閉じる


はじめに

『涼しい条文 六法は見た目が9割!!』とは?

法令の条文は読むと意外と面白い。
限られた人しか読まないような試験に出ない法令ほど面白い。

本書は、条文の読み物としての面白さに気づいた著者がお届けする、文庫本感覚で気軽に読める新しいスタイルの六法です。

【特色・其の壱】
⇒あの分厚い六法をスリムに分冊しました。

必要のない掲載法令とはおさらばして、お目当ての法令だけに一点集中できます。

法令ごとに原則一冊。

一般の小型六法には収録されないマイナーだけれど魅惑的な法令も揃っています。

必要や興味関心に応じて各巻をチョイスすれば、あなただけのオリジナル六法が出来上がります。

【特色・其の弐】
⇒あの辞書のように窮屈な法令のレイアウトをゆったり見やすく編集しました。

改行、余白、色分け、独自の工夫で長くて複雑な条文も一文一文クッキリハッキリわかります。だから、初見の条文も見通し良好。

試験対策に教養に趣味に
ひく、よむ、たのしむ六法。

その名も『涼しい条文』。

見た目の涼しさは読みやすさ。

法令の読みやすさこそ正義!!

行間の風通しを良くすると、法令の条文はもっともっと楽に理解できます。



本書シリーズ及び条文について

・本書シリーズは「pdf」「ePub」「MOBI」という3つのファイル形式をご用意していますが、このうち「MOBI」ファイル(Kindle形式)で読むことを最優先して作成しました

・条文の内容は「平成29年3月1日現在・施行」のものとなっています。

・条文の内容を損なわない範囲で原文のレイアウトを独自に変更しました。

・条文中の括弧書きの部分を分かりやすく青色で表記しています。

・電子書籍作成上のページは、各条文が属する最小の項目立て(編・章・節・款・目)単位で設けました。目次機能を使えば、条文番号から各ページへ簡単にジャンプできます。

・各ページは、「条文見出し一覧」(青色表記)→「各条文」というシンプルな構成となっています。


1
最終更新日 : 2017-12-28 18:43:53

目次

民事執行法
(昭和五十四年三月三十日法律第四号)

第一章 総則
(第一条―第二十一条)

第二章 強制執行

第一節 総則
(第二十二条―第四十二条)

第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

第一款 不動産に対する強制執行

第一目 通則
(第四十三条・第四十四条)

第二目 強制競売
(第四十五条―第九十二条)

第三目 強制管理
(第九十三条―第百十一条)

第二款 船舶に対する強制執行
(第百十二条―第百二十一条)

第三款 動産に対する強制執行
(第百二十二条―第百四十二条)

第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行

第一目 債権執行等
(第百四十三条―第百六十七条)

第二目 少額訴訟債権執行
(第百六十七条の二―第百六十七条の十四)

第五款 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例
(第百六十七条の十五・第百六十七条の十六)

第三節 金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行
(第百六十八条―第百七十九条)

第三章 担保権の実行としての競売等
(第百八十条―第百九十五条)

第四章 財産開示手続
(第百九十六条―第二百三条)

第五章 罰則
(第二百四条―第二百七条)


2
最終更新日 : 2017-10-05 20:40:55

第一条―第二十一条

民事執行法
>第一章 総則

(趣旨)
第一条

(執行機関)
第二条

(執行裁判所)
第三条

(任意的口頭弁論)
第四条

(審尋)
第五条

(執行官等の職務の執行の確保)
第六条

(立会人)
第七条

(休日又は夜間の執行)
第八条

(身分証明書等の携帯)
第九条

(執行抗告)
第十条

(執行異議)
第十一条

(取消決定等に対する執行抗告)
第十二条

(代理人)
第十三条

(費用の予納等)
第十四条

(担保の提供)
第十五条

(送達の特例)
第十六条

(民事執行の事件の記録の閲覧等)
第十七条

(官庁等に対する援助請求等)
第十八条

(専属管轄)
第十九条

(民事訴訟法の準用)
第二十条

(最高裁判所規則)
第二十一条


第一章 総則


(趣旨)
第一条

  強制執行、担保権の実行としての競売及び民法(明治二十九年法律第八十九号)、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の規定による換価のための競売並びに債務者の財産の開示(以下「民事執行」と総称する。)については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。



