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生まれ変わっても・・・

ある週末の、窓から春の兆しを含んだ光がキラキラ遊んでいる穏やかな朝。
トーストにサラダ、ヨーグルトにコーヒー、それに、バナナを添えてゆっくりした朝食。


何だか、満たされた気分。

「ねぇ、私達って幸せな結婚だったよね。」
何故だか思わず感傷的になって口ずさんだ私。


「うん」と主人。


お調子に乗った私、「生まれ変わってもまた同じ生活を一緒にしようね~っ!」

「・・・・・・」


ありゃぁ?この「間」は何じゃ!

この「・・・」は予期せぬ事だったので、ちょっとうろたえる私。
「勿論 そうだね!」という返事が、当然すぐに返ってくると思っていたのに・・・。(・・;)


おもむろにいったぞ!
「もう少しゆったり過ごしたいね!」・・・。 

 

    (゚.゚)うっ・・。


わん!こりゃ参った!
いつも「ママが一生懸命何かに取り組んでいるのを応援するのが僕の喜び!」みたいなことを言ってくれていたのに・・・。


ほんの出来心で軽く言った「生まれ変わっても・・・」発言なのだから、「うん、そうしよう!そうしよう!」でいいじゃないさぁ!
そんなに真剣にならなくてもぉ!
私だって次の瞬間には「だ~れが!」という気にならないとも限らないのにぃ!


結婚以来の色々な出来事が走馬灯のように頭を駆け巡る・・・。
舅・姑・小姑(5人!)のわんさかいる家に新婚から同居して、

10人家族に揉まれ揉まれたけなげな(?)私。


一緒になってからの40年が一瞬に蘇る。


アノ時の事!この時の事・・・。
決して全てが上手く行った訳でもない越し方・・・。


でも、手を取り合い頑張って来たじゃないぃ~~。
もうしらない! (-_-;)

これは私の心の中の会話。
一瞬の動揺の間も、穏やかな春の光が窓で踊っている・・・。

「そうね。じゃ、そうしようね!」と私。

これで二人の会話は終わり。

ほ~ら・・。やっぱり私って良い奥さんでしょうがぁぁ!

あれれ、ちょっと的が外れてた・・・。
「もうちょっとのんびりと」生活するなら「OK!」という意味だったのね。


でもさ!
彼が結婚を決める時上司に報告に行ったら(職場結婚)、「彼女のような【ジャジャ馬(!)】を乗りこなせますか?」と聞かれて「勿論大丈夫です!」と見栄を切ったと聞きましたよ!(勿論、冗談でしょうが・・)
アノ時覚悟を決めたんじゃなかったの?


それにしても上司殿!何故に私を「ジャジャ馬!」と????! 信じられない!(-_-;)

そういえば某銀行に勤めていた独身時代は、「お茶」「お花」「お琴」「書道」「絵」と、一週間をフル活用。

 

しかも、寸暇を惜しんで自分の通勤用の洋服を作って「自作自演」の日々・・。


男性とのお付き合いなど「暇が無いのでごめんなさい!」だったなぁ・・。
その隙間に入り込んできた主人は確かに凄い!


結婚してからの私は、二人の息子を育てながら、主人の姑・小姑・弟嫁たちのお洋服を一手に引き受けて(洋裁学校歴は無し)頑張った!
(それが現在のドレス製作の基礎)
なにもかも手作りで育てた我が家の幸せ。


貴方の整髪も40年してあげたでしょうが・・・。 ぐちぐちぐち・・・。

「ジャジャ馬」をメトッタ貴方が悪い! (-_-;) ・・・。

あれ?やっぱり私の不利!
来世は「大和なでしこ」を・・・と希望されても仕方ないか・・・。

とつ・おいつ・心の中は右往左往。

数日後その話題に触れたら、「何?それ・・・」だって。
きまぐれな気分で何となくの返答だったよう・・・。

そうよね!そうよね!当たり前よね。
「貴方はわたしのもの」。

それにしても、こんなにナイーブで内気な私を、どうして「ジャジャ馬」なんて言ったのさ!上司どの!

