目次
「あらすじです。」
「あらすじ」の梗概。
0 上古神代~四界神話
0.『 上古神代 』
 0.『 上古神代 』
(幕間劇 1)(ヤツリーダムの物語)
(幕間劇1) (ヤツリーダムの物語)
1-0. ヤツリーダムの物語。
1 涙滴大陸 (前期)
(1.涙滴大陸)(前期)
1-1. 《 神殺し 》。
1-2. 《 碧葉国 》の物語。
1-3. 《 谷の一族 》
1-4. 《月女神》信仰。
1-5.《鱗の民》 と 《谷》の終焉。
(幕間劇 2)
(幕間劇2)
『 ヤツリーダムの物語 2 』 (2017年 6月30日+11月3日)
1 涙滴大陸 (後期)
1.《 涙滴大陸 》(後期)
1.《 涙滴大陸 》(後期) (1-6~10.)
(幕間劇 3)
(幕間劇3)
ヤツリーダムの物語 3
2 大地世界の物語
2.《大地世界》の物語
《大地世界》の物語 (※)
3 地球の終わりの物語
3.《地球》の終わりの物語
2.『地球の終わりの物語』 2-0.支族たち。
2-1.『間隙時代』の変遷。
2-8.『最終戦争』
4 美麗天地の物語
4.《美麗天地》の物語
3.美麗天地の物語
4.《 リスタルラーナ星間連盟 》の設立。
5 地球再統一
5.地球再統一
5-1.《 地球 》 再統一。
6 3界の物語
6.三千世界の物語
6.《三千世界》の物語。
(幕間劇 4)
(幕間劇4)
7 ジースト世界の物語
7.《ジースト》の 物語
(※)
8 銀河統一の物語~エリスウェサ体制まで
8.《統一銀河》の物語
8.《三千世界》 時代。
(幕間劇 5)
(幕間劇5)
9 リズから外へ ~ 末法宇宙の物語
9.《 リズ 》から外へ。
9.《 リズ 》から外へ ~ 末法宇宙の物語。
X 終わらない物語
(※)
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(元原稿)
『 試 験 に 出 る 宇 宙 史 』 / 【INDEX】 (2015年4月9日)
ヤツリーダムの伝承歌 1
ヤツリーダムの伝承歌 2
ヤツリーダムの伝承歌 3
ヤツリーダムの伝承歌 4
ヤツリーダムの伝承歌 5
ヤツリーダムの伝承歌 6
ヤツリーダムの伝承歌 7
ヤツリーダムの伝承歌 8
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1-3. 《 谷の一族 》

 

1-3. 《 谷の一族 》


1-3-1. 横穴の民。

ある時、《神殺し》たちは棲むことを好まぬ《実のならぬ大樹の森》の谷に、いちどきに大勢の異形の民がやってきた。

二本の足、二本の腕だが、尾はなく、顔は平たく、牙もなく、毛皮もなくて、羽もなかった。

股の穴から血まみれの赤い仔を産んだ。とにかく数が多かった。

彼らは海の向うではなく、背骨の山の《谷の穴》から来たと称した。



1-3-2. 教えの《谷》。


彼らはそのまま《実のならぬ谷》に棲みつきたいと申し出たので、《神殺し》の王たちは嘲笑して許可した。

「虫も獣も果実もない土地ぞ。その人数で、なにを食する?」

民たちは地を掘って虫を捜し出し、川を漁って魚を獲った。

木片で火を起こし、火炎を自在に操った。

《神殺し》たちは仰天して、その技に感嘆し、教えを請うた。

「谷の土地は貸してやる。代わりに、知恵の技を教授せよ。」

そのため《谷》の一族は《教えの民》とも呼ばれ、あらゆる知恵を授けるために、《神殺し》たちが棲む土地へ、入れ替わりで訪れ、旅をした。



1-3-3. 凍死と養子。


地は動き、地は裂け、時は移り、命も入れ替わった。

ある時、短い大寒冷が訪れ、卵の者らは跡継ぎを失った。

胎から仔を産む者らだけが残った。

卵の者らは胎仔の者から養子をとり、それぞれの言葉や領土を伝えた。

《谷》の一族から幼い仔を迎える国も多く、やがて大陸の南のなかばは股の穴から赤子を産む者らで満ちた。


1-3-4. 《帝国》の成立。

《谷》の者らは無用の争いを好まぬ民だったが、幼くして《神殺し》の養子とされた者らは戦上手となることを望まれた。

《谷》の血筋だが《神殺し》の習俗を身に着けて育った者らは、知恵と野蛮を合せ持ち、姦計を巡らし権力をあい争い、軍を造り国を盗り、領土を増やし、差配する役人を育てた。