(執行機関)
第二条

  民事執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行う。



(執行裁判所)
第三条

  裁判所が行う民事執行に関してはこの法律の規定により執行処分を行うべき裁判所をもつて、執行官が行う執行処分に関してはその執行官の所属する地方裁判所をもつて執行裁判所とする。



(任意的口頭弁論)
第四条

  執行裁判所のする裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。



(審尋)
第五条

  執行裁判所は、執行処分をするに際し、必要があると認めるときは、利害関係を有する者その他参考人を審尋することができる。



(執行官等の職務の執行の確保)
第六条

  執行官は、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、その抵抗を排除するために、威力を用い、又は警察上の援助を求めることができる。

  ただし、第六十四条の二第五項(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定に基づく職務の執行については、この限りでない。

2 執行官以外の者で執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行うものは、職務の執行に際し抵抗を受けるときは、執行官に対し、援助を求めることができる。



(立会人)
第七条

  執行官又は執行裁判所の命令により民事執行に関する職務を行う者(以下「執行官等」という。)は、人の住居に立ち入つて職務を執行するに際し、住居主、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに出会わないときは、市町村の職員、警察官その他証人として相当と認められる者を立ち会わせなければならない。

  執行官が前条第一項の規定により威力を用い、又は警察上の援助を受けるときも、同様とする。



(休日又は夜間の執行)
第八条

  執行官等は、日曜日その他の一般の休日又は午後七時から翌日の午前七時までの間に人の住居に立ち入つて職務を執行するには、執行裁判所の許可を受けなければならない。

2 執行官等は、職務の執行に当たり、前項の規定により許可を受けたことを証する文書を提示しなければならない。



(身分証明書等の携帯)
第九条

  執行官等は、職務を執行する場合には、その身分又は資格を証する文書を携帯し、利害関係を有する者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。



(執行抗告)
第十条

  民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができる。

2 執行抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。

3 抗告状に執行抗告の理由の記載がないときは、抗告人は、抗告状を提出した日から一週間以内に、執行抗告の理由書を原裁判所に提出しなければならない。

4 執行抗告の理由は、最高裁判所規則で定めるところにより記載しなければならない。

5 次の各号に該当するときは、原裁判所は、執行抗告を却下しなければならない。

 一 抗告人が第三項の規定による執行抗告の理由書の提出をしなかつたとき。

 二 執行抗告の理由の記載が明らかに前項の規定に違反しているとき。

 三 執行抗告が不適法であつてその不備を補正することができないことが明らかであるとき。

 四 執行抗告が民事執行の手続を不当に遅延させることを目的としてされたものであるとき。

6 抗告裁判所は、執行抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで原裁判の執行の停止若しくは民事執行の手続の全部若しくは一部の停止を命じ、又は担保を立てさせてこれらの続行を命ずることができる。

  事件の記録が原裁判所に存する間は、原裁判所も、これらの処分を命ずることができる。

7 抗告裁判所は、抗告状又は執行抗告の理由書に記載された理由に限り、調査する。

  ただし、原裁判に影響を及ぼすべき法令の違反又は事実の誤認の有無については、職権で調査することができる。

8 第五項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。

9 第六項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。

10 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三百四十九条の規定は、執行抗告をすることができる裁判が確定した場合について準用する。



(執行異議)
第十一条

  執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。

  執行官の執行処分及びその遅怠に対しても、同様とする。

2 前条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による申立てがあつた場合について準用する。



(取消決定等に対する執行抗告)
第十二条

  民事執行の手続を取り消す旨の決定に対しては、執行抗告をすることができる。

  民事執行の手続を取り消す執行官の処分に対する執行異議の申立てを却下する裁判又は執行官に民事執行の手続の取消しを命ずる決定に対しても、同様とする。

2 前項の規定により執行抗告をすることができる裁判は、確定しなければその効力を生じない。



(代理人)
第十三条

  民事訴訟法第五十四条第一項の規定により訴訟代理人となることができる者以外の者は、執行裁判所でする手続については、訴え又は執行抗告に係る手続を除き、執行裁判所の許可を受けて代理人となることができる。

