閉じる


<<最初から読む

6 / 11ページ


●スプリガン

 イングランドの古い城跡や、塚、古代の巨人たちが作ったとされる環状列石などの周辺に棲む妖精。自分で管理している宝物の埋蔵地近くに棲む場合もあるという。

 スプリガンは妖精たちの中で最も醜くいとされ、性格はとても気むずかしいといわれている。 病気をもたらすこともある厄介な妖精だともいわれているが、大抵は人間を怖がらせることに満足し、必要以上に危害を加えることはめったにしないらしい。ただし、妖精たちをいじめる者や、自分の行きつけの場所を荒らす人間には、さまざまな悪さをして懲らしめるという。さらに、人間のこどもをさらったあと、かわりに自分のこどもを置いていったり、嵐を引き起こして畑をあらしたりもするらしい。

 スプリガンは、もとの小さな体を、大きくふくらませることができるので、巨人の幽霊だともいわれている。


●魔除けの植物

 もしも、悪い妖精に遭遇したとしても、魔除けのアイテムを持っていれば、危険は避けられる。四つ葉のクローバー(a)は、妖精のいたずらから身を守るといわれている。また、トネリコの枝(b)や、小さなヒナギク、ナナカマド(c)の赤い実なども、妖精たちの魔法をはねかえす力があるらしい。スプリガンやゴブリンが出没しそうな場所を訪れる際には、これらの植物を前もって身につけておくと良い。


●ドワーフ

 ドイツ、スイス、スカンジナビアなどの山地に棲む妖精。地域によっては、ドヴェルグ、ツヴェルクなどと呼ばれている。

 身長は1メートル前後で、男のドワーフも女のドワーフも毛深く、どちらも長いあごひげを生やしている。男のドワーフは老人のような顔をしているが、体はとても丈夫で力持ち。男女とも寿命は 200歳以上もある。

 ドワーフたちは太陽の光を嫌い、地下に穴をほって都市をつくり生活している。太陽の光をあびると、ドワーフは石になってしまうから地下で生活するのだという説もある。暗闇でも眼が利くため、一日の大半を地下で過ごす。鍛冶や石工が得意な妖精で、地下の作業場で精巧な道具を毎日作り続けていてる。出来上がった物に魔力を入れ込み、最終的に不思議な力を持つ武器や民芸品として完成させる。

 働き者の妖精ではあるが、敵対する妖精や怪物が近づくと、戦士となって戦う。また、ドワーフたちの縄張りに生息している動物たちを守っているとも言われていて、勝手に狩りをした者には容赦なく厳しい罰を与えるという。


●ゴブリン

 ヨーロッバでは、人間にとって悪い妖精たちのことをゴブリンと呼んでいる。いろんな姿のゴブリンがいるが、大半は小柄で醜い姿をしている。性格も皆だいたい同じで、ずる賢くって短気、さらに、飽きっぽい上にひがみっぽいから、ほかの妖精たちからも嫌われている。

 人間を襲ったり命を奪うことはしないが、人間を不幸にすることは大好きなので、いろんな悪知恵をひねり出しては悪さを企み、目当ての人間を陥れようと、常に機会を伺っている。そのくせ、ゴブリンたちの悪巧みといったら、小さないたずらばかり。たとえば、人の寝静まった民家で、物を壊したり足音をたてて騒いだり、笑うと果物が木から落ちたり、ミルクが腐ったりする術を使って人を困らせる。

 ゴブリンのほとんどは、馬小屋や洞穴などの暗い所をねぐらにしているが、同じ場所にずっと棲み続けることはしない。一人の人間を陥れたら、すぐにまた違う人間をターゲットにしたがるから、陥れる人間を求めてあっちこっち移動している。

 ゴブリンの名前が付いてても、まったく別の種類のものたちがいる。ボブゴブリンは、ゴブリンとは性格が正反対で、上半身が人間、下半身が山羊の姿をしたおとなしい妖精。ボブゴブリンたちは、ミルク一杯を与えてもらうだけで、いろんな手伝いをしてくれる。ただし、人間たちにいじめられると、そのお返しにちょっとしたいたずらをすることもある。


●ボーグル

 イングランドやスコットランドに棲む妖精。ゴブリンの仲間とされているが、ゴブリンほど悪い妖精ではない。悪い人間だけに害を加える妖精。だから、ゴブリンの仲間ではなく、ボブゴブリンの仲間だとする説もある。人間の生活にとても興味をもっていて、めったに開けられない戸棚や宝箱の中に隠れて、いつもこっそりとのぞいている。