40年前の事を思い出して、心の中で「リベンジ」している私。
やれやれ・・・。

 

 

 

 

 

 

 


亭主の好きな・・

このところの私の加齢現象には本当に参る!


鏡に映る我が顔のシミやたるみ。手当てをしてこなかったツケがどっと押し寄せた感じ。


PCや洋裁の仕事のメガネ着用のまま鏡を見ようものなら、

卒倒しそうな酷さ。


でも、これが私!いいのいいの・・・、おじいちゃん(主人)が何にも言わずに受け入れてくれているんだからと、最後は逃げ道を考えて諦めに入る。


「これからお嫁に行く訳じゃないも~ん!」


それにしても、よくぞこんな私を大事に思ってくれているものよ!と、主人の太っ腹(といっても、私の方が10kgも体重は重い!)に感謝!


ほんとは主人の好みは「八千草かおるさん」。しなやかなやさしい女性らしさが漂う人。わたし、密かに好みの人を知っているんだぁ。


でも、私が彼女の真似をしたところで・・・。ねぇ・・・。
自分なりには身だしなみにも気を付けているつもりだけど、この加齢現象は加速して行く模様。

 


鏡に向かい、眉を描いている時にいつも思い出すテレビでの一こまが。


ある老人施設の撮影での事、車椅子を押して散歩中のお婆さんとご主人らしき姿。
おばあさんの顔のUPで「あれ?」・・。眉毛の両方が繋がっているのだ

それも太太と。


柔和な笑顔でおじいさんの車椅子を押して楽しそうに野の道を散歩するのどかな風景が、一瞬不思議な世界に。


付き添っている看護の方が雰囲気を察して、こうおっしゃった。


「おばあさんは、おじいさんの好きなことは何でもするんですよね」


やさしく話しかけるその方に、おばあさんもにっこり。
話によると、お化粧をした太い眉をおじいさんが「素敵だよ」って褒めたのだとか。
それ以来、だんだん眉を太く長く描くようになり、ついには一直線の眉にまで発展したとか・・・。


他人の目にはびっくりするようなお化粧も、本人には「亭主の好きな・・・」の素敵な意思なのだった・・・。


それを柔和な瞳で見上げる車椅子のご主人も、何の不思議も無いかのよう・・・。

それはそれは素敵な「夫婦」の姿でした。

「亭主の好きな・・」・・・
私には絶対なれない「大和なでしこ」風女性。でも、心だけはそうありたいとは思っているのだが・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


良い子にしてるからぁ・・・

3ヶ月ごとに薬を貰いにいく病院でのこと。
そこは国立の「ガンセンター」。
話せば長くなるけれど・・・(長くなりそうなのでこの先はカット!)、私はここへ3ヶ月毎に通ってはや7年。
すっかり「患者の最長老」になりかけているこの頃。

暑い夏の予約日。ふうふういいながら出かけていき、大いに待たされた後、久しぶりに血液検査を。とのご命令。

検査室へ向かうと、向こうから子供の声がする。
良く聞くと「良い子にしてるからぁ~!」という涙混じりのだだをこねている声。


どうしたんだろう・・・。何でこんなところに子供が?といぶかりながら声の主を探すと、いたいた!


若いお父さんと、2才位の女の子と、だだっこ男の子4才位が、三人で廊下の目立たない隅に固まりあって座っている。

「いいこにしてるからぁ!」「いいこにしてるからぁ!」

お父さんの胸の中から見上げながら、何度も何度も同じ言葉を訴えている男の子。


もう一人の女の子を膝に抱き、だんだん大きな声になってで叫ぶ男の子の頭を時々撫でながら、優しく「しっ・・・」と口に手をやるお父さん。
それでも同じ言葉を繰り返す。「いいこにしてるからぁ!」

 

すこしづつ大きな声になってくる僕。

そうか、お母さんが検査を受けているんだ!
そして、ただならぬ気配でおかあさんの危機を感じているんだ!
検査室に入っているお母さんを廊下の片隅でひっそりと固まって待つ親子三人。

