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帰路

高速道路の渋滞が

体を突き抜けて

ぐるんぐるんと

ご飯に巻かれた

かんぴょうか何かのようになって

さっき使って

まだ洗っていないグラスに

出来上がって立てかけられると

はみ出た具材の大胆さに

ふふふと

一人静かに

心の中でわらう

世界征服は出来ないけれども

巻き寿司を介した

ストレス発散と

描き続ける絵画の一部を

物語に託して

立てかけている

簾のかかった

そば屋のラジオは

小さくてありふれた

一人の魔法使いの

完全犯罪を終わらせる


メカカモメ

夏の青空に

ぷかぷか

一群のカモメが

飛んでいて

その中に

メカカモメが

おりました

いつからどうして

飛んでいるのかは

分かりかねるが

ただぷかぷかと

空に浮かんでおりました

お昼どきには

となりのカモメの

あいさつに付き合い

退屈しのぎに

リーダーカモメの愚痴を

ばれないように

しゃべっておりました

メカカモメは

仲間に囲まれておりまして

体がぎしぎしと

音を出すようになっても

群れのペースを遅らせぬように

飛んでおりました

いくつかの旅の後に

メカカモメが

飛ばなくなると

仲間のカモメは

カモメのしきたりで

メカカモメを

弔いました


揺蕩い

抜け目のない

取り立て屋さんから

運命を回収されて

憧れの噴水は

コインが沢山

思い出にするための旅で

手をつないで

歩きまわったことの

大切さや嬉しさが

残渣としての淀みを

かき混ぜて

オリジナリティーの夢にする

愛していることを自覚できた

細やかな夜の紙芝居は

ホトトギスも鳴いていて

いつもと変わらぬ

流れの揺蕩い


スープ

目に見えないことを願って

手を伸ばした

届かない

届かないと

もどかしくなりながら

手を伸ばした

死にものぐるいで

どっちに進んでいるのか

分からぬままに

生きているうちに

頭上の月は

天守の足下を照らす

槍人の矜持が

蟻を驚かせて

人間同士の争いは

透き通った中華スープになって

静かに小鳥がさえずる

気持ちのよい太陽の

白いテーブルクロスの上で

静かな平面

向かい合う相手の口元は

猜疑や

思惑を感じさせることの無い

安心と平和、

安寧のにおいがする

暖かな木漏れ日


加速

想像を停めたバス停の

座っている乗客の膝には

いつもの湖面

日食は

歌に形と命を与える

すり減らしていったブレーキは

もはや速度を緩めない

急な展開に

行き場を失った速度は

鋼鉄の柵を通り越す

強烈な衝撃

高度4万メートルに飛び出して

いつの間にか

背中から羽が生えて

ふわふわと飛んでいる

覚せい剤の無い

夢の中の世界では

観覧車が猛スピードで回って

スペースシャトルが地面に突き刺さる

血で濡れた盾から

最低限が強奪されて

己の影が伸びて

頷きながら

両手を伸ばす

もう一度だけ、

と言うと

行き場を失った速度が

地面に叩き付けられて

砕けて死んだ



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