2 執行裁判所は、いつでも前項の許可を取り消すことができる。



(費用の予納等)
第十四条

  執行裁判所に対し民事執行の申立てをするときは、申立人は、民事執行の手続に必要な費用として裁判所書記官の定める金額を予納しなければならない。

  予納した費用が不足する場合において、裁判所書記官が相当の期間を定めてその不足する費用の予納を命じたときも、同様とする。

2 前項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。

3 第一項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。

4 申立人が費用を予納しないときは、執行裁判所は、民事執行の申立てを却下し、又は民事執行の手続を取り消すことができる。

5 前項の規定により申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。



(担保の提供)
第十五条

  この法律の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所(以下この項において「発令裁判所」という。)又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は発令裁判所が相当と認める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。

  ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。

2 民事訴訟法第七十七条 、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。



(送達の特例)
第十六条

  民事執行の手続について、執行裁判所に対し申立て、申出若しくは届出をし、又は執行裁判所から文書の送達を受けた者は、送達を受けるべき場所(日本国内に限る。)を執行裁判所に届け出なければならない。

  この場合においては、送達受取人をも届け出ることができる。

2 民事訴訟法第百四条第二項及び第三項並びに第百七条の規定は、前項前段の場合について準用する。

3 第一項前段の規定による届出をしない者(前項において準用する民事訴訟法第百四条第三項に規定する者を除く。)に対する送達は、事件の記録に表れたその者の住所、居所、営業所又は事務所においてする。

4 前項の規定による送達をすべき場合において、第二十条において準用する民事訴訟法第百六条 の規定により送達をすることができないときは、裁判所書記官は、同項の住所、居所、営業所又は事務所にあてて、書類を書留郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして最高裁判所規則で定めるものに付して発送することができる。

  この場合においては、民事訴訟法第百七条第二項及び第三項の規定を準用する。



(民事執行の事件の記録の閲覧等)
第十七条

  執行裁判所の行う民事執行について、利害関係を有する者は、裁判所書記官に対し、事件の記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。



(官庁等に対する援助請求等)
第十八条

  民事執行のため必要がある場合には、執行裁判所又は執行官は、官庁又は公署に対し、援助を求めることができる。

2 前項に規定する場合には、執行裁判所又は執行官は、民事執行の目的である財産(財産が土地である場合にはその上にある建物を、財産が建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される租税その他の公課について、所管の官庁又は公署に対し、必要な証明書の交付を請求することができる。

3 前項の規定は、民事執行の申立てをしようとする者がその申立てのため同項の証明書を必要とする場合について準用する。



(専属管轄)
第十九条

  この法律に規定する裁判所の管轄は、専属とする。



(民事訴訟法の準用)
第二十条

  特別の定めがある場合を除き、民事執行の手続に関しては、民事訴訟法の規定を準用する。



(最高裁判所規則)
第二十一条

  この法律に定めるもののほか、民事執行の手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。


3
最終更新日 : 2017-12-20 11:21:32

第二十二条―第四十二条

民事執行法
>第二章 強制執行
>第一節 総則

(債務名義)
第二十二条

(強制執行をすることができる者の範囲)
第二十三条

(外国裁判所の判決の執行判決)
第二十四条

(強制執行の実施)
第二十五条

(執行文の付与)
第二十六条

第二十七条

(執行文の再度付与等)
第二十八条

(債務名義等の送達)
第二十九条

(期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)
第三十条

(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)
第三十一条

(執行文の付与等に関する異議の申立て)
第三十二条

(執行文付与の訴え)
第三十三条

(執行文付与に対する異議の訴え)
第三十四条

(請求異議の訴え)
第三十五条

(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)
第三十六条

(終局判決における執行停止の裁判等)
第三十七条

(第三者異議の訴え)
第三十八条

(強制執行の停止)
第三十九条

(執行処分の取消し)
第四十条

(債務者が死亡した場合の強制執行の続行)
第四十一条

(執行費用の負担)
第四十二条


第二章 強制執行

第一節 総則


(債務名義)
第二十二条

  強制執行は、次に掲げるもの(以下「債務名義」という。)により行う。

 一 確定判決

 二 仮執行の宣言を付した判決

 三 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判にあつては、確定したものに限る。)

