閉じる


<<最初から読む

48 / 73ページ

étude

前に進んで

砂塵は

喉を突き抜け

双葉は遠い未来の

黒髪に

風が舞う

今一瞬を通り過ぐ

揺れ動く人の étude

飛び乗った列車は

反対方向で

重なりあったのは

急ぎすぎ

雲もまた

円を描いて薄まっていく

切手の消印は

夏の浜辺に

手痛い失敗

訪れる線路の微分に

肩がぶつかって

食い逸れた

春夜の海


感動

お庭の花が咲いて

ギリシャ文字の

後ろみたいに

背伸びをして

一心不乱に

観察を続ける君

コンクリートを

踏んだ音が面白くて

強弱やこすった音を

喜んでいる

白い小さな生き物が

いつしか大きな

青い竜になって

いえいえを守る

心の穴は

太陽の光と繋がり

獣は物語りをする

地球の音が動いて

夜空に一首

絡まりあう軌道も森も

遠く観たほしの

感動


くだせぇ

かみさまぁ、

おいらの願いを

ひとつ

聴いてくだせぇ

頼むから

いつでも

ここにいてくだせぇ

誰もが

かみさまのことを

忘れねぇような

奇跡をおこして下せぇとは

言わないです

ただ、地獄のような

痛みや心持ちを

抱えたときに

憐れんで

頬にそっと

手を添えてくれる

そういうようなことが

ありふれている

そういうこの世に

お座りになって

いつも我々を

見守っていて

くだせぇ


ほぐれる

ほどいては結び

ほどいてはもつれ

次の一手を思案する

夜の森の鳥達は

ひそひそ

くすくす

kingのために

どの駒で死ぬか

香草で匂いづけされた

焼き網の上の供物

芽を摘むこと

土を耕すこと

水をやること

塩を作ること

膨らんだ手が

そっと

両手を添えて

茶器を作る

花を添えた人の

心遣いを

ふと留めて

また、ほぐれる


これから

重なりあう山々の

鋭さに体を抉られ

断片に分かれた思い出

それぞれの方向に

歩み出そうとする暗闇の中でも

記憶の中の安寧が

一輪の穏やかさを

なげる

いつかの微笑みの光は

忘れ得ない

連なりあった氷河の

互いにこすれ、軋む音が

ただ空虚な胸に

ごつごつと

鳴り響く

けれど

風はたおやか

空は晴れ

あおぎみる人の光は

まだこれから



読者登録

mogurato_yukiさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について