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全力ルール

『跳訳・株価の真実 チャートの声を聴け!』

 

全力ルール

 

1.引け値が株価

2.安寄りの戻りは売り

3.やられがプラスになったら売り

4.迷ったらポジ縮小

5.場中に買わない

6.高寄り・出来高増・陽線を確認

7.材料で買い、数字で売る

8.高値買いを厭わない

9.アルゴ以前の知識を過信しない

10.明確な理由なしに手じまいしない

 

 


はじめに

 まず最初に、この本で最も重要なある一節を紹介しよう。僕は何度も何度も、涙を流しながらこの文章を読んだ。皆もそうなってくれると嬉しい。

 

『人間の本質が最大の弱点』

 

 トレーダーは成功すると、それが自分の功績で、自分の判断は正しく、全て自分の力でやったのだと思いがちだ。一方、損をした時の態度は変わって、自分を責めたり、損失について自分に原因があることを認めようとはしない。何か言い訳を見つける。予期しない事が起こったのだと自分に言い聞かせ、他人のいう事を聞かなければ儲かったのに、と思ったりする。「もし」「そして」「しかし」といった言葉をたくさん見つけて、自分の所為ではなかった事にする。何度も同じ失敗を繰り返し、損を被るのはこうした態度のためだ。投資家やトレーダーは自らを救済する道を見出し、自分の損については他人ではなく自分自身を責めるべきだ。でなければ、自分の弱点をいつまでたっても矯正できない。結局、損を出したのは自分の行為なのである。自分自身の問題点を探して正さねばならない。そうした後で、初めて成功する事が出来る。

 

 トレーダーが損をする主な理由の一つは、自分で考えずに他人に考えて貰ったり、意見を鵜呑みにする事だ。他人の判断が自分のものより良い保証はどこにもない。成功するには自分自身で研究し、徹底的に調査しなければならない。でなければ、仔羊(追証請求者の斧で屠られる者)への道を歩む事になるだろう。「仔羊」から脱却して、考える人となって、自ら知識を求めなさい。私に出来る事は、自助する人を助けたり、その方法を教える事だけだ。私は世界で最良のルールと、株のポジションの判定法を教える事は出来るが、それでも投資家の最大の弱点である人間の本質が原因で損をする可能性はあるのだ。ルールに従わない事もあろう。事実ではなく、願望や不安に基づいて行動する事もあろう。後れを取る事もあろう。待ちきれなくなる事もきっとあるはずだ。行動が早すぎる事もあるし、遅すぎる事もある。だがそれを、人間の弱点であると開き直ったり、相場のせいにしても何にもならない。(引用終わり)

 


  僕は大損する度に必ずこの場所を開き、何が誤りであったのかを考えた。その繰り返しが今の僕に資産を与えてくれている。今もこの一節を書き抜きながら涙を抑えきれない。それだけの価値がこの一文にはある。自分で考え、自分で決める。そしてその決断に責任を持つ。たったこれだけの事が、株価を見てると冷静にできない。それが相場の魅力であり、本当に悪魔的な所なのだ。


  「貴方がたは銀を受けるよりも、私の教えをうけよ。静金よりも、むしろ知識を得よ。知恵は宝石に勝り、貴方がたの望むすべての物は、これと比べるに足りない」【箴言 8.10-11】

 

 アメリカでは毎年、何百万ドルもの途方もない金が馬鹿げた投資によって浪費されている。この無意味な浪費の原因は無知によるものである。軽い病気や蛇口の修理などのありふれた仕事ですら専門家に相談し任せる人々が、何の準備もせず、全く知らない会社に投資をしている。損をするのは当然であろう。

 私は医者と同じ心がけで、私は投機や投資についてのアドバイスをしようと思う。医者は永遠の命を保証したり、病気に罹らないとは約束することはできない。だが、患者が困った時には、長い年月をかけて蓄積された知識と経験を携えて、すぐさま患者を助けに行く。私が述べるのは実践に役立たないような綺麗ごとでない。長年の経験に基づいた貴重なアドバイスであって、それに従えば日々のウォール街での実践的な投機から腰を据えた中長期の投資まで、あらゆる時間軸での成功が約束されるだろう。

 

