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良い子にしてるからぁ・・・

3ヶ月ごとに薬を貰いにいく病院でのこと。
そこは国立の「ガンセンター」。
話せば長くなるけれど・・・(長くなりそうなのでこの先はカット!)、私はここへ3ヶ月毎に通ってはや7年。
すっかり「患者の最長老」になりかけているこの頃。

暑い夏の予約日。ふうふういいながら出かけていき、大いに待たされた後、久しぶりに血液検査を。とのご命令。

検査室へ向かうと、向こうから子供の声がする。
良く聞くと「良い子にしてるからぁ~!」という涙混じりのだだをこねている声。


どうしたんだろう・・・。何でこんなところに子供が?といぶかりながら声の主を探すと、いたいた!


若いお父さんと、2才位の女の子と、だだっこ男の子4才位が、三人で廊下の目立たない隅に固まりあって座っている。

「いいこにしてるからぁ!」「いいこにしてるからぁ!」

お父さんの胸の中から見上げながら、何度も何度も同じ言葉を訴えている男の子。


もう一人の女の子を膝に抱き、だんだん大きな声になってで叫ぶ男の子の頭を時々撫でながら、優しく「しっ・・・」と口に手をやるお父さん。
それでも同じ言葉を繰り返す。「いいこにしてるからぁ!」

 

すこしづつ大きな声になってくる僕。

そうか、お母さんが検査を受けているんだ!
そして、ただならぬ気配でおかあさんの危機を感じているんだ!
検査室に入っているお母さんを廊下の片隅でひっそりと固まって待つ親子三人。

私が採血室に入っても「いいこにしてるからぁ!」という声がずっと聞こえていた・・・。

気が付くと、下の待合室に親子4人の姿があった。
支払いをしているお母さんを、三人の塊がしっかりと寄り添ってまっていた。
見かけは元気そうに笑顔もあるお母さん。
それだけが救いだったが、それからのあのご家族に平和が訪れているのだろうか・・・。


あれから3ヶ月が経つ。
間もなくまた予約日がやって来る。

あの「いいこにしてるからぁ!」と訴えていたあの坊や。お母さんの胸に顔をうずめているかな・・。


「いいこにしてるから、お母さん元気になってね!」という叫び声が今も頭から離れない。

「いいこにしてるからぁ!」「いいこにしてるからぁ!」


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


視力が悪いと

いやはや、このところの老け具合のひどさには参った!
何より困ったのが「目!
老眼鏡をちゃんとめがねやさんで作って貰っただがどうもそれも合わなくなってきたらしい。
私の目ときたら、「近視」で「乱視」で「老眼」、おまけに「めつき」も悪い。

 

目が悪いと・・・の話・・・


昔昔のその昔、社会に出たてのうら若き人だった頃のお話。
朝の通勤のバスをまっていると、三歳上の兄の友人と目が合った。
「おはようございます・・」小さな声でご挨拶・・・。気が小さい私はそそくさとバスのなかへ。
さあ、それが大変な事に発展してしまったのでした・・・。
なんと、人違いだったんです!
それも、それも・・・、その人はなんと以前から「なに」だったらしいのです。
「なに」ってなにか?って?
今の私がそんなことを言っても誰も信じないでしょうけど、取りあえずその頃は一応若い人並みな女の子だったのです。
で、その方は、常日頃からガンをつけて(あ、目ですね・・・)毎日見ていたんですって。
それがある日、恥じらいながらのういういしい(?)「おはようございます・・」。
さあ、その方は舞い上がってしまって、その後はなんじゃら・かんじゃら!
もち、事実を間接的にお伝えしたのはゆうまでもありません。
目が悪かったばかりに・・・人違いしたばかりに・・・失意からその方の運命まで変えてしまったのでした・・・。
(ちょっと大げさかな?)

