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eternal

彼岸に

立ち止まること

つばを飲み込むこと

手に搾られた布の色

駅に架かる鳩の家

穏やかな波音

ものことが続いて

生きていても

良いと念う

おしゃべりな人は

無言で

盤を交わす


水面

静かな夜

三日月は雲をまとう

穏やかな季節の

心地よい風は

私を包み込む

昼間の喧噪で舞い上がった

澱が沈み

優しい水面の側に座って

針も竿もなく

釣り竿を

垂らす

浮き上がって

空に向かう言葉は

一つずつになる

一瞬

風が冷たくなり

波が立つと

整然さを失った言葉達が

めいめいに踊りだし

収拾がつかなくなるが

そっと目を閉じ

息をつけば

魚籠に魚が入る


名前を呼べる幸せ

こっちに来てほしいから

名前を呼ぶ

名前を呼べる

当たり前の日々

嬉しいことや

楽しいこと

腹が立つことや

我慢ならないこと

いろんなことをひっかけながら

名前を呼ぶ

おあとはよろしくなくて

誰にも変えることは出来ない

関係性の絆

一生懸命に

名前を呼ぶ


左目に広がる

夜の青空が

異国でみた

空の記憶と酷似する

両手を伸ばして掴んだ

中古のオートバイで

羊を追う

三角形の糸が

空から垂れて

一寸法師の小舟に

風が吹けば

鴨がゆらゆら


手つなぎ

体が固まって動けない

崇高な事も

ポジティブな事も

鈍い歯をゆっくりと動かすから

骨を左右して

余裕がない

汗と体臭にまみれて

貶められた自尊心は

阿鼻

芽を出した二葉は

倒れた人の

顔の高さにあって

ようようと陽の光を浴びる

色が混乱して

青色の四角が顔にぶつかって

痛い

のばした手の先に

枯木は

仲間外れの世界で

閉じ込められる

夜の時間が訪れる

その時に

半周回った命が

是のガラスを割って

生きることの火を連れ戻す

痛みへの呪詛や

切り裂くような環境音が聞こえなくなって

目を開けると

どこか疲れた

みなれた人との

手つなぎ



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