 三の二 仮執行の宣言を付した損害賠償命令

 三の三 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令

 四 仮執行の宣言を付した支払督促

 四の二 訴訟費用、和解の費用若しくは非訟事件(他の法令の規定により非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)の規定を準用することとされる事件を含む。)若しくは家事事件の手続の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分又は第四十二条第四項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定める裁判所書記官の処分(後者の処分にあつては、確定したものに限る。)

 五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(以下「執行証書」という。)

 六 確定した執行判決のある外国裁判所の判決

 六の二 確定した執行決定のある仲裁判断

 七 確定判決と同一の効力を有するもの(第三号に掲げる裁判を除く。)



(強制執行をすることができる者の範囲)
第二十三条

  執行証書以外の債務名義による強制執行は、次に掲げる者に対し、又はその者のためにすることができる。

 一 債務名義に表示された当事者

 二 債務名義に表示された当事者が他人のために当事者となつた場合のその他人

 三 前二号に掲げる者の債務名義成立後の承継人(前条第一号、第二号又は第六号に掲げる債務名義にあつては口頭弁論終結後の承継人、同条第三号の二に掲げる債務名義又は同条第七号に掲げる債務名義のうち損害賠償命令に係るものにあつては審理終結後の承継人)

2 執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。

3 第一項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。



(外国裁判所の判決の執行判決)
第二十四条

  外国裁判所の判決についての執行判決を求める訴えは、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄し、この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。

2 執行判決は、裁判の当否を調査しないでしなければならない。

3 第一項の訴えは、外国裁判所の判決が、確定したことが証明されないとき、又は民事訴訟法第百十八条各号に掲げる要件を具備しないときは、却下しなければならない。

4 執行判決においては、外国裁判所の判決による強制執行を許す旨を宣言しなければならない。



(強制執行の実施)
第二十五条

  強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する。

  ただし、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促により、これに表示された当事者に対し、又はその者のためにする強制執行は、その正本に基づいて実施する。



(執行文の付与)
第二十六条

  執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。

2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。



第二十七条

  請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。

2 債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。

3 執行文は、債務名義について次に掲げる事由のいずれかがあり、かつ、当該債務名義に基づく不動産の引渡し又は明渡しの強制執行をする前に当該不動産を占有する者を特定することを困難とする特別の事情がある場合において、債権者がこれらを証する文書を提出したときに限り、債務者を特定しないで、付与することができる。

 一 債務名義が不動産の引渡し又は明渡しの請求権を表示したものであり、これを本案とする占有移転禁止の仮処分命令(民事保全法(平成元年法律第九十一号)第二十五条の二第一項に規定する占有移転禁止の仮処分命令をいう。)が執行され、かつ、同法第六十二条第一項の規定により当該不動産を占有する者に対して当該債務名義に基づく引渡し又は明渡しの強制執行をすることができるものであること。

 二 債務名義が強制競売の手続(担保権の実行としての競売の手続を含む。以下この号において同じ。)における第八十三条第一項本文(第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による命令(以下「引渡命令」という。)であり、当該強制競売の手続において当該引渡命令の引渡義務者に対し次のイからハまでのいずれかの保全処分及び公示保全処分(第五十五条第一項に規定する公示保全処分をいう。以下この項において同じ。)が執行され、かつ、第八十三条の二第一項(第百八十七条第五項又は第百八十八条において準用する場合を含む。)の規定により当該不動産を占有する者に対して当該引渡命令に基づく引渡しの強制執行をすることができるものであること。

  イ 第五十五条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分

  ロ 第七十七条第一項第三号(第百八十八条において準用する場合を含む。)に掲げる保全処分及び公示保全処分

  ハ 第百八十七条第一項に規定する保全処分又は公示保全処分(第五十五条第一項第三号に掲げるものに限る。)

4 前項の執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行は、当該執行文の付与の日から四週間を経過する前であつて、当該強制執行において不動産の占有を解く際にその占有者を特定することができる場合に限り、することができる。

5 第三項の規定により付与された執行文については、前項の規定により当該執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行がされたときは、当該強制執行によつて当該不動産の占有を解かれた者が、債務者となる。



(執行文の再度付与等)
第二十八条

  執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。

2 前項の規定は、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本を更に交付する場合について準用する。