 

・・・と、笑えない遠い思い出・・・。  

 

 

さて・・、
この頃の私ときたら、乱視用の眼鏡の上から「カチャッ」と掛ける小さい「跳ね上げ式老眼鏡」を被せて、まるでハンコ職人さんのようなイデタチをしていることが多いのです。
で、パソコンの前ではそれなりの老眼鏡を。そして、洋裁をする時には、またそれなりの度数の眼鏡をして・・・と、目まぐるしく掛けたり外したりをやっている日常。

先日、さ~て寝ようか・・・と髪に手をやり、カチューシャ(髪止め飾り)をはずしたら、何かまだある・・・。
「ん?」あわてて手でまさぐると眼鏡!、「いや~ん、眼鏡を上にあげていたわ」。
ややっ!まだ何かある!
再び暗闇の中を手さぐり・・・。ありゃりゃ!また「眼鏡!」それも、例の2重の「跳ね上げ式眼鏡」!
なんということ!
合計3つも頭の上に老眼鏡を載せていたのでしたぁ!

しかも、カチューシャまで・・・。

道理で今日は頭が重かったぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


どこへ・・?

今日はコンサートへ出かけた。


MEME作成のドレスが活躍する舞台(主客転倒!)を見に(聞きに!)池袋の芸術劇場へ・・・。


イタリアンシルクの「朱色」の生地に、胸の部分に黒のベルベットをはさみ、金と黒、赤を基準にした同系色のビーズで刺繍を施した、お手間入り。


さぁ~て、舞台映りはどうかしら・・・。


会場に吸い込まれて行く人波を見ると、いつも胸が高鳴ってくる。
「何千人ものこの方々が、舞台で一時間はMEMEのドレスを見続けるのだわ!」


作る時は、ただ楽しく仕事に没頭しているのだが、皆様の反応をここへ来て
初めて感じて慌てるのはいつもの事。
もう、10年以上もドレスに携わっているのに、「学習」が足りない私。


さて!開幕!

ひとしきりのしわぶきの後のシーンとした緊張感!


と!・・・・
カツカツと足音も高く舞台に登場した「かのドレス!」


イタリアンシルクのきぬずれの音も聞こえんばかりの静寂の中、手塩にかけた我がドレスが風を孕み、風を捲いて裾のトレインも鮮やかに登場!


胸がたかなる・・・。
ん!胸の黒がぐっと効果的!刺繍がライトにどう反応しているか・・・。
「ラロ:スペイン交響曲 二短調 作品21」(ヴァイオリン協奏曲第2番)・・・


素晴らしい・・・。いつもの事ながら、さすが世界の小〇美恵さん!
華奢な身体からエネルギッシュな旋律がほとばしる。
クライマックスの身体のしなりで、ビーズ・スパン・ラインストーンがきらきら光る。


う~ん・・・。綿密に計画した、スペインをイメージして作成したドレスのカラーもスタイルも、成功!成功!大成功!


カーテンコールが7~8回。熱狂的に拍手は鳴り響く・・・。


こんな大舞台にMEMEのドレスを着て下さることに感謝!
何千人の人々の拍手の中第一部が終わり、ホォ~ッ!!

 

★ 


さて、二部の「ベルリオーズ:幻想交響曲作品14
「ひとりの芸術家の生涯のエピソード」
のオーケストラが始まる。あまり聞き慣れない曲だ・・・。


彼女が、今回も素晴らしいお席をご用意して下さって、珍しく2階席。

いつもは一階の前の方の指定席が多いので、二階席は全体が見下ろせて新鮮な感覚。

 

この曲ではドレスの心配からも開放されて、リラックスしてオーケストラの曲に耳を傾ける・・・。


曲が進むにつれて、だんだん曲から思考が離れていく。(聞きなれない曲
だからか、ドレスの大役が済んでほっとした為か・・・)
メンバーの後ろ列に陣取るティンパニー。大太鼓。左に座って出番をじっと
かたずをのんで待っているシンバル係り(?)。
お、出番だ!。おもむろにシンバルを取り上げたぞ。じっと待つ。じっと待つ!。
それ!ジャ~ン!
あらら、折角頑張ったのに、他のパートも目一杯力を込めて演奏するクライマックスなので、全然目立たない。残念でした。


そのうち、最左に座っていた人が(シンバルばかりに目が行っていたので、
何をしていた方か分からなかったんだが・・・)つい!と立ちあがると、なんと、
おもむろに舞台の左を蟹歩き姿勢で出入り口に向かう・・・。


うぬ???
もしかして、急にお腹が痛くなったとか?はたまた、楽器を忘れて取りにいったとか??


