目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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ネコマンマの主人が、ドリトル先生が動物の医者になったことをふれまわりました。

すると、すぐに、おばあさん連中が食べ過ぎになったペットの、パグやプードルを連れてくるようになりました。
お百姓も何キロもかけて、病気のウシやヒツジをみせに来ました。

ある日、畑仕事につかわれてるウマが一匹連れてこられました。
このウマは、ウマ語がわかる人間がいると知ると、かわいそうなぐらい感激しました。
ウマはいいました。

「聞いてくださいな、セーンセ! 丘のむこうの獣医ったら、なーんにもわかってないんですよ。治療がはじまって、もう6週間もたつというのに、足の関節炎だっていうんです。ほんとうは目が悪いんです、あたくし。目が片方見えにくくて、メガネをいただきたいんですの! 人間みたいにウマだってメガネをかけてもいいじゃないですこと? だのに、あの丘むこうの獣医ったら、バカなんだから。目のことなんか診やしないで薬ばっかり出すんですのよ。もちろん、あたくしもいってはみましたわ。でも、あの獣医、ウマ語なんて、ひとっこともわかりゃしないんですから。メガネがいるっていうのに、もう!」

「わかった、わかった。すぐに作ってあげよう」

「先生がかけてらしてるのと、おんなじのがいいですわ。それから、レンズは絶対にグリーンにしてくださいね。そしたら、畑を2キロ四方耕したって、お日様で目を痛めなくてすみますから」

「いいだろう。グリーンだね」

診察が終わりました。
先生は、ウマがでていけるように玄関のドアをあけてあげました。

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しかし、ウマの話は終わりません。

「セーンセ、聞いてくださいな、困ってるんですのよ。人間っていうのは、だれでも獣医になれると思ってるのかしら。あたくしたちにしたら、迷惑な話なんですのよ。ホントは人間の名医になるより、動物の名医になるほうが、よっぽど頭がよくなくっちゃいけないっていうのに。うちのですね。ご主人の息子っていうのがですね。ウマのことは何でもわかってる、つ・も・り、なんですの。先生に一度お見せしたいわ。すっごいデブで、目が肉にうもれてるんです。脳みそが小っさくて、ジャガイモにつく虫くらいしかないんですのよ。先週なんか、あたくしの体にカラシの湿布を貼ろうとするんで……」

「どこに?」

「どこにも貼らせませんよ! 貼ろうとするんで、けっとばしてやったんです。アヒルの池にけり落としてやりました!」

「やるねえ」

「ほんとはおしとやかなんですよ、あたくし。いつもは耐え忍んでおります。静かにしているんですのよ。でも、獣医にまちがった薬を出されるのだけでも限界なのに、あの赤ら顔のマヌケ息子にまでそんなことされるなんて、ああもう、キレルー!」

「その息子とやらにケガは?」

「たいしたことありませんのよ! 上手にけりましかたら。今じゃ、その獣医がマヌケ息子の看病してるんですの、アハハハハ! ところで、あたしのメガネはいつ、できまして?」

「来週にはできるだろう。木曜日にまたおいで。では、お大事に」

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後日、ドリトル先生が大きなグリーンのメガネをウマにあげると、ウマの目は、また前のように見えるようになりました。

のちに、パドルビー周辺では、メガネをかけた動物がいるのが当たり前の風景となりました。
目の悪いウマというものがいなくなったのです。

そんなこともあって、たくさんの動物が先生のところに連れてこられるようになりました。
ことばが通じると、どこがどう痛いか説明できるので、すぐに治るのです。

動物は家にもどると、兄弟や友達にこういいます。
「大きな庭の小さな家のあの先生は、ホンモノのお医者様だよ」と。

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やがて、ウマやウシやイヌだけでなく、野原にいるもっと小さな動物、たとえば、野ネズミ、水ハタネズミ、アナグマ、コウモリといった動物たちも、病気になると、すぐに町はずれの先生の家にやってくるようになりました。

おかげで、先生の家の広い庭は、いつでも動物の患者であふれかえっています。

あまりにその数が多いので、動物の種類ごとに、専用のドアをつくることになりました。
表のドアは「ウマ」、横のドアは「ウシ」、台所のドアは「ヒツジ」と看板を掲げました。
動物は、それぞれみんな専用のドアから出入りするのです。
ネズミでさえ、地下室から入れるちいさなトンネルが用意されました。
みんな、そこに列を作って、辛抱強く、先生が回ってくるのを待つのです。

それから数年のうちに、ジョン・ドリトル医学博士の名は、あたりに住むすべての動物に知れ渡りました。
冬になると、渡り鳥が飛んで行ったよその国で、パドルビーにはとてもすばらしいお医者さんがいると伝えます。

「そのお医者さんは動物のことばが話せて、困ったことがあったら助けてくれるんだって」

このようにして、先生は世界中の動物のあいだで有名になりました。
先生の住んでいるウエストカントリーの田舎でよりも、むしろ外国での評判の方が高いのです。
先生はとてもうれしくて、最高の毎日を送っていました。

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ある日の午後、ドリトル先生は熱心に書き物をしていました。

ポリネシアはいつものように窓にとまって、庭でゆれている木の葉をながめていましたが、いきなり大きな声で笑い出しました。

「どうしたね。ポリネシア」

先生は書き物の手をとめました。

「ちょっと考えてたんです」

ポリネシアはそういうと、また木の葉に目をやりました。

「なにを?」

「人間のことです。なんだかねえ……。人間は自分のことを一番えらいと思ってますよね? 全然、動物のことばをおぼえないくせに。何千年たっても、わかるのは、『犬がシッポををふってるときは喜んでる』だけなのに。バカバカしい!」


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