目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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しかし、そのうち動物の方が心配するようになってきました。

ある日の午後、先生が台所でのイスに座ってうたたねしているすきに、ひそひそ声で動物会議がはじまりました。
算数が得意なフクロウのホーホーが計算すると、あと1週間しかお金がもたないとわかったのです。
ご飯は1日1回という計算で、です。

オウムのポリネシアがいいました。

「私たちも家のお手伝いをするべきだと思うの。少なくとも、できることはしないと。だって、先生がひとりぼっちで貧乏になったのも、全部私たちのせいでしょう?」

そりゃそうだということで、サルのチーチーは料理とぬいものを、イヌのジップは床掃除を、アヒルのダブダブはハタキかけとベッドの整頓、ホーホーは家計簿をつけて、ブタのブウブウは庭の手入れをすることになりました。
オウムのポリネシアは一番年上なので、家政婦と洗濯係です。

もちろん最初はみんな大変でした。
チーチーをのぞいて。
チーチーは手があったので、人間と同じようにできたのです。

でも、みんなすぐに慣れてきました。
イヌのジップが、ボロきれをシッポに巻いて、ほうきがわりに床をはく姿など、なかなかの見ものでした。

ついには、ドリトル先生が、「こんなにキチンとして、家がきれいになったのははじめてだ!」と驚くほど、みんなの腕もあがったのでした。

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こんな感じで、しばらくはうまくいっていました。
しかし、お金がないというのは厳しいものです。
みんなで、庭の外に野菜や花の店を出して、道行く人に、ダイコンやバラを売ったりもしました。

それでも生活費が足りません。
なのに、ドリトル先生はのん気です。

オウムのポリネシアが、

「もう魚屋で魚を買うお金がありません」

といっても、

「気にするな。ニワトリが卵をうんでウシがミルクを出しさえすれば、オムレツだってプリンだって食べられる。庭には野菜がたくさんある。まだ冬は来ないし」

「でも、先生……」

「さわぐでない。サラじゃあるまいし。あいつはうるさいんだよ。そういえば、どうしてるかなあ……。ある意味ではよくできたヤツだったがなあ。わっはっは」

しかし、その年の雪はいつもより早かったのです。
よれよれの25歳のじいさんウマが、森からマキをいっぱい運んでくるので、台所の火は申し分ありません。
でも、野菜はほぼなくなり、残った分も雪にうもれ、みんな、とてもひもじくなってきました。

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第4章 アフリカからの便り

とても寒い冬でした。

12月のある晩のことです。
みんなは台所の火のまわりに寝そべり、先生は自分の書いた動物語の本を大きな声で読んで聞かせていました。

突然、フクロウのホーホーがいいました。

「シッ! 何か外で音せえへんか?」

耳をすませると、誰かが走ってくる音が聞こえてきます。

バッとドアが開いて、サルのチーチーが息を切らせて走りこんできました。

「先生! 今、アフリカのいとこから連絡が来ました。むこうで恐ろしい病気がはやってるんです。みんなにうつって、サルが何百匹と死んでます。先生のうわさを聞いて、先生にアフリカに来てもらいたいって、病気をとめてほしいって、いってます」

先生はメガネをはずし、本を閉じました。

「だれから聞いたんだね?」

「ツバメです。外で雨どいにとまっています」

「火のそばにつれてきてあげなさい。寒さでまいってるにちがいない。ほんとうなら、ツバメは6週間前には南へ行ってるはずなんだ」

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ツバメがつれてこられました。
すっかりちぢこまって、ぶるぶるふるえています。
最初は少しビクビクしていましたが、すぐに体があたたかくなり、マントルピースのはじにとまって口を開きはじめました。

ツバメの説明が終わると、先生がいいました。

「アフリカかあ。行きたいなあ。ここは毎日寒いし。だが、キップを買う金があるかなあ? 貯金箱をとってくれ、チーチー」

チーチーは、ひょいひょいとタンスに登ると、貯金箱をとってきました。
中にはなにも入ってません。
1円も!

「たしか、300円くらいはあったはずなんだが……」

先生がそういうと、ホーホーがいいました。

「たしかにありました。けど、アナグマの赤ちゃんに歯ぁはえたとき、おもちゃのガラガラ買おてやりましたがな」

「そうだっけ? やれやれ、まったく、金というのはめんどうだ! いいよもう。気にするな。たぶん、浜へ行けば、アフリカに行く船くらい借りられるさ。ひとり、船乗りに知り合いがいる。そいつの赤ちゃんがハシカのとき診てあげたことがある。おそらく、その船乗りが貸してくれるだろう。なにしろ赤ちゃんを治したんだからな」

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次の日の朝早く、ドリトル先生は浜まで出かけて帰って来ました。

「バッチリうまくいった。船乗りが、船借してくれるってさ」

よろこんだのはワニとサルとオウムです。
ふるさとのアフリカへ帰られるというので、うれしさのあまり歌い出しました。

「つれていけるのは、おまえたち三匹と、犬のジップ、アヒルのダブダブ、ブタのブウブウ、それからフクロウのホーホーまでだ。残りのものたち、ヤマネとか、水ハタネズミとか、コウモリとかは、自分が生まれた野原に帰るんだ。わしらがもどるまでな。まあ、どうせ冬眠するんだ。問題ないだろう。それに、アフリカは体にあわんだろう」

オウムのポリネシアは海の長旅の経験があるので、船の積荷に何が必要か先生に講義をはじめました。

「船用のパンがドッサリいります。いわゆる『乾パン』ってヤツです。それから、牛肉の缶詰めもいります。あとは、イカリ」

「イカリはもともと船についとるだろう」

「念押しです。イカリは大変重要なものなんです。なにしろ、イカリがないと止まりたくても止まれませんからね。それから、ベルがいります」

「何につかうんだ?」

「時を告げるのです。30分ごとに鳴らせば、何時かわかります。あと、大量のロープもいります。船の上ではなにかと重宝します」


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