彼が居なくなっても、そのまま曲は進んで・・・。
と、ある楽章まできたところで、突然、何処からともなく綺麗な鐘の音が鳴り響く・・・。
見渡しても、鳴り響く鐘を打っている人はいないようだ。
とすると、彼が裏で打っているのかな???。
えっ?えっ?・・・


疑問のうちにシンバルおじさんの出番が多くなるクライマックスの演奏が鳴り響き、
じゃ~ん!!で「幻想交響曲」が終わった。
もしあの「鐘」担当者だったのなら、盛大な拍手の渦の中、そっと(大威張りで)席に帰っても良さそうなのに、その「消えた」おじさんは帰ってこなかった・・・。

どこへ・・・?なにしに・・・?どうして・・・?
疑問だらけで素敵なコンサートは終了したのだった!

それにしても、どこへ???

 

後に、音楽通の兄にその話をしたところ、「あの曲はそういうことになってるんだ」とのたまう・・・。

舞台に「鐘」は上げられないから、舞台以外の所で打つのだそうな・・・。

 

でも・・・、蟹歩きでこっそりと舞台を去ったあの方の行方が気になって気になって、オーケストラに打ち込めなかったのは残念だった。

 

無知は「損」・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


帯状疱疹

2ヶ月前に「帯状疱疹」なる不思議な病気に罹ってしまった。


良く耳にする「痛いんだ~あの病気にかかると!」という話は聞いていたのだが、さて、自分がなってみると、何とも鬱陶しい。

左の目の上がごろごろするなぁ・・・と思っている間もなく、お岩さんのように腫れてきた。
それと同時に、電気くらげになったかと思う程その周辺が【びりびりびり】
しまいには、細い目がもっと細くなり、顎を突き上げないと前が見えないようなていたらく。
しかも、びりびりが頬から唇にまで広がってきて、こりゃ~絶対に変!と不安になってくる。
しかも、しかも、熱がある感じ。


ふらふら・びりびりしながら電気くらげのように放電しながら歩いて眼科へ・・・。


やっぱり「帯状疱疹」が目に来ているとか。
皮膚科にも行きなさいとの命令で、またもや電気くらげの如くビリビリふらふらと皮膚科に・・・。


それからは病院通いの梯子で毎日【びりびり】との戦い。
耳や頭や、ついには首の後ろまで痛くなってきて、「あぁ・・・。美人薄命かな・・・」と密かに「美人の仲間入り」をホクソエンダリしたものだ。


ところがどっこい!


やっぱり「世にハバカル運命」が付いているらしく、徐々に回復に及んで、やっと痛め止めから開放されたのが一ヶ月半後の事。

瞼にへばりついていた「かさぶた」がようやく取れて、あ~さっぱり!
まだまだ赤みは残っているけれど、これで「お岩さん」から脱却!とよろこんだ。


と!


何やら左目のまぶたのあたりがすかすかしている・・・。
近眼で老眼で小さくて細い目をよ~~ぉく見開いて観察したら!!

無い!有るか無しかのけなげな我が睫毛が、ごっそりカサブタと一緒に消えている!

つまり 瘡蓋に睫毛が生えている!!



ただでさえビューラーにはさまらないほど短い我が睫毛だったのに、左目三分の一がごっそり無くなってしまい、あらららぁ・・・としばし呆然。

でも、そこがわたくし! 考えた!
「これからお嫁に行くわけじゃ無し! ドンマイ!ドンマイ!」

それにしても、「睫毛がなくなったぁぁぁ!」と騒ぐ私にのたまった主人の言葉!


