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ミルフィーユ

ものの感じ方が

一生の間に

一つ深まる

そういうことが

少しずつ

繰り返されて

丸みを帯びる

纔かずつ

時間を積み重ねて

それは

ミルフィーユのような


厳かさ

足下に横たわる

厳かさよ

時に

視線を注ぎ

時に

声をあげる

緑色の芝の上を

太陽の光を

身に受けながら

駆け抜けて

こんな風に走れるのは

どう、すごいでしょう?と

挑戦的な目を

時に

みせる

泡沫なら

一回の跳梁

いつまでも

隣に


もや

海に

波がたったら

コーヒーカップをおいて

一つ息をはく

サラダの葉っぱは

スプーンですくう

いくつかの声が重なって

重なりすぎて

重くのしかかっているのなら

静かな場所で目を閉じて

十を数える

ひいふうみいよう

いつむうなあ

心から此処は

遠くもあり近くもあり

緊張がほぐれて

残った音のもやがとれる

析出


無題 4

深い青の澱みを

蜘蛛が歩く

のそのそ

誰かの気配に気づき

目隠しに隠れる

こそこそ

一昼夜の契りの後に

雲が霽れて

気持ちの良い風と

濃いめの珈琲


火は拡がり

制約を超えて

色はつながり

記憶と妙

お能の劇場の裏の

路地裏で

鳴る拍子木

他を容れるため

無辺も暖まる

柏手を打てば

七福神も

ほくほく

途切れぬ紫色



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