やがて、血にまみれた王のなかの王が勝ち残り、《帝国》と号した。

《谷》の一族は、《帝国》への臣従を誓った。

 


1-4. 《月女神》信仰。

1-4. 《月女神》信仰。


1-4-1. 《時の横穴》

地は動き、山は育ち、陸は広がり、草木は生えた。

《神殺し》の帝国は気候の温暖な大陸の北の平原に栄え、冷涼で急峻な南の山地には、《谷》からの移住者と、ひとまとめに《他族》と呼ばれる者らが、まばらに棲んでいた。

ある時、ふさがれたはずの《谷の横穴》に女が墜ちて戻らぬ事変があった。

月女神レリナルが天より降り来たりて穴をふさいだ。

「地が動き、蓋がずれた。」と。



1-4-2.《月女神殿》

横穴をふさぎ、見張りの銀の城砦を築き、そこに月女神は住まった。

《谷》の人々はこれを月女神殿と呼び、畏れ敬った。

《神殺し》の一族はこれを心苦く思ったが、帝国版図より遠き南の山塊のことであったゆえ、あえて捨て置いた。


1-4-3.《月女神》信仰。

それまで《神》を持たずにいた《涙滴大陸》の者らはこれを奇に思い、畏れ敬った。

月女神はまたすべての雌と女たちの守護者であるとされ、子宝や離縁を望む者らが遠方より訪れた。



1-4-4. 女剣士(ルワ・ヘルマ)と女騎士(ルワ・ブラダ)。

月女神と神殿を詣でる者らを護るために女の剣士と女の騎士がうまれた。

それまで《帝国》において雌と女は泣きながら男に犯され男の子どもを産み育てる為の存在であって決してそれ以上ではなかったが、女剣士と女騎士らが男と互角に闘い得ることを見て、人々の心が変わった。

月女神の守護を受けた女は、すべての男が定める掟から放たれて自由となる、という不文律が創られた。

初代の女騎士(ルワ・ブラダ)の名をリ・リィ=カタ・ナンという。

奇しくも、時の横穴に墜ちて死んだ者の娘で、《谷》と《碧葉》の血を併せ持ち、金の髪に金の瞳の、白い肌の細い姿であった。



1-4-5. 巫女戦士。

《谷》と《帝国》の契約に基づいて献納戦士となった女が、男の戒律を反故にするため月女神に誓いを立て、初の巫女戦士となった。

名をハユンのアマラーサ。黒髪黒瞳、褐色の肌、男勝りの大柄であったと伝える。

大旱魃に際して《谷》の水霊を救い出し、涙滴大陸を護った。


1-4-6. 月女神、去る。


大地鳴動し、山脈が隆起した。

「人族は二度と再び横穴に近づけぬ。」と、銀月女神は地界を去った。

女神が残したミトラの教え(三親の法)だけが残り、広く帝国に流布された。

 

 


1-5.《鱗の民》 と 《谷》の終焉。

 

1-5.《鱗の民》 と 《谷》の終焉。


1-5-1.《鱗の民》

いつの頃からか帝国の海辺に白い鱗の一族が棲みつき、次第に増え始めた。

彼らは一見柔弱であり狡知に長け、海産物と陸産物との交易で富を得ていたが、《谷》と《帝国》との協和と繁栄を妬み、大陸上をも海族の版図とせんと企んでいた。


1-5-2.《谷》の焼失。

ある時、帝家の後継争いの機に乗じ、帝都帝城は滅ぼされ、《谷》にもまた大火が放たれた。


1-5-3.《帝国》の復仇。

鱗の呪師が放たれ、雨風が続き、大陸は泥に呑まれかけたが、帝家唯一の生き残りの皇子が軍をたて応戦し、これを防いだ。


1-5-4. 流転と回生。

やがて鱗の者のみが死に至る流行り病が流れて、あっけなく騒乱は収まった。

復仇の皇子が新帝家を築き、これより帝国は大陸全土を版図とするに至った。

 


(幕間劇2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(幕間劇2)

 

 


『 ヤツリーダムの物語 2 』 (2017年 6月30日+11月3日)

http://85358.diarynote.jp/201706301510338624/

『 ヤツリーダムの物語 2 』

2017年6月30日 リステラス星圏史略 (創作) コメント (2)

 
ある嵐の翌朝、太湖のほとりの泥溜まりのほとりで、群れからはぐれたらしい四ツ足の仔が、しきりと鳴き泣きしているのを、通りすがりの二本足の女が聴きとめた。

ちょうど孕んでいた女は幼子が母を求める嘆きを見過ごせず、さりとて辺りを見渡しても春の大雨の後の大増水のさらに大嵐であたり一面の水びたし。その仔が元いた沼が何処であったかなど、とても見分けられそうにない。