「大丈夫、大丈夫、全然気がつかなかったよ。」
そりゃないでしょうがぁぁ!

ま、彼なりの慰め方だったのだと思いましょう・・・。

う~ん・・・。

 

睫毛が有ろうと無かろうと、見栄えは変わらないとな・・?

 

もしかしてこっちの方がショックだったかも。(゚゚)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


いのち

今日は土曜日。


二階に住む孫娘の「はぴ」ちゃんからまた電話がくるかな?


「おばあちゃ~ん。今日泊まりに行っていいぃ?」
にんまりしながら「ママがいいっていったらね!」。


かくしてまたうれしい泊まり客の来訪となるのが毎週の常。
ここに二世代住宅を建ててから早3年近くになる。早い早い。


孫達も小4と小1に成長して、めっきり大人っぽくなってきたので、この習慣もそろそろ終わりかな・・・と思いながら大事にしているこの頃。
もう、小4のお兄ちゃんは余程でないと泊まりに来ない。
早朝からの「少年野球」の練習を気にして、早々の就寝を心がけているから・・・。

思えば、ここで一緒に上下の階で住むようになってから、心落ち着いた素敵な時間を過ごしてきた。
長男一家に感謝!の気持ちがふつふつとして来る。

2年ほど前のある土曜日。
「お泊まり保育(?)」の夜、動物のテレビを見ていたはぴ。
食うか食われるか・・・のシーンを見て言った。
「ライオンって悪い!生き物を食べちゃうんだもん!」

あまりの憤りに、私は言った。
「でもね・・・。みんなそうやって生きているんだよ。はぴちゃん・・・。
だってほら、おばあちゃんちの玄関につくった「つばめ」の巣にいる雛だって、生きた蛙やトンボやムシムシちゃんを食べて大きくなっていったでしょう?」

ハッとしたようなはぴちゃんの目。
話を続ける・・・。
「人間だって、お肉やお野菜を食べて生きているでしょう?
お野菜だって、お米だって、みんな生きていたものなんだよね。それを頂いてはぴちゃんも大きくなっていくんだよ!」

真剣な目になったはぴに、「悪者」ではなく、自然の摂理なのだということを説明しようとして、ちょっと戸惑う・・・。
「だってぇ~!鹿さんを殺したんだもんん!悪いよ!」

「はぴちゃんもみんなも、お肉大好きだよね!おいしいよね!
そのお肉も、豚さんだったり牛さんだったり、鳥さんだったりしてたんだよ。
それを人間が食べるんだから、みんな同じなの・・・」

じーっと私の目を見つめて無言のはぴ。
と・・。目に涙がふつふつと溢れてきて、叫んだ。
「だってぇ・・・だってぇ・・・」彼女の頭が混乱している・・・。しまった!ちょっと早すぎたか・・・。
拒食症になったらどうしよう・・・!
だんだん激しく、のどちんこまで見える位真剣に泣き出したはぴを抱き寄せ、「ん~んよしよし・・・、はぴちゃんはいいこだ・・」と意味のないことばで抱きしめている私。
どうなることかと心配したが、その後、その問題からさらりと逃げられてほっと一息!
翌朝の食事のハムもおいしそうに食べてくれた・・・。ほっっ!

いや~・・・どきどきの一瞬だった。

宮沢賢治の「なめとこ山の熊」の心境に達するのは容易ではない。

*【なめとこ山の猟師で、毎日猟で熊を仕留めて生活している男の話。
 殺生はそれはそれ。しかし、生き物に対しての崇高な感謝と敬愛の気持ちを持ち続け、夕焼けの中、仕留めた熊に祈りを捧げている・・・。
 そんな話だったように記憶している。

人間って・・・。矛盾だらけ・・。
これからも、いろんな矛盾に出会うだろうはぴちゃん達。そして私。


でも、人間って、動物って素晴らしい・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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