 ボーグルは幽霊のような妖精で、姿は目に見えていても、実際には実体がなく、骨も血も肉も付いていない。だから、武器を使って退治しようとしても、ポーグルには効かない。


●レプラホーン

 アイルランドの妖精で、地下のすみかで一人暮らしをしている。地域によってはレプラコーンとも呼ばれ、奇妙な三角の帽子を斜めにかぶり、部屋にこもって、妖精たちのために靴を作り続けている。特に踊り好きの妖精たちからは、レプラホーンの作る靴は大変重宝されている。

 レプラホーンが作業をしている時は、ハンマーでたたく音が地上にももれるため、人間がその場所を見つけ出すのは容易だという。また、地下に隠された財宝のありかを知っているといわれ、しばしば、宝探しをしている人間によって捕まえられ、財宝のありかを白状させられることもあるという。しかし、人の気をそらせることが上手く、わずかなスキをついて姿を消してしまうため、結局は財宝を手にした人間はいないらしい。


●クルーラホーン

 小さな老人の姿をしたアイルランドの妖精。地域によっては、クルーラコーンとも呼ばれている。食料を蓄えておくための部屋や、地下の酒蔵などに住み着いている。

 レプラホーンの仲間とされているが、妖精たちの靴を作り続けている働き者のレプラホーンと違い、クルーラホーンは大の酒好きで、住み着いた家の酒をこっそりいただき、ほとんど毎日のように酔っぱらっている。

 時には家の主人の目を盗み、その家で雇われている召使いたちといっしょになって酒を飲むこともあるいっぽうで、酒を盗み出そうとする召使いを、追っ払ってしまうこともある。 酔いが過ぎると、ペットや家畜の背にのって大さわぎすることもあるが、そんな後は少しは反省するようで、後日、食料室や酒蔵のそうじをすることもある。

 家の者になついているというわけではないのに、家の者が引っ越しをすると、クルーラホーンは酒樽の中に隠れ、一緒に引っ越しをする。


●墓場のブタと地獄の馬

 デンマークの古い言い伝えによると、かつて、教会の下に生きうめにされたブタと馬が、三本足のユーレイになってどこかの家に現われると、その家では、かならずだれかが死ぬという。詳しいことは解っていないこの魔物たちは、「アンデルセン童話」に登場する。妖精というより、悪霊や死神の仲間なのかもしれない。


●オーレ・ルゴイエ

 デンマークの眠りの精。オーレ・ルゴイエが現れるのは、夜中になっても寝付けないでいる子供の部屋。靴下しか履いておらず足音を立てずに現れるから、家の者には誰にも気づかれない。二本のコウモリ傘を両脇に抱え、動くたびに色の変わる不思議な光る絹の服を着た姿で子供の前に登場する。

 オーレ・ルゴイエは、まずは子供の目にあまいミルクを差したあと、首筋の後ろに静かに息を吹きかける。どんな子供でも、この眠りのおまじないをされると、とたんに寝りに付いてしまう。次にオーレ・ルゴイエは、その子が良い子か悪い子なのかを瞬時に見分ける。良い子ならば色柄の傘を差し、悪い子の場合は無地の傘を差す。色柄の傘を差してもらった子供は、それから一週間、楽しい夢を見続けることができる。夢の中で、オーレ・ルゴイエといっしょにさまざまな冒険をさせてもらえるのだ。だけど、無地の傘を差された子供は、その間まったく夢を見ることなくぐっすりと眠る。

 オーレ・ルゴイエには「死神ルゴイエ」と呼ばれる弟がいる。こちらのほうは、その名の通り、死者の国に人の魂を運ぶ永遠の眠りの精。死神ルゴイエは人間が死ぬ間際に、黒いマントを付けた姿で馬に乗って登場する。そしてその人間の過去を見抜き、良い人間だった場合は馬の前にまたがらせ、悪い人間だった場合は後ろにまたがらせる。そうやって死神ルゴイエは人間の魂を死者の国まで運ぶという。魂を運んでいる時に、前の人間には楽しい話を、後ろの人間には大変恐ろしい話を聞かせる。後ろにまたがった人間は、恐ろしさのあまりブルブルと震え、ずっと泣き続けるハメになるという。


