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スピードファースト?

現代はスピードファーストの時代でしょうか。

何事も急げといわれ企業の現場は疲弊しているように見えますが、そ

う思うのは、私だけでしょうか。

 

スピードという概念を使うことは、そもそも事業内容を考慮したうえ

で考えなければならないのではないでしょうか。

例えば「金融」のスピードの概念と「製造業」の概念は同じにはなら

ないでしょう。

今の時代、金融はコンピュータシステムを使い瞬時に対応した結果が

出せますが、製造業では、必ず一定の品質という要素が組み込まれて

おり、そのプロセスはむしろスピードの概念に反する場合もあります。

また、政治の世界でも「人間」がおこなっている以上、人間の成長な

くしてよい政治を実行することはむずかしいのではないでしょうか。

行政とて同じです。

それぞれのエリアの課題を抽出し、一定の方向付けをおこなって具体

的な施策を実行するというプロセスには、不安定な要素も含まれてお

り、スピードをもって対応できる施策もあれば、工事のように長期間

そのプロセスをチェックしながら完工まで実行するような施策もあり

ます。

スピードという概念は、どれも一律に人間の頭にインプットされます

が、施策や事業領域によってスピードにおける時間の概念は相当な違

いが生じてくるでしょう。

スピードとは、ある意味で「手際よく」ということでしょうか。

意味を調べてみると「物事をよどみなく処理し、要領よく進行させる

さまなどを示す表現」とされています。

これをスピードという意味で比較すると、スピードとは「 速さ、

速度、速力」ということになり、相手がある競争上のはやさだけが誇

張されてしまうように思います。

仕事とは、もともと同じような物を作っていてもそのプロセスや時間

など複数の要素がそれぞれの企業内で醸成され、多くの違いが存在し

ます。

しかし、製造業でいえば納期という確定要素が優先されることで本来

自社がもっている製造業特有のプロセスを省みることなく、「はやさ」

だけの仕事をおこなっていることが結構増加しているのではないかと、

想像しています。

 

 

 

 

理由は、営業部門などからくる「他社は何日で出来る」という納期要

件によってすべてが決定される世界だからです。

これによって「はやさ」だけの勝負をおこなっているのが、現在の製

造業の特徴かもわかりません。

このような背景と日本企業特有の属人的な組織のうえで、それぞれの

企業が有しているプロセスや法令などを無視し、今日、壊滅的な状況

を作りだしているようです。

一旦、自社の正常なプロセスを壊してしまうと、壊したプロセスのう

えでしか勝負ができなくなります。

まともな勝負を挑めば、「はやさ」を喪失し、受注ロスが生じるとい

う脅迫観念に襲われるからです。

そして日本企業村は、全員で暴走していくことになります。

中小企業ならいざ知らず大手企業がこのようなことになっていれば、

大手企業の下請け企業でも同様な対応を迫られているはずです。

その結果、日本の国力を落としていくことになるのでしょう。

 

政治の世界に目を移せば、〇〇ファーストならぬ自分ファーストで

はやさを競った結果、これまでのプロセスをすべて瓦解させてしま

ったタイプの人間がいます。

行政を統括するだけでも数十年かかる時間軸でしょうか。

それも放棄して新たに国政に挑戦するなど、はやさ=欲望の概念だ

けしか頭にないようです。

本来、物事を成就するまでには相応の時間軸が必要です。

数回の人気という空気のようなもので世の中が連続して動くほど、

社会は、否、人間は簡単にはできていません。

政治はある意味で人気商売でしょうが、当選すれば、国民がみてい

ようがいまいが、陰に日向に着実な実行力が試される世界ではない

でしょうか。

企業とて同じです。

どのような人気企業でも着実に実務をおこなう人間がいてはじめて

企業は成り立っています。

むしろ人気がある企業ほど、日常的な仕事は地道な積み重ねしかあ

りません。

入社して幻滅することは、多くの人が経験しているところでしょう

か。

 

 

 

スピードという言葉はポジティブに使われますが、私に言わせれば

「バカの一つ覚え」でしかありません。

そのような言葉のイメージだけにとらわれていると、おそらく何も

成就できないのではないでしょうか。

物事を変える、変革するといことは、私は十年単位でみていく必要

があると考えています。

理由は、現場で実践していれば、「変える」ということがいかに大

変かということは身に染みて経験しているからです。

大手企業の子会社とて絶対的に有利な状況からでも立ち上げに十年

近くかかっています。

そのうえで花開くのに二十年くらいかかっているでしょうか。

一人の人間が人生でこのような経験をすることができるチャンスは、

一人に一回ないはずです。

 

政治の世界でみれば、伝統的な政党に勝って政権を取った人たちは、

どんなに頑張っても次に政権を取るチャンスはないでしょう。

では、どうすればよいか。

若い人たちを育成することに徹することです。

その意味では、政党を壊すことは良いことですが、これまでの政党

人の多くが残るような組織では国民にとって不幸なことになるのか

もわかりません。

 

いずれにして「はやさ」だけを競う時代ではありません。

世界を相手に「品質」と「価値」を認められる製品やサービスを生

み出していかなければならない時代です。

「はやさ」だけを言う経営者は、案外、独善的で自らのことしか考

えていない経営者と思っておいたほうがよいでしょう。

 

もはや、今は自社の内部プロセスを一旦見直すために「はやさ」を

押さえ、売上の減少も覚悟し、企業の存在意味を再度問い直さなけ

ればならないときではないでしょうか。

今なら株主へ説明も容易です。

他社の現状に照らし合わせて事業内容の全面的な見直しをおこない

ますと、言うだけです。

さらに事業内容によっては、来期の業績に影響を与えることがあり

ますと、言うだけです。

 

 

 

さらに、今見直しをおこなっておかなければ、将来株主に多大な損

害を与えることが懸念されると考えておりますと、言うだけです。

なにもなければそれでよし、何かあれば、抜本的な改革をおこない

ましたと、するだけです。

 

日本企業が置かれている状況は、政治も同じですが、まさに「はや

さ」ではなく、立ち止まって総点検をし、将来に向けた投資をおこ

なうことです。

投資は、なんといっても人でしょうか。

これまでの人材要件ではありません。

あくまで将来のための人材を確保していくことになります。

同時に経営者は、企業のフレームワークを明確にしていくことに尽

きるのではないでしょうか。

 

簡単なことですが、簡単なことほど実行することはむずかしいもの

です。

 

 

 

 

 

 


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最終更新日 : 2017-11-07 09:37:42

この本の内容は以上です。


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