目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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ネコマンマの主人が帰ると、オウムのポリネシアは窓からテーブルに飛んできました。

「あの男、なかなかいい線いってるじゃないですか! 先生、そうしましょう! 動物のお医者さんになってください。もう、バカな人間を相手にするのはやめましょう。あいつら、世界一の名医を見分ける脳みそもないんだから……。先生、動物をみてください。動物なら、すぐにわかってくれます。お願いします!」

「うーん、動物の医者はいっぱいいるからなあ」

ドリトル先生は、鉢植えの花を雨に当てるため、窓の外に出しました。

「たしかに、いっぱいいます。でも、ロクなのがいません。いいですか先生。今から大事なことをいいますよ。先生は、動物がことばを話すことを知っていますか?」

「オウムはしゃべるよね。それは知っている」

「あのですね。私たちオウムは、二つのことばを話すことができるんです。人間のことばと鳥のことばと」

ポリネシアは誇らしそうです。

「もし私が、『ポリネシアはクラッカーを食べたい』と言ったら、先生はわかりますよね。でも、これはどうです? 『カカ、オイ、イー。フィーフィー?』」


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「なんだそりゃ! どういう意味だ?」

「これは鳥の言葉で、『おかゆはもう、あったまったか?』という意味です」

「へえ! お前さん、今まで、そんな風にしゃべったことなんかなかったじゃないか!」

「どうでしょうねえ」

ポリネシアは、左の羽根からクラッカーのかけらを払いのけながらいいました。

「いっても、先生にはわかんなかったでしょうからねえ」

「もっと聞かせてくれ」

先生はとても興奮して、走ってドレッサーまで行って、引き出しから紙と鉛筆を出してきました。

「いいかい、ゆっくりやってくれよ。書くからね。こいつはおもしろい。実におもしろい! まったく聞いたことがない話だ。まずは、鳥の『あいうえお』からだ。ゆっくりやってくれ」

こんな風にして、ドリトル先生は、動物には言葉があって、おたがいに話をしているということを知ったのです。

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その雨の日の午後いっぱいかけて、ポリネシアは台所のテーブルに座って鳥語を教え、先生はそれを書きとめました。

お茶の時間にイヌのジップが入ってきました。

ポリネシアが先生にいいます。

「ほら、見てください。ジップが話しかけてます」

「わしには耳をかいているようにしか見えんが……」

「イヌが話すとき使うのは、口だけではないんです」

ポリネシアは眉をあげて、甲高い声をあげました。

「イヌは耳で、足で、しっぽで、色んな風に話をします。たとえば音を出したくないとき。そういうとき、イヌは鼻を半分ピクピクさせます。この意味、わかりますか?」

「わからん」

「『雨がやんだか知ってるか?』って意味です。質問ですよ。イヌは質問の時はたいてい、鼻を使います」

それからしばらくかけて、ドリトル先生はオウムに教えてもらって動物の言葉ができるようになりました。
自分でも話せるし、いってることもすべてわかるようになったのです。

こうして先生は人間の医者から足を洗うことにしたのです。

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ネコマンマの主人が、ドリトル先生が動物の医者になったことをふれまわりました。

すると、すぐに、おばあさん連中が食べ過ぎになったペットの、パグやプードルを連れてくるようになりました。
お百姓も何キロもかけて、病気のウシやヒツジをみせに来ました。

ある日、畑仕事につかわれてるウマが一匹連れてこられました。
このウマは、ウマ語がわかる人間がいると知ると、かわいそうなぐらい感激しました。
ウマはいいました。

「聞いてくださいな、セーンセ! 丘のむこうの獣医ったら、なーんにもわかってないんですよ。治療がはじまって、もう6週間もたつというのに、足の関節炎だっていうんです。ほんとうは目が悪いんです、あたくし。目が片方見えにくくて、メガネをいただきたいんですの! 人間みたいにウマだってメガネをかけてもいいじゃないですこと? だのに、あの丘むこうの獣医ったら、バカなんだから。目のことなんか診やしないで薬ばっかり出すんですのよ。もちろん、あたくしもいってはみましたわ。でも、あの獣医、ウマ語なんて、ひとっこともわかりゃしないんですから。メガネがいるっていうのに、もう!」

「わかった、わかった。すぐに作ってあげよう」

「先生がかけてらしてるのと、おんなじのがいいですわ。それから、レンズは絶対にグリーンにしてくださいね。そしたら、畑を2キロ四方耕したって、お日様で目を痛めなくてすみますから」

「いいだろう。グリーンだね」

診察が終わりました。
先生は、ウマがでていけるように玄関のドアをあけてあげました。

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しかし、ウマの話は終わりません。

「セーンセ、聞いてくださいな、困ってるんですのよ。人間っていうのは、だれでも獣医になれると思ってるのかしら。あたくしたちにしたら、迷惑な話なんですのよ。ホントは人間の名医になるより、動物の名医になるほうが、よっぽど頭がよくなくっちゃいけないっていうのに。うちのですね。ご主人の息子っていうのがですね。ウマのことは何でもわかってる、つ・も・り、なんですの。先生に一度お見せしたいわ。すっごいデブで、目が肉にうもれてるんです。脳みそが小っさくて、ジャガイモにつく虫くらいしかないんですのよ。先週なんか、あたくしの体にカラシの湿布を貼ろうとするんで……」

「どこに?」

「どこにも貼らせませんよ! 貼ろうとするんで、けっとばしてやったんです。アヒルの池にけり落としてやりました!」

「やるねえ」

「ほんとはおしとやかなんですよ、あたくし。いつもは耐え忍んでおります。静かにしているんですのよ。でも、獣医にまちがった薬を出されるのだけでも限界なのに、あの赤ら顔のマヌケ息子にまでそんなことされるなんて、ああもう、キレルー!」

「その息子とやらにケガは?」

「たいしたことありませんのよ! 上手にけりましかたら。今じゃ、その獣医がマヌケ息子の看病してるんですの、アハハハハ! ところで、あたしのメガネはいつ、できまして?」

「来週にはできるだろう。木曜日にまたおいで。では、お大事に」


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