●マーメイド

 マーメイドは女の人魚の名称で、腰から上が人間、腰から下が魚の姿をした海の住民。海底に造られた宮殿に棲んでいるといわれている。ふだんは海で生活しているが、陸に上がっても、長い時間生き続けることができるので、たびたび、海辺の岩に腰かけて髪を櫛でとかす姿が目撃されたり、川をさかのぼって、湖で優雅に泳ぐ姿が目撃されたりしている。しかし、世界中の船乗りたちには、絶対に遭遇したくはない恐怖の魔物として恐れられている。なぜならマーメイドは、自分の若さを保つために人間の魂が必要で、その美しい姿で船乗りを海の中にさそいこみ、おぼれさせて魂を奪い取ってしまう、と信じられているからだ。しかし、中にはマーメイドに病気を直してもらったとか、願いごとをかなえてもらったという船乗りの伝説も残っているため、全てのマーメイドが恐ろしい魔物というわけではないようだ。それから、目撃されたマーメイドのほとんどは人間とほぼ同じ大きさだが、アイルランドには、50メートルを超える巨大なマーメイドが海岸に打ち上げられた、という古い伝説が残っているから、他の魚たちのように、人魚にも、さまざまな種類がいるのかもしれない。


●マーマン

 あまり知られていないことだが、実は、マーマンという男の人魚も存在する。世界中に残っている人魚伝説の大半がマーメイドばかりで、マーマンの伝説はわずかしかないし、目撃された報告もほとんどないから、人魚=マーメイドというイメージが、人々に定着したのだろう。

 目撃例がほとんどないのは、マーマンは人間に無関心で、船に近づくことも陸に上がることもめったにないからだといわれている。だからといって、マーマンがおとなしいというわけではないようだ。マーマンとマーメイドが結婚すると、マーマンはとても乱暴な夫になり、船によってマーメイドが傷つけられると、嵐を引き起こし,その船を沈めてしまうらしい。


●ラピュータ人

 ジョナサン・スウィストによって1726年に発表された「ガリバー旅行記」は、主人公のガリバーが、小人の国や巨人の国で活躍する物語ばかりが目立っているが、ガリバーはそれ以外の国々にも訪れており、そこでさまざまな不思議な住民たちと遭遇している。 

 ラピュータ人は、巨大な磁石の力によって空を飛ぶ島『ラピュータ』に住む人々。ガリバーの三番目の冒険話に登場する。彼らは皆、片方の目は上を、もう片方は内側をむいていて、右か左に首をかたむけ、いつも何か考えごとに熱中しているので、だれかに注意してもらわないかぎり、しゃべることも、人の話しを聞くこともできない。そのため、肩をたたいて考えごとを止めさせてくれる者が、いつも側に寄り添っている。


●ヤフー

 ヤフーは、ガリバーの最後の冒険話に登場する生きもの。ことばをしゃべる馬の姿をしたフウイヌム族が支配する国に棲んでいる。全身が毛むくじゃらのサルのような生きもので、身軽ですばしっこい。赤、茶色、黒、黄色など、さまざまな毛色のヤフーがいる。凶暴性があり、仲間同士で争ってばかりいる野蛮な種族として、フウイヌム族たちから嫌われている。


●グリフィン

 昔からたくさんの伝説や物語に登場しているグリフィンは、頭と羽根と前足はワシで、胴体と後足はライオンの姿をしている。金鉱のある山の洞窟に棲み、金を守っているといわれている。凶暴そうに見えるが、性格はおとなしい。しかし、金を狙う者や、欲張りな者には、容赦ない攻撃を仕掛けるという。

 グリフィンはアジアやヨーロッパの民話、ギリシア神話などにも登場し、人間たちの宝物を守る怪物として大切にされた。



●フェニックス

 世界にたった一羽しか存在していないとされる伝説の鳥。フェニックスという名は、ギリシャ語の深紅の鳥という意味の「ポイニクス」からきており、日本では不死鳥、または火の鳥と訳される。幸運を運んでくる鳥として、昔から世界中の人々にあがめられている。また、飛ぶ姿を目撃すると幸せになれるとか、フェニックスの灰を飲むと、不死の力を得られるとか、何かと人間にとっては縁起の良い鳥である。

 大きさは鷲ほどで、寿命は五百年以上もあり、太陽の熱をエサとし、アラビアを生息地としているという。寿命が近づくと、自ら火の中に飛び込んで焼け死に、その灰の中から、ふたたび新しいフェニックスを誕生させるという。灰からは、一羽のフェニックスしか誕生しないため、生きているフェニックスは、世界に一羽しか存在しないとされている。

 フェニックスの死と誕生にまつわる説には他にもあって、死ぬときは香りの良い枝を集めて巣を作り、そこに横たわって静かに死に、やがてその死骸にわいたウジ虫が成長し、それが新たなフェニックスになるのだという説や、アラビアで死んだフェニックスの死骸から生まれた新たなフェニックスが、その死骸を、古代エジプトのへリオポリスという都市があった地へ運ぶのだという説などがある。


