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tovo plus〜あおもりの100家族、わたしたちのこれから。[season 6] No.066

今号(67家族目)のご家族 ▶

須藤 雄大さん・亜以子さん・魁士くん・碧己ちゃん

撮影場所 ▶ ねむのき保育園(青森市)

 

【インタビュー】

●2011年3月11日のこと、憶えていますか?

▶雄大さん「その頃は結婚前で、会社員だったんですが、自分のこれからの人生について、このままでいいのか悩んでいた時期だったんです。勤めていた会社も良い会社ではあったんですが、会社でのキャリアより、自分のキャリアを積んでいきたいと決断して、会社を辞めたのが、2011年3月11日でした。会社を辞めることを支社長に伝え、一通りの話が終わって、10分後くらいに大きな地震がきたんです。自分の道を決断した日に、大震災が起こり、電気は止まったまま、ライフラインはストップしたまま、そんな中で、次の日から仕事がないって『えー、どうしよう。辞職を撤回した方がいいのかも?』って正直とても不安な気持ちになりました。怖かったですけど、このタイミングで大震災が起こってしまったことは、自分にとって人生について熟考する機会を与えられたのではないかと思うようになりました。」

▶亜以子さん「私は薬局で働いているのですが、その日も職場にいました。地震があって、停電になったのですが、お客さんには薬を作って渡さなければいけないので、即席で薬の袋を作ったりして、工夫しながら薬を渡していました。お客さんが帰った後、みんな家に帰りましょうということになりました。すぐに夫から電話があったので、お互いの安否を確認できました。信号も止まったままの状態で、普段だったら15分程で家に帰れるんですが、30分以上かかって家に着きました。まだ寒かったですよね。」

▶雄大さん「その頃は1人暮らしだったのですが、妻の実家とは近かったので、妻が様子を見にきてくれました。車で携帯の充電なんかしながら会ってたと思います。水や食料は結構備蓄してたのがあったので、食べ物に関しては困りませんでした。その日の夜は、とても寒くて、布団の中でiPodでラジオを聴いていました。」

▶亜以子さん「その日の夜は、寒くて寒くて、余震も多くて怖いし、本当に久しぶりに母親と一緒に寝ました。次の日は、救急の患者さんがいたら受け入れるようにと病院も開いていましたので、停電が続く中で薬局も通常通りの仕事がありました。大きな地震で怖い思いをして具合の悪くなった方などが病院に運ばれてきたりしていました。」

▶雄大さん「次の日は自分も混乱していました。『これからやるぞー!』という気持ちで辞職したはずが、様々な情報が入る度に『これから、どうしよう』という不安に変わりました。」

▶亜以子さん「テレビも見れずに、断片的な情報だけが入ってきて、不安だけが増幅していきました。本当に恐怖でしたね。」

 

●心境や生活の変化はありましたか?

▶雄大さん「明日は何が起きるか分からないと思いました。自分じゃなければできないことをしようと強く思いました。小さい時から空手をやってきて、それを通して身体も気持ちも強くなってきたと思います。そういうのがあったから、絶望的な状況を立ち上がれました。自分ができることは何か?それが、今、子供たちに空手を教えていることに繋がっています。」

▶亜以子さん「震災まで、夫と付き合っていて、このままずっと一緒にいれたらイイなとは思っていましたが、結婚を意識することはなかったんです。でも、震災があって、混乱している状況の中にあって、夫の一番になりたいと思いました。私にとっての一番が夫で、また、夫にとっての一番が私で、お互いがそういう存在でありたいと思いました。2011年秋に入籍して、冬に長男が生まれました。震災がなかったら結婚してなかったかもしれないですね。」

▶亜以子さん「私には全く不安はありませんでしたが、夫は仕事を辞めて、空手一本でやっていこうという時に、更に家族が増えるというのは、すごくプレッシャーだったと思うんです。」

 

●10年後のご家族のイメージは?

▶雄大さん「私は、空手を父から教わるということで親子関係が成り立っていたという部分があって、それを続けてきたことで、自分にとってかけがえのないもの、誇れるものとなりました。子供にもそれを経験してもらえたらと思っています。」

▶亜以子さん「空手を教える立場と教わる立場というケジメは保ちつつも、家では親子であって、家族であって欲しいと思います。」

▶魁士くん「まだ考えてない…。黒帯までがんばる。」

▶碧己ちゃん「…ちっちゃくなる?」

 

【取材後記】今回は、青森市「濤和館こども空手道教室」代表の須藤雄大さんご家族。今年の3月に「今の家族のかたちを残しておきたい」と奥様である亜以子さんよりご連絡頂きました(いつもご家族を探すのに苦労しているので本当にありがたいことです。ご家族随時募集中!)。2011年3月11日に辞職、同日に震災発生、それから、結婚、出産、空手道教室の大展開‥と続くストーリーは聞いてて飽きません。須藤雄大さんは、震災後、教えるだけではなく、選手として復帰し、青森県代表として全国大会に出場、更に外務省の派遣でサウジアラビアで空手指導も行なっています。これについても、東日本大震災がなければ選手として復帰もしなかっただろうとおっしゃっていました。インタビュー時間も長くなり、残念ながら大幅にカットしましたが、須藤さんご家族のストーリーは、これからも東日本大震災と共に歩んでいくことでしょう。(今号No.066のインタビューと撮影:小山田和正)

 

【寄付総額】2011年6月〜2017年8月25日まで「¥5,435,849」を、あしなが育英会「あしなが東日本大震災遺児支援募金」へ寄付することができました。ご支援に深く感謝致します。

 

【定期購読のご協力を!】1年間の定期購読を承ります。1,800円(送料・寄付含)/1年間(12号)です。このフリーペーパーは定期購読の皆様のご支援で発行されております。ご支援の程、宜しくお願い致します。ご希望の方は、ウェブショップ(http://shop.tovo2011.com)よりお申し込みください。


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最終更新日 : 2017-09-02 12:34:20

この本の内容は以上です。


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