私が採血室に入っても「いいこにしてるからぁ!」という声がずっと聞こえていた・・・。

気が付くと、下の待合室に親子4人の姿があった。
支払いをしているお母さんを、三人の塊がしっかりと寄り添ってまっていた。
見かけは元気そうに笑顔もあるお母さん。
それだけが救いだったが、それからのあのご家族に平和が訪れているのだろうか・・・。


あれから3ヶ月が経つ。
間もなくまた予約日がやって来る。

あの「いいこにしてるからぁ!」と訴えていたあの坊や。お母さんの胸に顔をうずめているかな・・。


「いいこにしてるから、お母さん元気になってね!」という叫び声が今も頭から離れない。

「いいこにしてるからぁ!」「いいこにしてるからぁ!」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


視力が悪いと

いやはや、このところの老け具合のひどさには参った!
何より困ったのが「目!
老眼鏡をちゃんとめがねやさんで作って貰っただがどうもそれも合わなくなってきたらしい。
私の目ときたら、「近視」で「乱視」で「老眼」、おまけに「めつき」も悪い。

 

目が悪いと・・・の話・・・


昔昔のその昔、社会に出たてのうら若き人だった頃のお話。
朝の通勤のバスをまっていると、三歳上の兄の友人と目が合った。
「おはようございます・・」小さな声でご挨拶・・・。気が小さい私はそそくさとバスのなかへ。
さあ、それが大変な事に発展してしまったのでした・・・。
なんと、人違いだったんです!
それも、それも・・・、その人はなんと以前から「なに」だったらしいのです。
「なに」ってなにか?って?
今の私がそんなことを言っても誰も信じないでしょうけど、取りあえずその頃は一応若い人並みな女の子だったのです。
で、その方は、常日頃からガンをつけて(あ、目ですね・・・)毎日見ていたんですって。
それがある日、恥じらいながらのういういしい(?)「おはようございます・・」。
さあ、その方は舞い上がってしまって、その後はなんじゃら・かんじゃら!
もち、事実を間接的にお伝えしたのはゆうまでもありません。
目が悪かったばかりに・・・人違いしたばかりに・・・失意からその方の運命まで変えてしまったのでした・・・。
(ちょっと大げさかな?)

 

・・・と、笑えない遠い思い出・・・。  

 

 

さて・・、
この頃の私ときたら、乱視用の眼鏡の上から「カチャッ」と掛ける小さい「跳ね上げ式老眼鏡」を被せて、まるでハンコ職人さんのようなイデタチをしていることが多いのです。
で、パソコンの前ではそれなりの老眼鏡を。そして、洋裁をする時には、またそれなりの度数の眼鏡をして・・・と、目まぐるしく掛けたり外したりをやっている日常。

先日、さ~て寝ようか・・・と髪に手をやり、カチューシャ(髪止め飾り)をはずしたら、何かまだある・・・。
「ん?」あわてて手でまさぐると眼鏡!、「いや~ん、眼鏡を上にあげていたわ」。
ややっ!まだ何かある!
再び暗闇の中を手さぐり・・・。ありゃりゃ!また「眼鏡!」それも、例の2重の「跳ね上げ式眼鏡」!
なんということ!
合計3つも頭の上に老眼鏡を載せていたのでしたぁ!

しかも、カチューシャまで・・・。

道理で今日は頭が重かったぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


どこへ・・?

今日はコンサートへ出かけた。


MEME作成のドレスが活躍する舞台(主客転倒!)を見に(聞きに!)池袋の芸術劇場へ・・・。


イタリアンシルクの「朱色」の生地に、胸の部分に黒のベルベットをはさみ、金と黒、赤を基準にした同系色のビーズで刺繍を施した、お手間入り。


さぁ~て、舞台映りはどうかしら・・・。


会場に吸い込まれて行く人波を見ると、いつも胸が高鳴ってくる。
「何千人ものこの方々が、舞台で一時間はMEMEのドレスを見続けるのだわ!」


作る時は、ただ楽しく仕事に没頭しているのだが、皆様の反応をここへ来て
初めて感じて慌てるのはいつもの事。
もう、10年以上もドレスに携わっているのに、「学習」が足りない私。


さて!開幕!

