目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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やがて、ウマやウシやイヌだけでなく、野原にいるもっと小さな動物、たとえば、野ネズミ、水ハタネズミ、アナグマ、コウモリといった動物たちも、病気になると、すぐに町はずれの先生の家にやってくるようになりました。

おかげで、先生の家の広い庭は、いつでも動物の患者であふれかえっています。

あまりにその数が多いので、動物の種類ごとに、専用のドアをつくることになりました。
表のドアは「ウマ」、横のドアは「ウシ」、台所のドアは「ヒツジ」と看板を掲げました。
動物は、それぞれみんな専用のドアから出入りするのです。
ネズミでさえ、地下室から入れるちいさなトンネルが用意されました。
みんな、そこに列を作って、辛抱強く、先生が回ってくるのを待つのです。

それから数年のうちに、ジョン・ドリトル医学博士の名は、あたりに住むすべての動物に知れ渡りました。
冬になると、渡り鳥が飛んで行ったよその国で、パドルビーにはとてもすばらしいお医者さんがいると伝えます。

「そのお医者さんは動物のことばが話せて、困ったことがあったら助けてくれるんだって」

このようにして、先生は世界中の動物のあいだで有名になりました。
先生の住んでいるウエストカントリーの田舎でよりも、むしろ外国での評判の方が高いのです。
先生はとてもうれしくて、最高の毎日を送っていました。

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ある日の午後、ドリトル先生は熱心に書き物をしていました。

ポリネシアはいつものように窓にとまって、庭でゆれている木の葉をながめていましたが、いきなり大きな声で笑い出しました。

「どうしたね。ポリネシア」

先生は書き物の手をとめました。

「ちょっと考えてたんです」

ポリネシアはそういうと、また木の葉に目をやりました。

「なにを?」

「人間のことです。なんだかねえ……。人間は自分のことを一番えらいと思ってますよね? 全然、動物のことばをおぼえないくせに。何千年たっても、わかるのは、『犬がシッポををふってるときは喜んでる』だけなのに。バカバカしい!」

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「やっと先生が最初ですよ、私たちみたいに話せる人間は。あー、腹が立つ。なにが、『モノいわぬ動物たち』だ! お前の方こそモノいうな、だ。ふん!」

それからポリネシアはしばらくだまっていましたが、またゆっくりと話しはじめました。

「……知り合いに、7種類もの方法で、『おはよう!』がいえるインコがいるんです。それも口を使わずに。世界じゅうのすべての国の言葉も話せるんです。ギリシャ語も話せます。あるとき、どこかの年とった、えらそうな大学教授がこのインコを飼おうとしたんです。でも、長くは続きませんでした。インコからききました。その教授、まちがったギリシャ語を教えてたんですって。見てらんなかったって。……あのインコ、どうしたかなあ。ときどき思い出します。地理だって、だれよりもくわしかったんですよ。ああ、もしも。もしも人間が空の飛び方を覚えでもしたら、スズメくらいの飛び方でも、いばりちらすんでしょうね!」

「お前さんはかしこい鳥だ。いったい何歳になったかな? オウムと象の中には、そりゃもう、とても長生きするのがいるというが」

「正確なところはおぼえてません。182歳か183歳かのどっちかです。最初にアフリカからイギリスに来たとき、のちに王様になるチャールズ王子が、まだカシの木でカクレンボをしてました。たまたま見たんですけど、とても怖がりのようでした」

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第3章 またお金の問題

そうこうしているうちに、先生はまたもや金持ちになりました。
妹のサラも新しい服が買えて満足そうです。

患者の中には、病気が重くて1週間ほど入院していく動物もいます。
そういった患者は、よくなってくると、庭の芝生のイスにいついたりして、治ってもなかなか帰りたがりません。
先生やこの家が、とても気にいってしまったのです。
先生もお人よしなので、いさせてほしいと頼まれると断り切れません。

そんなこんなで、動物の数はますますふえていきました。

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ある日、こんなことがありました。

夕方、先生が庭のフェンスに腰掛けて、パイプをふかしていた時のことです。
イタリア人のオルガン弾きが、サルをヒモで引っ張りながらやってきたのです。
先生はそのサルを一目見て、首輪がきつすぎるのと、汚れていて、つらそうにしているのがわかりました。

先生はサルの首輪をはずすと、イタリア人に1万円札をつきつけて、いいました。

「どっか行け!」

イタリア人はカンカンに怒りました。

「これはオレのサルだ」

しかし、先生はいい返しました。

「行かないなら、その鼻にパンチだ! へし折ってやる!」

先生は背は高くないけれど、力は強いのです。

イタリア人は文句をいいながら去っていきました。
サルは、居心地のいいドリトル先生の家に住むことになりました。

ほかの動物は、このサルのことを「チーチー」と名づけました。
これは、サル語で、「赤毛」とか「元気」とか「しょうが」というような意味の、ありふれたことばです。


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