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「じゃあ、トモ君が次にはくのは、ライダーってこと?」

 グラサンが、いちばん下でもごもご尋(たず)ねます。

「いいや。わしは、ゴムが少しのびてしまってな。今はここで、留守番(るすばん)をしているよ。おもらしした時なんかの、着がえ用としてな」

 ライダーは、また悲しそうな顔になりました。(たたんだシワが、そう見えます。)

「だけど思い出すなあ。トモ君が紙おむつをとって、初めてはいたパンツが、わしでな」

 ライダーの悲しい顔は、むかしをなつかしむやさしい顔に変わりました。(シワです。)


「最初は、うまくトイレに行けなくてな。家では失敗(しっぱい)しても、すぐ洗濯してもらえるから良いが。いつか遊園地(ゆうえんち)へ行ったときなど、ウンチといっしょにビニール袋(ぶくろ)に入れられて、家に着くまで、そりゃあ臭(くさ)いしたいへんだった」

 「ええっ」という顔を3枚がすると、それを横目(よこめ)で見ながらライダーが話を続けます。


「でも今はだいじょうぶ! トモ君もじょうずになって、おかげでわしの出番(でばん)も無くなった。だから君たちには、感謝(かんしゃ)してもらわないと」


「のり物シリーズのみなさんのおかげですね」

「トモ君もママも、わしらのことを〈おにいさんパンツ〉とよぶんだ」


「おにいさんパンツ」


「紙おむつが卒業(そつぎょう)できて、赤ちゃんからお兄さんのなかま入りをした証拠(しょうこ)だから。その最初の手助(てだす)けを果(は)たしたのが、わしらってことだ」

 3枚は話を聞きながら、色あせた真っ赤なバイクを、まぶしそうにながめました。


 引き出しの中ですごす間、ライダーの他にヨットや宇宙ロケットとも会うことができました。
 2枚はとてもいそがしそうで、ライダー以上によれよれに見えたけれど、トモ君の事などをかわりばんこに教えてくれました。


そして、ついにおしゃれシリーズの3枚は、そろって引き出しを出て、ママに洗濯をしてもらったのです。

 よい香(かお)りの泡(あわ)の中で、さっぱりしたら、ぽかぽかの日の下、うたた寝(ね)をしながら乾(かわ)きました。
 そのとちゅう、ヨットをはいたトモ君が、お兄ちゃんと庭(にわ)に出て、近くで遊(あそ)ぶ姿(すがた)も見られたのです。
 3枚は、なんだか楽しくなって、今日あった出来事(できごと)を、早くライダーにおしえたいと思いました。

 夕方(ゆうがた)になって、バスタオルにのせられた宇宙ロケットと別れ、引き出しにもどると、なんと、どこにもライダーの姿がありません。
 いつかこの日が来ることを、しかし、3枚とライダーも覚悟(かくご)していました。

「さあ次は、ぼくらの番だ。ライダーの分もがんばろうぜ!」

 時計が、せいいっぱい大きな声で言うと、その下でたたまれた帽子とグラサンが「わかっているさ」と、静(しず)かにうなずきました。

                           (おわり)


この本の内容は以上です。


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