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グラス

近づいたり離れたり

触れる思いは今一瞬

手に触れてみても

みつめかえしてみても

寄る辺に

よせてかえす波は

蟹をこそこそ泳がす

ムードが変わって

真剣な気配になって

ある今は今

急ごしらえで作った間に合わせと

持ち寄って作った思いやりと

グラスは満たされて

かわりばんこのなぞなぞが

深く深く

今に刻まれる

作り替えられ続ける話題に

透き通った乾杯の音が

cymbalsになって

確かに始まった

長く大切な昔語りの

横顔を撫でる


借景

どこを歩いているのだろう

昨日までにみた景色が

重なり合って

今の一歩を遮る

強いて意識を使って

立つ今の

揺るぎなさの揺らぐ

鳥瞰図

鳥になって

つついた殻は

新たな音色のレイヤー

重なり合うのは

また借景


ばしょ

心が在る場所

砂の上の

氷河の上の

林の中の

海の底

心から笑うことを

忘れたRⅡDⅡ

肩の上には

小鳥が訪れ

日々の挨拶

何かを求めた

眼差しの先に

かつて

身近だったものを

みつける

嗚呼、と歩く

行者の中にも

雨宿りの一椀


花束

どういうことで

あっても

雪は溶けて

風が吹く

新しい芽は

生まれいづる

もしも今

誰かのために

酸に両手を浸すなら

私の腕も抛とう

知らぬ間に

針を呑むなら

代理しよう

揺れ動き続ける

発電機とファンの音が

耳朶を裂くなら

私も一緒に

雨宿りをしよう

望まれない働きも

素直な花束

海の鮭


無題 3

淀みのないもの

小さな虫の鳴きごえや

蛍の光

昼間の暑さが柔らいで

透き通った匂い

遠くの花火は

彩りを添えて

後から奏を打つ

流れない時間の終わりに

そっと手をとり

慈しむ



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