目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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それからも、先生のペットはふえる一方で、患者さんはへる一方です。

とうとう最後には、動物のことを気にしないペット・ショップ『ネコマンマ』の主人以外、だれも来なくなりました。
そのネコマンマの主人にしても金持ちじゃありません。
年に一度、クリスマスの時だけ病気になり、薬をひとビン600円で買うだけです。

いくら昔のことといっても、1年に600円では生活できません。
もし先生が貯金箱に貯金していなかったら、どうなったことでしょう。

それでも、先生はペットをふやすのをやめませんでした。

えさ代が大変です。
貯金はどんどん減っていき、ピアノを売ったので、中に住んでいたネズミは机の引き出しに引っ越しました。
そのお金もなくなると、日曜日に着る用の茶色の服も売り、もっともっと貧乏になってしまいました。

今では、先生が背高帽子をかぶって歩いていると、村の人はこういいます。

「あ、ドリトル先生だ! 医学博士様だ。前は、ウエストカントリーで一番有名な先生だったのに、今は落ちぶれて、クツ下も穴だらけだって!」

だけど、イヌやネコや子供は今もかけより、先生の後について町を歩きます。
それだけは貧乏になっても変わりません。

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第2章 動物語

その日、先生は台所で、おなかが痛くなってやってきたペット・ショップ『ネコマンマ』の主人と話をしていました。
ネコマンマの主人がいいます。

「ねえ、先生。もう人間の医者はやめて、動物の医者になったらどうだい?」

そのとき、オウムのポリネシアは窓にとまって、外の雨を見ながら船乗りの歌をさえずっていました。
しかし、ネコマンマの主人のことばを聞くと、歌をやめて聞き耳を立てました。

「いいかい、先生。先生は、動物のことだったら何でもわかる。そこいらの獣医より、よっぽど何でも知っている。先生の書いたネコの本、あれは本当にすばらしい!」

「それほどでも……」

先生はけんそんしましたが、主人はきいていません。

「いや、オレは読み書きはダメなんだけどね。というか、それができたら、オレも本の一冊くらいは書いてるはずなんだけどね。しかし、女房のテオドシア。あいつは学があるからね。あいつに先生の本を読んでもらったんだ。いやあ、あれはすばらしい。すばらしいとしかいいようがない。」

「いやいや……」


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「先生は、ほんとはネコなんじゃないか? 考えてることが、まんまネコだよ。よく聞きなよ。動物の医者ってのはもうかるんだ。知ってたかい、先生? ほら、ばあさん連中がイヌやネコを飼ってるだろ。あのイヌネコが病気になったら、全部、オレがここへ連れてくるようにいってやるよ。なあに、なかなか病気にならないようだったら、売り物のネコのエサに毒かなんか仕込んで……」

「こらこら、いかん!」

先生はあわてました。

「そんなことしちゃいかん! 悪いことはいかん!」

「もちろん、かるーいヤツでさあ。ちょっとグッタリするくらいのね。……でもたしかに、イヌやネコは割にあわねえな。それに考えたら、そんなことしなくても、あいつら病気になるか! だってね、先生。あのばあさん連中ときたら、イヌネコにエサをやりすぎるんだ。それ以外にも、ほら、この辺の百姓どももみんな、ウマやヒツジが弱ったら、医者にみせるじゃないすか。だから、どうです。動物のお医者になったら?」

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ネコマンマの主人が帰ると、オウムのポリネシアは窓からテーブルに飛んできました。

「あの男、なかなかいい線いってるじゃないですか! 先生、そうしましょう! 動物のお医者さんになってください。もう、バカな人間を相手にするのはやめましょう。あいつら、世界一の名医を見分ける脳みそもないんだから……。先生、動物をみてください。動物なら、すぐにわかってくれます。お願いします!」

「うーん、動物の医者はいっぱいいるからなあ」

ドリトル先生は、鉢植えの花を雨に当てるため、窓の外に出しました。

「たしかに、いっぱいいます。でも、ロクなのがいません。いいですか先生。今から大事なことをいいますよ。先生は、動物がことばを話すことを知っていますか?」

「オウムはしゃべるよね。それは知っている」

「あのですね。私たちオウムは、二つのことばを話すことができるんです。人間のことばと鳥のことばと」

ポリネシアは誇らしそうです。

「もし私が、『ポリネシアはクラッカーを食べたい』と言ったら、先生はわかりますよね。でも、これはどうです? 『カカ、オイ、イー。フィーフィー?』」


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「なんだそりゃ! どういう意味だ?」

「これは鳥の言葉で、『おかゆはもう、あったまったか?』という意味です」

「へえ! お前さん、今まで、そんな風にしゃべったことなんかなかったじゃないか!」

「どうでしょうねえ」

ポリネシアは、左の羽根からクラッカーのかけらを払いのけながらいいました。

「いっても、先生にはわかんなかったでしょうからねえ」

「もっと聞かせてくれ」

先生はとても興奮して、走ってドレッサーまで行って、引き出しから紙と鉛筆を出してきました。

「いいかい、ゆっくりやってくれよ。書くからね。こいつはおもしろい。実におもしろい! まったく聞いたことがない話だ。まずは、鳥の『あいうえお』からだ。ゆっくりやってくれ」

こんな風にして、ドリトル先生は、動物には言葉があって、おたがいに話をしているということを知ったのです。


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