しかたなく女は片手でひょいとその仔をつかむとすたすたと自分の家まで戻り、一番大きなたらいに泥水を満たしてその仔を放ち、たまには体を干して日当たりで休めるようにと板を斜めに渡して、泥一面の太湖のほとりでは水草も埋もれて食餌もとれていなかったろうと、海藻の干したものを水でもどして喰わせてやった。

がつがつと喰らったその仔は腹がくちくなるとようやくに鳴きやんで、「…あんにゃ~!」と、少しようすの違う声をあげ、やがて安心したのかくぅくぅと寝入ってしまった。

女は微笑んで、増水のひいて仔でも生きられるようになるまではのつもりで毎日まいにち、水草をもどしては口元に運んでやったのだった。
 
 

http://85358.diarynote.jp/201711032159204669/

(続き)(2017年11月3日)


やがて月満ちて女は子を産んだ。からだの辛いあいだは親族や近在の者が入れ替わりやってきては赤子の元気そうな様子を誉め、かがめない女に代わって四ツ足の仔にも餌をやり、泥水を替えてやっては帰っていった。

女は不自由なく歩けるようになるとやがて、まだまだ軽い乳飲み児を背負い、もうずいぶん大きくなった四ツ足をえっこらさと抱え上げて、出水のひいたもとの大河のほとりにまで運んでいってやった。

ところが四ツ足はいやがって女から離れなかった。

「えんにゃー!えんにゃー!えんにゃー…ッ!」

…褐色の四ツ足が、どうやら自分のことを実の母と思いこんでしまったらしいと気がついて、女は笑ってため息をつき、またまたえっこらさと抱え上げて家まで戻り、今度は家の前の小さい沼川に、ほいっと四ツ足をはなしてやった。

「もう盥の中では狭いだろう。ここならいつでも逢えるよ」

聞き分けたのか、四ツ足はおとなしく、少し嬉しそうに泥沼のなかへ泳ぎこんでいって、まだ短い尾でぱしゃりと水を叩いた。

それからは餌は自分で水草を摂るようになったが、朝に夕に、陽が昇れば女を起こしに来るし、陽が沈めば女におやすみの挨拶をしに来るのであった。

女はしばらく考えて、二本足の息子には双葉と名付け、四ツ足の息子には、四つ葉と名づけた。

双葉は四つ葉ほどには成長が速くなかったが、人間の子らしい速さで元気にすくすく育ち、やがてすこしでも目を離すと四つ這いでどんどん遠くへ行ってしまうようになった。

普通なら気を抜けないところだったが、なにしろ水辺に墜ちれば四つ葉がすぐに岸辺まですくい上げてくれるし、崖から落ちそうになれば四つ葉が叫んで知らせてくれるして、女はずいぶんらくをさせてもらった。

「こういうのも乳兄弟って言うのかねぇ?」

いつでも一緒の一人と一匹を微笑ましく眺めて、近在の者らは笑いあった。



やがて誰も覚えがないほどの大雨と大水が続いた。

噂では白鱗の魚人族がカとミと秘術を使い、人間の帝国を滅ぼさんと大地の水没を謀っているとのことだった。

誰もなすすべもなく沈みゆく畑を前におろおろし、流される家を後に必死で逃げた。

女たちの集落も水に呑まれた。

泣き叫びながら人間たちは渦にまかれ、泥に沈んだ。

悲鳴は天に響いた。

「……………うんにゃぎゃ、ぎゃぎゃっぎゅ~ッ…!!」

誰もそれまで聞いたことがなかったほどの大きな大きな吠え声が、四つ葉の喉から溢れた。

二度、三度と、それは天に轟いた。

「…………ぅげろーーーーーーーっぷ!」

遠くから、また反対側から、応える叫びがあがった。

物凄い速さでいくつもの小津波が近づいてきた。

津波と見えたが、それは物凄い速さで泳ぎ寄ってきた、たくさんの、たくさんの、四つ葉の仲間であった。

仲間たちは四つ葉の村の人間たちを一人残らず背に載せて、泳いで泳いで泳いで、まだ乾いていた、残りの小さな島地に載せた。

「………やっ、ちだも…!」

(なんて御親切に!)

女は涙を流して感謝した。

それからは《ヤチダモ》が、四ツ足たちの新しい名前になった。

双葉と四つ葉は仲良しのまま元気に育ち、それぞれの嫁をもらって、子を産み育て、一族同士は互いに仲良しのまま、末長く栄えた。

 



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