目次
第1章  パドルビー
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第2章  動物語
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第3章  またお金の問題
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第4章  アフリカからの便り
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第5章  大旅行
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第6章  ポリネシアと王様
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第7章  サルの橋
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第8章  ライオン総長
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第9章  サルの会議
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第10章 この世でもっとも珍しい動物
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第11章 キモメン王子
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第12章 医学と魔法
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第13章 赤い帆と青い翼
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第14章 ネズミの警告
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第15章 バーバリー・ドラゴン
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第16章 ホーホーは耳のプロ
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第17章 海の情報屋
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第18章 におい
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第19章 岩
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第20章 小さな漁村
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最終章  ふたたび、わが家へ
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第14章 ネズミの警告

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第14章 ネズミの警告

船を引いて海を走るのは大変な作業です。

2、3時間もすると、羽根がつかれ、息も切れ、ツバメはしばらく休憩したいと先生にいってきました。
近くの島に移動して、息がもどるまで入り江の奥に船をかくしておくというのです。

やがて、ツバメのいう島がみえてきました。
島の真ん中には、とてもきれいな、緑にあふれた高い山がありました。

船はゆっくりと入り江にはいりました。
ここなら外海からは見つかりません。

「わしはちょっと、水を探しにいってくる。もう、船の中のは切れてきたからな」

先生はそういって、船をおりました。

「みんなもどうだ? 外に出て、草の上で転がったり、足をのばしたら?」

それを聞いて、みんなが外に出ようとすると……。

「おや、なんじゃ?」

たくさんのドブネズミが船底から階段を上がってきて、船から出ていくではありませんか。

「ヒャホッー! ネズミだ、ネズミだ! まてまてー」

イヌのジップが大よろこびで、ドブネズミを追いかけ回しました。
こうやってドブネズミを追いかけて遊ぶのが、イヌにはたまらないのです。

しかし、先生はジップをしかりました。

「こら、やめんか! ジップ!」

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ドブネズミの中に、とても大きく黒いのがいました。
先生に何かいいたそうです。
横目でジップを見ながら、船の手すりをオドオドと伝ってきます。
神経質そうに2,3度セキをすると、ひげをととのえ、口をぬぐって先生に話しかけました。

「えーと……先生、知ってっるすか? 『船にはぜったいネズミがいる』って。どうすか?」

「もちろん」

「じゃ、これは? 『ネズミは沈む船からはぜったい出て行く』」

「それも聞いたことがある」

「で、いつもいわれるんだよなあ。『卑怯者。恥を知れ』とかあ!」

「うむ……」

「でも、それって、ひどくねーすか? だれが沈む船に残るっすか? 下りたきゃ下りれるんすよ?」

「いやまったく。当然のことだ。当然だよ。よくわかる……えーと、で? なにがいいたい?」

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「いえね。ほかでもないっす。オレたちはこの船から出ていくっす。でも、その前に先生に伝えておこーと思って……。この船、ボロ船っす。危険っす。船の横が弱ってて、腐ってるっす。明日の晩には海の底に沈むっすよ」

「なんでわかる?」

「わかるんすよ、ネズミには! シッポの先っぽが、こう、ビリビリッと……足がしびれたみたいになるんすよ。今朝、6時に朝メシ食ってたら、いきなりビリビリッときたんで、最初は、リューマチがぶり返したかなって。で、オレのおばさんに……先生、おぼえてます? オレのおばさん。白と黒のまだらでガリッガリのネズミで、去年の春に黄疸になったんで、先生にみてもらいにパドルビーに行ってるんすけど?」

「ああ! おぼえとるよ。そうか、あのネズミの……」

「そのおばさんに聞いたら、やっぱおばさんも、いつもみたくビリッビリにきてたんす。それでもうまちがいない。この船は2日もたないって……。だから、どこでも船がついたら、みんなですぐに逃げようって決めてたんすよ。これ、ボロ船っすよ、先生。これ以上乗ったらダメっす。終わりっす……というわけで、おさらばっす! この島で、どっか住めるとこ、探すっす」

「ああ、さようなら! それから、ありがとうよ。わざわざ教えてくれてなあ。気をつかってくれて、ほんとにありがとうよ! おばさんにもよろしくな。……こら、ネズミをかまうのはやめんか、ジップ! こっちに来て、おすわり!」

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みんなで水をさがすため、バケツやナベをもって島に上陸しました。

ツバメはそのあいだ、休憩です。

「この島の名前はなんじゃろうな。気持ちの良さそうなところだ。ほら、あんなにたくさん鳥がいる!」

先生が、山を登りながらそう言うと、ダブダブがいいました。

「だって、カナリア島ですから。カナリアが鳴いてるの、聞こえません?」

先生は立ち止まって、耳をすませました。

「なるほど、たしかに……そうか! わしがバカだった。カナリアに水のありかを聞けるかな?」

この島のカナリアは、全員、ジョン・ドリトル先生のことを知っていました。
通りすがりの鳥からうわさを聞いていたのです。

カナリアは、いつも自分たちが使っている、冷たくて、とてもきれいな水のでる美しい泉まで先生を連れていってくれました。
それから、鳥のエサがとれるきれいな草地など、この島の案内もしてくれました。

オシヒッキーは、この島に来て、大よろこびです。
というのは、オシヒッキーは船で食べていた干しリンゴなんかより、青い草の方がよっぽど好きだったからです。

ブウブウもよろこんでます。

「やったー、サトウキビだー! 野生のサトウキビがいっぱい谷にはえてるー! ブヒー!」

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しばらく、さんざん食べたり飲んだりして、みんなでゴロンと横になりました。
カナリアがみんなのために、歌をうたってくれます。

そこへ、2羽のツバメが急いでやってきました。
あわてて、とても興奮しています。

「先生! 海賊が入り江まではいっきて、先生の船をのっとってしまいました。全員で、船底に盗みにはいっています。」

「ええ!」

「でも、今、あいつらの船にはだれもいません。すぐにもどれば、海賊船に乗りこめます。あの船はすごくスピードがでるから、逃げられます。急ぎましょう!」

「それはいいアイデアだ。素晴らしい!」

先生は、すぐにみんなを呼び寄せると、

「カナリアよ! いい歌だった!」

カナリアに別れを告げて浜辺へ走りました。

海岸につくと、赤い帆を3本立てた海賊船が浮かんでいるのが見えました。
それから……まさしくツバメのいったとおりです。
船にはだれもいません。
海賊は全員、先生の船に盗みにはいっているのです。

「そおっと移動するんだ。そおっとだぞ」

全員、海賊船に忍び込みます。