(債務名義等の送達)
第二十九条

  強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。

  第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。



(期限の到来又は担保の提供に係る場合の強制執行)
第三十条

  請求が確定期限の到来に係る場合においては、強制執行は、その期限の到来後に限り、開始することができる。

2 担保を立てることを強制執行の実施の条件とする債務名義による強制執行は、債権者が担保を立てたことを証する文書を提出したときに限り、開始することができる。



(反対給付又は他の給付の不履行に係る場合の強制執行)
第三十一条

  債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証明したときに限り、開始することができる。

2 債務者の給付が、他の給付について強制執行の目的を達することができない場合に、他の給付に代えてすべきものであるときは、強制執行は、債権者が他の給付について強制執行の目的を達することができなかつたことを証明したときに限り、開始することができる。



(執行文の付与等に関する異議の申立て)
第三十二条

  執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。

2 執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。

  急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。

3 第一項の規定による申立てについての裁判及び前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

4 前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

5 前各項の規定は、第二十八条第二項の規定による少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本の交付について準用する。



(執行文付与の訴え)
第三十三条

  第二十七条第一項又は第二項に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第三項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。

2 前項の訴えは、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が管轄する。

 一 第二十二条第一号から第三号まで、第六号又は第六号の二に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち次号、第一号の三及び第六号に掲げるもの以外のもの

   第一審裁判所

 一の二 第二十二条第三号の二に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち損害賠償命令並びに損害賠償命令事件に関する手続における和解及び請求の認諾に係るもの

     損害賠償命令事件が係属していた地方裁判所

 一の三 第二十二条第三号の三に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち届出債権支払命令並びに簡易確定手続における届出債権の認否及び和解に係るもの

     簡易確定手続が係属していた地方裁判所

 二 第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち次号に掲げるもの以外のもの

   仮執行の宣言を付した支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所(仮執行の宣言を付した支払督促に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)

 三 第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち民事訴訟法第百三十二条の十第一項本文の規定による支払督促の申立て又は同法第四百二条第一項に規定する方式により記載された書面をもつてされた支払督促の申立てによるもの

   当該支払督促の申立てについて同法第三百九十八条(同法第四百二条第二項 において準用する場合を含む。)の規定により訴えの提起があつたものとみなされる裁判所

 四 第二十二条第四号の二に掲げる債務名義

   同号の処分をした裁判所書記官の所属する裁判所

 五 第二十二条第五号に掲げる債務名義

   債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する裁判所)

 六 第二十二条第七号に掲げる債務名義のうち和解若しくは調停(上級裁判所において成立した和解及び調停を除く。)又は労働審判に係るもの(第一号の二及び第一号の三に掲げるものを除く。)

   和解若しくは調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所若しくは家庭裁判所(簡易裁判所において成立した和解又は調停に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)又は労働審判が行われた際に労働審判事件が係属していた地方裁判所



(執行文付与に対する異議の訴え)
第三十四条

  第二十七条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。

2 異議の事由が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない。

3 前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。



(請求異議の訴え)
第三十五条

  債務名義(第二十二条第二号又は第三号の二から第四号までに掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。

  裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。

2 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。

3 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。



(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)
第三十六条

  執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第一項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。

  急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。

2 前項の申立てについての裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

3 第一項に規定する事由がある場合において、急迫の事情があるときは、執行裁判所は、申立てにより、同項の規定による裁判の正本を提出すべき期間を定めて、同項に規定する処分を命ずることができる。

  この裁判は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起前においても、することができる。

4 前項の規定により定められた期間を経過したとき、又はその期間内に第一項の規定による裁判が執行裁判所若しくは執行官に提出されたときは、前項の裁判は、その効力を失う。

5 第一項又は第三項の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。



(終局判決における執行停止の裁判等)
第三十七条

  受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第一項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。

  この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない。

2 前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。



(第三者異議の訴え)
第三十八条

  強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。

2 前項に規定する第三者は、同項の訴えに併合して、債務者に対する強制執行の目的物についての訴えを提起することができる。

3 第一項の訴えは、執行裁判所が管轄する。

4 前二条の規定は、第一項の訴えに係る執行停止の裁判について準用する。



(強制執行の停止)
第三十九条

  強制執行は、次に掲げる文書の提出があつたときは、停止しなければならない。

 一 債務名義(執行証書を除く。)若しくは仮執行の宣言を取り消す旨又は強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本

