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ほわほわ

今年も8月がやってくる・・・。


今から10年前の夏、私にとっては記憶に残る日々を経験した。
ガンセンターで「多分ガンです。手術をしましょう」の宣告。
日ごろの、只ならぬダルさと不調に悩まされていた私。


50台半ばの年恰好もあって、近所の医院で「更年期障害でしょう」の診断で済まされていたある日、新聞のある記事に目が行った。
「甲状腺ガンの症状」にまさにぴったり!の私の症状。
確信した私は、渋る医者にお願いしてCTスキャンで診察して貰った。
それまで「更年期障害ですよ」と受け流していた医者の態度が急変!


「ガンセンターに紹介状を書きます。直ぐに行ってください」。

主人と行った真新しい柏のガンセンターでも「ガンでしょうね、すぐ手術をしましょう」のお言葉。
それから入院までの数日は、身辺整理で押入れをひっくり返して過ごした。
預かっていた生地を事情を話して返送したり、暑い中を息つく間もなく過ごし、清清しい気持ちでいざ!病院へ。


「ガンですってぇ?!  およよよ」みたいな気分は微塵も無かった。
近所の医者にがんセンターの診断を報告に行った時、先生がおっしゃった言葉!
「良かったですねぇ!!ガンの診断がついて」

それほどに悩まされていた「更年期障害」とやらの症状が、これで解決する!と思うと、うきうきしながらの入院だった。


結果的には「良性の腫瘍」だったのだが、17日間の入院でいろんな方々との出会いがあり、大げさに言えば私の価値観や人生観が変わった日々ともいえるものを貰った。


4人部屋の中のお一人、大阪から肝臓腫瘍の為入院していた方は、手術はしないで薬を注入することで治療していた。
数年前にプラスチック工場経営のご主人を亡くし、女手で社長を引き継いで来たこともあり、その地では肝っ玉女史で通っていたらしい。
遅く出来た一人息子さんを、中学から全寮制の超有名な進学校に入れ、希望と期待をかけて頑張ってきたのに、彼が東京のK大学に入学したとたんにお母様が病魔に襲われてしまったとのこと。


息子さんとの大事な7年間、敢えて別居までして良い大学に行かす為に頑張ってきた自分の生き方を、病床で行きつ戻りつ頭の中で彷徨していらっしゃるのが何とも悲しい・・・。


「こんな運命なら、親子二人で寄り添って生活してくれば良かったのかしら・・ねぇ・・。」
左の薬指には、大きな大きなダイヤの指輪。
「亡くなった主人と一緒に闘っているの」と。

大阪では「社用」で東京に来ている・・ということになっているらしく、治療途中ながら仕事関係で一時帰阪。
その時は、病院の美容室で髪をセットし、大きな花柄の華やかなツーピースに身を包み、お化粧もばっちり効かせて、本当にびっくりするような別人に変身していそいそと病院を後にした。


その後、私の退院の方が早くなり、お目に掛からないままお別れしてしまった。
後日病室に見舞ったら、受付で「あの後すぐに大阪の病院に移られました」とのこと。
数ヶ月後、入院仲間で食事した際、「彼女、その後退院なさったかしらね」と話が弾み、大阪の自宅に電話をしてみたら・・・。
「大阪の病院に帰ってきて直ぐに亡くなりました」とのご返事。
あんなに息子さんのことを想い、あんなに越し方を悩み、あんなに華やかに着飾って一時退院した彼女。

今でも思い出しては涙ぐむことがある・・・。
入院時のある朝、彼女はトイレから出てきて声弾ませて言った。
「みんなに見て欲しい位!」うれしいわ!今日は、ふわふわした綺麗な形をしたのが二つだったの、
その日の彼女の晴れやかな笑顔。
その事で苦しんできた人にしか分からない解決のうれしさを大きな声で報告する彼女を見て、一緒にうれしくなると同時に、涙が出てしまった・・・。


人間の本当の姿をそこに見たような気がした。


ブランド物に身を包み、息子さんの為ならと別々に住まい、地域の肝っ玉女史として頑張ってきた彼女も、一人の生身の女性。
いじらしい可愛い女性の姿がそこにあった。

そんな彼女は、それから3ヶ月も経たないで逝ってしまった。
今でも時々「ふわふわ!みんなにも見て欲しい位!」と叫んだあの時の彼女を思い出す・・・。

人っていじらしい。そして素晴らしい。

最近、すっかり忘れていた「あること」を知り、感動を新たに思い出した。


それは、私の入院・手術を機に、どうしても止められなかったタバコ(パイプ)をその日を境にピタッと止めた主人の心。


あれから10年を迎えようとしている。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


家事

我が家のスプーンが何時の間にやら少なくなっている。
怪奇現象か、はたまた知らぬ間に私が食べちゃっているものか・・・

(ん~な・・・!?)