 本を著す者が、その内容を信じる前に報酬の事を考えていたら、名声を長く保つことはできない。また、自分の推奨する商品の価値を信じていない煽り屋の成功も覚束ない。私は貴方に守って頂く本書の中に述べたルールを信じている。自分で試してみて、その正しさを実証しているからだ。本書の目的は、重要な原則に焦点を合わせ、実践に向くように簡潔に説明する事である。私の知識は20年以上に渡る経験から得たもので、その間ずっと、未経験者が目的に達するまでに越えねばならぬ悪路を歩んできた。本書を繰り返し丁寧に読むことで、貴方はその悪路を短くすることができる。

 

 私の目的は、実践には適用しがたい小難しい理論ではなく、新しくて実践的なルールを貴方に提供する事だ。チャートやテーマが株価に与える影響を徹底的に勉強していただきたい。そうすれば、本書を読むたびに新たな発見と知識が得られるだろう。たとえ少人数であっても無謀なギャンブルをやめ、手堅い投機と投資の道を歩むように出来たならば、本書は無駄ではなく、私の努力も十分に報いられることになるだろう。

 

1923年1月 ニューヨークにて W.D.ギャン

 


  彼の言葉は自らの理論に対する自信と希望に満ち溢れている。彼の理論が後にテクニカル分析と呼ばれるようになり、現在でも多くの信奉者を抱えていることが、この本に価値がある何よりの証だ。彼の理論は100年間ずっと有効であったし、この世界から人が消えない限り、これからもずっと有効だろう。そして彼は、エマーソンのこの言葉で前書きを結ぶ。

 

「本を繰り返し読むことは財産となり、進むべき道をも決めてくれる」

「本を正しく使うには本に助けてもらう事。知識も権力も役に立たない時は本に頼る事。本は視野を広め、己をより明確に知る縁(よすが)となる」

 

 この言葉が真実である事を、僕は実感として知っている。『株価の真実』は僕にとって人生の哲学書だ。そして、自分の生き方と張り方に迷うたびに、僕は必ずここに戻ってきた。もし貴方が世間に数多ある投資本に拘っているなら、今すぐそれを捨てよう。その本に価値があったとしても、その価値はこの本に如かない。


第1部「売買のための準備」

 「人は目標にどれほど近くにいようとも、学習の準備ができていなければ学ぶことはできない。化学者が最も貴重な秘密――資産を手にするために同業者には絶対に売り渡さないような貴重な秘密――を大工に漏らしたところで、その価値を知らぬ大工はそれによってわずかでも賢くなることはない」

 

 弁護士、医者、エンジニアなどの専門職で稼げるようになるまでには、2年から5年の修業期間が必要である。ところが、相場の世界では、人々は何の準備もなく投機を始める。何の研究もしないまま、全く知識のないものについて取引をしようとする。損をするのは当然だろう。情報さえあれば勝てるという者がある。愚かなことだ。情報は意図をもって流されるものであり、噂や内部情報で動く投機家には成功のチャンスはない。「科学と需給」に基づく明確な計画に従わぬ限り、いずれ必ず損をする。人は過去を研究し学ばぬ限り、決して成功する事はないのだ。労無くして何かを手に入れる事はできない。成功するためには時間と金をかけ、知識を総動員すべきである。

 


 この煽りの後、いよいよ第一章が始まる。タイトルは『テープ・リーディングとは何か?』。テープとは値動きを記録したチッカー・テープの事だが、おそらく今の貴方にはピンと来ないだろう。本書では【チャート分析】や、【チャートの声を聴く】といった言葉で置き換えようと思う。


第1章 チャート分析とは何か?

  チャート分析とは、チャートにあらわれる株価変動の研究であり、株価の強弱を判断し、売買タイミングの心理的契機を見定める技能である。貴方がファンダメンタル投資家なのだとしても、資金は効率的に回した方がよい。動きが鈍く、明確なトレンドを示さない株を切り捨てるためにも、この技能は必要だ。

 

 チャート分析は、我々の心が五感を使って感じる全てのものに影響されることから、心理的なものだといえる。チャートを読む際に、私たちは目に映るものだけでなく、触れたり感じたりするもの、つまり、必ずしも言葉では説明できないものの影響も受けるだろう。【勘】はその一つである。

 

 【勘】とは何だろうか? 投機家が「勘で売買する」とはよく聞く事である。勘についての最良の定義は「瞬間的推論」であり、理屈で考える前に善し悪しを教えてくれる何かだ。勘を上手く利用するには、立ち止まって理屈を考える前にまず行動する事である。そして、それを上手く行うためにこそ、チャートを見るのだ。チャートは市場全体の支配的な動きを記録したものである。そこには大多数の意見がまとめられており、仕手や、一般大衆や、実業家の期待や恐れが推察できる。これを正しく読み取る方法を知りさえすれば、信頼できるガイドとなり売買に役立つ。チャートは正しく解釈しさえすれば、真理を語ってくれるのである。だが、難しいのはここである。