 二 債務名義に係る和解、認諾、調停又は労働審判の効力がないことを宣言する確定判決の正本

 三 第二十二条第二号から第四号の二までに掲げる債務名義が訴えの取下げその他の事由により効力を失つたことを証する調書の正本その他の裁判所書記官の作成した文書

 四 強制執行をしない旨又はその申立てを取り下げる旨を記載した裁判上の和解若しくは調停の調書の正本又は労働審判法(平成十六年法律第四十五号)第二十一条第四項の規定により裁判上の和解と同一の効力を有する労働審判の審判書若しくは同法第二十条第七項の調書の正本

 五 強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書

 六 強制執行の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本

 七 強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本

 八 債権者が、債務名義の成立後に、弁済を受け、又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書

2 前項第八号に掲げる文書のうち弁済を受けた旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、四週間に限るものとする。

3 第一項第八号に掲げる文書のうち弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書の提出による強制執行の停止は、二回に限り、かつ、通じて六月を超えることができない。



(執行処分の取消し)
第四十条

  前条第一項第一号から第六号までに掲げる文書が提出されたときは、執行裁判所又は執行官は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。

2 第十二条の規定は、前項の規定により執行処分を取り消す場合については適用しない。



(債務者が死亡した場合の強制執行の続行)
第四十一条

  強制執行は、その開始後に債務者が死亡した場合においても、続行することができる。

2 前項の場合において、債務者の相続人の存在又はその所在が明らかでないときは、執行裁判所は、申立てにより、相続財産又は相続人のために、特別代理人を選任することができる。

3 民事訴訟法第三十五条第二項及び第三項の規定は、前項の特別代理人について準用する。



(執行費用の負担)
第四十二条

  強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。

2 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行にあつては、執行費用は、その執行手続において、債務名義を要しないで、同時に、取り立てることができる。

3 強制執行の基本となる債務名義(執行証書を除く。)を取り消す旨の裁判又は債務名義に係る和解、認諾、調停若しくは労働審判の効力がないことを宣言する判決が確定したときは、債権者は、支払を受けた執行費用に相当する金銭を債務者に返還しなければならない。

4 第一項の規定により債務者が負担すべき執行費用で第二項の規定により取り立てられたもの以外のもの及び前項の規定により債権者が返還すべき金銭の額は、申立てにより、執行裁判所の裁判所書記官が定める。

5 前項の申立てについての裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。

6 執行裁判所は、第四項の規定による裁判所書記官の処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において、同項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。

7 第五項の規定による異議の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。

8 第四項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。

9 民事訴訟法第七十四条第一項の規定は、第四項の規定による裁判所書記官の処分について準用する。

  この場合においては、第五項、第七項及び前項並びに同条第三項の規定を準用する。


4
最終更新日 : 2017-12-20 11:23:48

第四十三条・第四十四条

民事執行法
>第二章 強制執行
>第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行
>第一款 不動産に対する強制執行
>第一目 通則

(不動産執行の方法)
第四十三条

(執行裁判所)
第四十四条


第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行

第一款 不動産に対する強制執行

第一目 通則


(不動産執行の方法)
第四十三条

  不動産(登記することができない土地の定着物を除く。以下この節において同じ。)に対する強制執行(以下「不動産執行」という。)は、強制競売又は強制管理の方法により行う。

  これらの方法は、併用することができる。

2 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行については、不動産の共有持分、登記された地上権及び永小作権並びにこれらの権利の共有持分は、不動産とみなす。



(執行裁判所)
第四十四条

  不動産執行については、その所在地(前条第二項の規定により不動産とみなされるものにあつては、その登記をすべき地)を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

2 建物が数個の地方裁判所の管轄区域にまたがつて存在する場合には、その建物に対する強制執行については建物の存する土地の所在地を管轄する各地方裁判所が、その土地に対する強制執行については土地の所在地を管轄する地方裁判所又は建物に対する強制執行の申立てを受けた地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。

3 前項の場合において、執行裁判所は、必要があると認めるときは、事件を他の管轄裁判所に移送することができる。

4 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。


5
最終更新日 : 2017-09-28 22:04:54


読者登録

ホーリツの森さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について