兎に角スプーンが何時の間にやら何処かに消えているらしく、お客さんにコーヒーを出そうとして、数が揃わず慌ててしまうことが度々。


先日も揃わないスプーンでコーヒーを飲んでいる時、言い訳混じりに知人にそんな話をしたら、なんと!「うちもそうなのよ」といううれしい言葉!
我が家だけかと思っていた・・・。
つまり、私の道具の取り扱いが雑でこういうことになっているのかと・・。
それも多分正解だと思う。

昔から、私の家事の速さには定評があったらしい。
毎日洋裁などをごそごそやっていて、切羽詰った家事の時間の捻出に、勢い馬車馬の如き行動に出るらしい。


前に友人家族が泊まりに来た折、一緒に朝の歯磨きをしていてびっくりされた。
「あなたのパワーの秘密が分かったわ!」
つまり、歯を磨く行動が「コマ落とし」のような速さなのだとか。
のんびりやの彼女の目に映った私の姿を想像して、今でもクスリ!と笑ってしまう。


人間、同じ24時間しか頂いていないのだから、何かをやろうとしたらその分ハジカレル時間というのもあるだろう。


その彼女のお宅で食事をご馳走になった時、私も別の意味でびっくりした!
お茶碗に炊き込みご飯を盛るのに、何回おしゃもじを動かしただろう!
綺麗に、綺麗に、丁寧に、丁寧に、まるで仏様のご飯みたいに綺麗に盛り上がったお茶碗を受け取った時、自分の家事の行動の雑さを思い知った。
私なら、バッと盛り、ざっざっと二・三回小高く整えるだけで終わるだろう。

ある方の洗濯物の干し方を見ていてびっくりしたことがある。
丁寧に丁寧に竿に干し、隅々キチン!と伸ばしたりさすったり叩いたり、一枚のシャツを干すのに何分掛かったことやら。
それに引き換え私の干し方ときたら、「バン!」と一振り、竿に通してびっ!と裾を引っ張っていっちょ上がり!
ちょっと情緒に欠けるかなぁ・・。
でも、私としては気分上々、「あ~~ぁ!しあわせ!」と深呼吸などしながら満足感の権化と化して風に揺れる洗濯物を眺めているのだ。


着る時に、ちょっとでこぼこした皺の感触がまたうれしかったりして・・・。
あい?やっぱり私って雑?

そんなこんなで、今日も「雑な」時間が流れていく・・・。



 

 

 

 

 

 

 

 


久しぶりに友達4人とランチを食べようということに。


初めて入る中華料理店に決める。なかなか綺麗なお店だ。
何食べる?と賑やかにメニューと首っぴきの結果、それぞれの好みの料理を注文をする。
程なくして運ばれてきたあつあつの美味しそうなお料理!
わくわくにこにこ「いっただきま~す!」と箸をつけたとたん、「しょぱいぃ!何この味付け!」とT女史。
どれどれ・・・と私も一口。
確かに味がしっかり目だが、私にとっては別に・・・という感じ。
一口毎に「あ~しょっからい!」と文句たらたらのT女史は、しまいには「コックに文句言おうかしら」とまで言い始める。
彼女の鋭敏な味覚の為に、その場には気まずい雰囲気が漂う。

***

それと同じような場面は結構ある。
楽しいパーティの最中、ぱくぱくにこにこ美味しく頂いている横で、「私はコレステロールが高いので、これは食べられないの」とか「私これ嫌い!」とか。

私だったら、その場は皆と同じように頂き、嫌いなものがあったら(ない!)皆に気付かれないようにそっと端に残し、カロリーやコレステロール系が心配でも美味しく頂き、その後の自宅での食生活で辻褄を合わせる工夫をするなぁ・・・。


先述のお店の「味付け」の事でも、我慢出来ない程の場合は別として、「しっかりしたお味だこと!」と楽しみ、薄味の場合は「お上品なお味だこと!」と楽しみ、自分で選んで入ったお店なのだから最後までしっかりと頂いて帰るなぁ・・・。

もし我慢できない程だったら、二度と行かなければ良いのだから。

これはもしかして、味音痴の為?
こんな日和見な私だから、お料理が上手くならないのかも知れない・・。

だって、どんなものでも美味しいと感じるのだもん! (恥)


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


牛丼

今日はスカッと晴れた素敵なお天気!
こんな日は、お洗濯物が無くても無理やりシーツを剥がしてお洗濯したくなる貧乏性。
だって、折角のお日様を素通りさせるのが勿体無いのですもの・・・。
そこで今しがた大きなシーツをパン!パン!と引き伸ばして干して来たところ。
あ~~!良い気持ち!

