閉じる


<<最初から読む

34 / 73ページ

展覧会

ほっぺにキスして

カランコロン

円周を縁取って

屋上の池に飛びこめば

雲の温度が

体にしみこむ

目を開けたままにして

でも口は閉じていて

貴方の思惑が

転がっていった金貨を

踏みつぶさないように

二人の会話の間を

目配せと息づかいで

満たしたら

深く深く

存在を満たして

非存在するものの息づかいに注意する

高く飛んで

雲の上でふざけあったら

ほっぺたでキスを

柔和な竜が

架かる輝きを絵画に描いたら

展覧会の幕が開く会場の隅に住む

猫の家族の毛繕いする姿をみて

「あ、猫だ」と一言と木々の葉の音

愛の有りうる場所で一番安堵できる場所で

野菜スープをことこと煮込んだら

ぽこぽこと泡にゆられて

あまりにくらくらしたので

駱駝に乗ったら

体が楽だ


eternal

彼岸に

立ち止まること

つばを飲み込むこと

手に搾られた布の色

駅に架かる鳩の家

穏やかな波音

ものことが続いて

生きていても

良いと念う

おしゃべりな人は

無言で

盤を交わす


水面

静かな夜

三日月は雲をまとう

穏やかな季節の

心地よい風は

私を包み込む

昼間の喧噪で舞い上がった

澱が沈み

優しい水面の側に座って

針も竿もなく

釣り竿を

垂らす

浮き上がって

空に向かう言葉は

一つずつになる

一瞬

風が冷たくなり

波が立つと

整然さを失った言葉達が

めいめいに踊りだし

収拾がつかなくなるが

そっと目を閉じ

息をつけば

魚籠に魚が入る


名前を呼べる幸せ

こっちに来てほしいから

名前を呼ぶ

名前を呼べる

当たり前の日々

嬉しいことや

楽しいこと

腹が立つことや

我慢ならないこと

いろんなことをひっかけながら

名前を呼ぶ

おあとはよろしくなくて

誰にも変えることは出来ない

関係性の絆

一生懸命に

名前を呼ぶ


左目に広がる

夜の青空が

異国でみた

空の記憶と酷似する

両手を伸ばして掴んだ

中古のオートバイで

羊を追う

三角形の糸が

空から垂れて

一寸法師の小舟に

風が吹けば

鴨がゆらゆら



読者登録

mogurato_yukiさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について