます」

「アフリカと衝突してしまったのか! やれやれ、みんな、泳ぐしかないな」

先生はそういいますが、チーチーとブウブウは泳げません。

「ロープを持ってきて!」

ポリネシアが叫びました。

「ほらね。重宝するっていったでしょう? アヒルはどこ? こっち来て、ダブダブ。ロープのはしをくわえて、岸まで飛んで、ヤシの木にくくりつけてきて。もう片方は、ここにしばりつけましょう。泳げない者は、ロープを伝って陸まで行くのよ。いわゆる『命綱』ってヤツね」

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なんとか全員無事に岸までたどりつきました。
あるものは泳いで。
ある者は空を飛んで。
ある者はロープを伝って。
先生のトランクとカバンも持って行きました。

しかし、船の底には大きな穴が開いて、もう使い物になりません。
見る見るうちに、荒波にもまれ、船は岩に叩きつけられ、砕け散った木片が海の藻屑と消え去りました。

崖を少しあがったところに、雨のあたらない居心地のいい洞窟を見つけました。
嵐が去るまでの避難場所にしました。

翌朝、太陽が昇ると、砂浜に出て体を乾かします。
ポリネシアがため息をつきました。
「おお、わがふるさと、アフリカ! もどってきたよ! 思えば、ここを去って、あしたで169年だわ。なんにも変わってない! ヤシの木も、赤い大地も、黒い蟻も昔のまんま。アフリカこそ、わがふるさと!」

みんなは、ポリネシアが泣いているのに気がつきました。
ふるさとに帰ったのが、それほどうれしかったのです。


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