それにしても私って、ケチなのかしら鷹揚なのかしら・・・。

「お日様をのがすな!」とシャカリキになる割りには「雨もいいなぁ・・屋根に守られている私って何てしあわせ!」などとそぼ降る雨を窓から飽きずに眺めていたり・・・。

洋服生地はハギレが大好き!まるでパズルをするように、あぁでもない・・こうでもない・・と型紙をはめこんで、出来る筈もないような少しの生地から自分の洋服を作り出した時の喜びは例えようも無い満足感。
そんなケチ(?)な私が、「高級一着分」などという生地を、惜しげもなく皆様にダンボール箱で差し上げたり・・・。(「ドレスの小路」で実施)

 



話は飛ぶが、去年のこと。
6年だった孫が塾通いで良く立ち寄っていたらしい「吉野家」の牛丼を、「ツユダク」だとか何とか「通」ぶって話しているのを聞いて、行ったことがない私も急に行きたくなった。


「テスト100点取得記念」(? 理由は何でもいいのです。我が家的には・・・)ということで、一家で吉野家へ!いざ!
わ~ん、良い匂い!
どれにしようかな・・・と迷っていたら、息子が小さな声で「ココはささっ!と決めるのがオキテ!」
そこで慌てて例の「ツユダク」と卵を追加で注文。
あっという間に出来てきた「吉野屋の牛丼」!わ!これこれ!わくわく。
ショウガはとり放題・・ですと?。やっほー!


そこで私がやったこと! そのショウガをワンサとつまんで丼に獲得!
ふと見回すと、他の皆は必要なだけのちょびっとしか取っていない・・・。
そこで私の「欲張り精神」が露呈・・。(^_^;)
そのテンコ盛りのショウガをなるべく早く消費すべく、目を白黒しながら食べた経験は、ほんとに辛いショウガの味でした!

そんなケチMEMEなのに、スーパーのチラシに目を通したことがなく、買いたい時に買いに行くという鷹揚さ。(ま、たかだか二人分だということもあるけど)

私って、ケチなのかしら・・・、鷹揚なのかしら・・・。

「吉野家の牛丼」、早く復帰して欲しいな。
その時は「鷹揚に」ショウガをちょびっとつまんで、すまし顔でいただくぞぉ~ん!


 

 

 

 

 

 

 

 

 


注射

今年もあと僅か。
毎年の事ながら、年の瀬が迫ってから市の健康診断に慌てて駆けつける。
もっと早く受けておけばいいものを、後で・・後で・・と一日伸ばしにしているとこんな時期になってしまう。


病院の待合い室で、壁に掛けてある「小磯良平」のパステル画や油絵などを眺めていたら、先に診察室に入っている方の採血風景がカーテンの隙間からちらりと見えた。


ちょっと髪の薄くなった50前後の働き盛りのおじさんが、注射針を見ないように、出来る限り首を回して目をぎっとつぶって我慢している様子が可愛かった。


私は絶対、最初から最後までじっと確認しないと気が済まないタチ。
針が何時刺されるか、血管に上手く命中するか、全部リアルタイムで凝視していないと嫌なのだ。
ひっ、いつ刺されるのかな・・・痛いかな・・・と見ぬふりでどきどきしている方が不安。
自分に起こる全てのことを知っておきたい性分。


この二派はきっと、癌の告知でも同じ様に二派に分かれるのだと思う。
私は自分の病状を全部知り、調べ上げた上で自分の余命を自分で取り仕切りたい。
主人はどうも他派のようだ。


目をぎっちりつぶって耐えていたあのおじさん派は、人生もふわりと夢多くすごしているのだろうなぁ・・・。
現実を見据えて、痛みも自分のものにしてしまう私のような生き方は、ちょっとリアルで甘さがなく、可愛げが無いかもしれないが、その分「いつ刺されるか」という不安からは逃避できる気がする。


などなど考えながら、待ち時間をすごしていたことだった。

で・・・。「白内障のようですね・・」だって!  げっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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