ひとしきりのしわぶきの後のシーンとした緊張感!


と!・・・・
カツカツと足音も高く舞台に登場した「かのドレス!」


イタリアンシルクのきぬずれの音も聞こえんばかりの静寂の中、手塩にかけた我がドレスが風を孕み、風を捲いて裾のトレインも鮮やかに登場!


胸がたかなる・・・。
ん!胸の黒がぐっと効果的!刺繍がライトにどう反応しているか・・・。
「ラロ:スペイン交響曲 二短調 作品21」(ヴァイオリン協奏曲第2番)・・・


素晴らしい・・・。いつもの事ながら、さすが世界の小〇美恵さん!
華奢な身体からエネルギッシュな旋律がほとばしる。
クライマックスの身体のしなりで、ビーズ・スパン・ラインストーンがきらきら光る。


う~ん・・・。綿密に計画した、スペインをイメージして作成したドレスのカラーもスタイルも、成功!成功!大成功!


カーテンコールが7~8回。熱狂的に拍手は鳴り響く・・・。


こんな大舞台にMEMEのドレスを着て下さることに感謝!
何千人の人々の拍手の中第一部が終わり、ホォ~ッ!!

 

★ 


さて、二部の「ベルリオーズ:幻想交響曲作品14
「ひとりの芸術家の生涯のエピソード」
のオーケストラが始まる。あまり聞き慣れない曲だ・・・。


彼女が、今回も素晴らしいお席をご用意して下さって、珍しく2階席。

いつもは一階の前の方の指定席が多いので、二階席は全体が見下ろせて新鮮な感覚。

 

この曲ではドレスの心配からも開放されて、リラックスしてオーケストラの曲に耳を傾ける・・・。


曲が進むにつれて、だんだん曲から思考が離れていく。(聞きなれない曲
だからか、ドレスの大役が済んでほっとした為か・・・)
メンバーの後ろ列に陣取るティンパニー。大太鼓。左に座って出番をじっと
かたずをのんで待っているシンバル係り(?)。
お、出番だ!。おもむろにシンバルを取り上げたぞ。じっと待つ。じっと待つ!。
それ!ジャ~ン!
あらら、折角頑張ったのに、他のパートも目一杯力を込めて演奏するクライマックスなので、全然目立たない。残念でした。


そのうち、最左に座っていた人が(シンバルばかりに目が行っていたので、
何をしていた方か分からなかったんだが・・・)つい!と立ちあがると、なんと、
おもむろに舞台の左を蟹歩き姿勢で出入り口に向かう・・・。


うぬ???
もしかして、急にお腹が痛くなったとか?はたまた、楽器を忘れて取りにいったとか??


彼が居なくなっても、そのまま曲は進んで・・・。
と、ある楽章まできたところで、突然、何処からともなく綺麗な鐘の音が鳴り響く・・・。
見渡しても、鳴り響く鐘を打っている人はいないようだ。
とすると、彼が裏で打っているのかな???。
えっ?えっ?・・・


疑問のうちにシンバルおじさんの出番が多くなるクライマックスの演奏が鳴り響き、
じゃ~ん!!で「幻想交響曲」が終わった。
もしあの「鐘」担当者だったのなら、盛大な拍手の渦の中、そっと(大威張りで)席に帰っても良さそうなのに、その「消えた」おじさんは帰ってこなかった・・・。

どこへ・・・?なにしに・・・?どうして・・・?
疑問だらけで素敵なコンサートは終了したのだった!

それにしても、どこへ???

 

後に、音楽通の兄にその話をしたところ、「あの曲はそういうことになってるんだ」とのたまう・・・。

舞台に「鐘」は上げられないから、舞台以外の所で打つのだそうな・・・。

 

でも・・・、蟹歩きでこっそりと舞台を去ったあの方の行方が気になって気になって、オーケストラに打ち込めなかったのは残念だった。

 

無知は「損」・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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