●ユニコーン

 頭に細長い一本の角がはえた白い馬の姿をした聖獣で、日本では一角獣とも呼ばれる。ユニコーンの角には、どんな病気をも直し、どんな毒をも中和させる不思議な力があると信じられているため、昔から、その角を狙ってユニコーンを探し求める人間が後を絶たなかった。しかし、ユニコーンは警戒心が強く、滅多に人間の前に姿を現すことはない。角の効力で一儲けしようと企む人間たちには、その気配さえ感じさせない。唯一、処女だけには心を許して姿を現し、その膝の上で眠ることがあるという。


●フランケンシュタインの怪物

 イギリスの作家、メアリー・シェリーによって1818年に発表された小説に登場する人造人間。天才青年科学者、ヴィクター・フランケンシュタインが、いくつもの死体の中から新鮮な部分をつぎはぎにして、新たな生命を吹き込んで造り出した。強靭な肉体と、優しい心を持った人造人間として誕生したにもかかわらず、あまりにも醜い姿をしていたため、人間たちから凶暴な怪物と見なされてしまった。やがて、自分を造り出したフランケンシュタインを憎むようになって、本物の凶暴な怪物と化してしまう。



●吸血鬼ドラキュラ

 人間の生き血を吸う魔物として、昔から恐れられている吸血鬼ドラキュラは、夜になると人里をさまよい、手頃な人間にねらいを定めて首すじにかみつき、その生き血を吸う。生き血を吸われた人間は、やがて原因不明の病気にかかって死んでしまう。しかし、やっかいなのはその後で、ドラキュラによって血を吸われた人間は、死んでからしばらくすると吸血鬼として復活し、ドラキュラと同じように、人間の生き血をもとめて闇をさまよい歩く。そうやって、吸血鬼は次々と増えていく。うっかりすると、世界中が吸血鬼だらけになってしまいかねない。さらに、ドラキュラには霧に姿を変える能力があって、どんなに用心していても、わずかなすき間から人の家に入りこんでしまう。ニンニクや清められた水、十字架、塩、バラの花などを家の入り口に置いておく、という防御方法が知られているが、一時的な効果しかない。一旦狙われたら、ドラキュラから身を守るのは、かなり難しい。

 ドラキュラは、ルーマニアのトランシルバニア地方にある、古い城に棲んでいる。そこで何百年もの間、人間の生き血を吸い続けている。血を吸うたびに若返るので、年をとることも、力が衰えることもない。こんなきわめて危険な魔物は、一刻も早く退治しておかなければならないところだが、どんなに強力な武器を使って退治したつもりでも、ドラキュラはすぐに復活してしまう。退治するには、たった一つの方法しかない。ドラキュラは夜明けから日没までの間は、暗い地下室の棺の中で眠っている。その時、木や鉄でできた杭を体に打ちこみ、すばやく首を切り落とし、太陽の光にさらす。すると、ドラキュラの体は灰となって消滅する。


●チェシャ猫

 イギリスの作家、ルイス・キャロルによって1865年に発表された小説「ふしぎの国のアリス」に登場する猫。木の枝に座っていて、いつもニヤニヤ笑っている。姿を消したり、体の大きさを自由に変えることができる。消える時はゆっくりと消えるため、ニヤニヤ笑いだけがその場に残る。見た目はぶきみだが、人間に危害は加えない。

 この不思議な猫の名前は、イギリスのチェシャー地方に由来しているらしい。かつてチェシャー地方は、他の地方より飼い猫が笑うほど人々の生活が豊で、そこで作られていたチーズが、猫の形をしていたから、と言われている。

●セルキー

 イギリス、グレートブリテン島の北東に浮かぶオークニー諸島や、シェットランド諸島週辺の海底に棲むアザラシの妖精。水中を移動する時はアザラシの姿だが、海底で生活している時や、陸に上がる時は人間と同じ姿をしていると言われている。

 元々は天使だったが、天国から追放されて妖精になったとか、罪を犯した人間が罰を受けてアザラシになり、陸に上がる時だけは人間に戻ることを許されたもの、という説がある。また、女のセルキーが陸に上がるときは、アザラシの皮をぬいで美しい娘の姿になったり、男のセルキーは、マーマンと同じように嵐を引き起こし、船をひっくりかえすことがあるので、人魚の仲間ではないかという説もある。



読者登録

そのやまかりんさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について