 

 チャート分析には強い意志力が必要だ。そして、一度トレンドを見て取ったら、チャートが明確な変化を示すまで動じる事のない強い精神が不可欠である。チャートを正しく読み取る事と、自分の判断に基づいて行動する事は全く別の事であり、これについては後に述べる。

 


  この1ページにも満たないわずかな文章に、相場の神髄が書かれているといっても過言ではない。【勘】の効かない者、意志薄弱な者、忍耐力のない者は相場では勝てないと言っているも同然だからだ。彼は理論家でありながら見えない世界の存在を認め、人間に予め備わっている【勘】を否定しない。むしろそれを積極的に利用する事を薦める。そして勘を正しく働かせるためにこそ、チャートを見ろというのだ。僕が見える世界よりも見えない世界の方を重視したり、チャートの声を聴けというのも、こういう事である。

 

 チャートに理屈を当てはめた所でたいして役には立たない。皆がその理屈を知っているからだ。特に仕手株では明確な兆候を示してからでは玄人に一歩遅れる。そして、その遅れが致命的なものとなる。僕が度々崩れのポイントを当てる事は、皆知っているだろう。そして、その感覚は言葉で説明できるものではない。大事なのは、チャートが貴方に訴えかけようとしているものを肌で感じ取る事だ。理屈はトレードにおける優位性につながらない。理屈上手のトレード下手になってはいけない。


第2章  相場で金儲けができるか? 株式市場に打ち勝てるか?

  株式投資をする人間の99%は損をするとはよく聞くことだ。ならば、100人に1人は途方もない大勝をしているはずである。自分に問いかけてみるといい。「相場で誰かが損した金は、いったい誰の懐に入ったのか?」と。蒸発するはずがない。誰かが1ドル損をすれば、誰かが1ドル得をしているはずである。勝者と敗者の比率が大幅に偏っているだけだ。

 

 したがって、この表題に対する私の回答は、市場に打ち勝つことは十分可能で、慎重に投機や投資を行い、少数の選別された株で取引きすれば大きく稼ぐことができるというものになる。勿論、勝つためには、大量の知識と根拠となる理論を身につけなければならない。相場を博打と考える凡百のトレーダーを出し抜くために、圧倒的に深く学ぶことである。実際に相場で財産を作った人のやり方を知り、まずはそれを真似してみよう。多数の意見に流されるのではなく、1%の勝ち組の真似をしろ! こちらが買う時は誰かが売っているのであり、売る時は誰かが買っている事を絶対に忘れてはならない。

 

 株を買う人間の大半は結局は損をする。何故か? それは彼らが他人の情報に飛びついて買うからである。機関と個人の情報格差はかつてないほどに縮小しているにもかかわらず、殆どの投資家は自分の目で一次資料を確認する事をしない。殆どいつも天井で買う。わずかな保証金で借金をし、一攫千金を夢見て博打同然のトレードをする。そして、相場が逆にいけば、どうしようもなくなるまで含み損の玉を抱え続ける。これでは稼げるはずもない。

 

 普通の人は空売りをしない。下がるのが目に見えている時でも、繋ぎ売りすらやらない。だから下げ相場ではいつも曲がるのだ。売りをやらない人間が後で決まって言うセリフは、「あそこで売っておけば凄く儲かったのに」である。では何故、空売りすることを学ばないのだろうか?(空売りが安全かつ実践的である証拠は後に述べる)

 

 株式市場には数千もの企業が上場している。その業種は30種類以上に渡る。ある業種の全銘柄の動きを研究し、フォローするとなると大変な労力が必要だ。まして数業種となれば、分析はいっそう困難になる。チャート分析には根気と努力が必要なものだが、不毛な努力を繰り返しても見返りは少ない。

 

 チャート分析の要点と意義は一点集中することにある。幾千もの銘柄を同時に分析する事など、そもそも不可能な話なのだ。この世界で成功する秘訣は、他者からの情報を遮断し、内容をよく知る少数の熟知した銘柄を選び、そのトレードに集中する事である。

 


  これも1P足らずの文章に過ぎないけど、その内容は深い。そして、純カラの部分を除けば、殆ど普段の僕が言っている事と同じだ。相場で稼ぐためには深く学ぶ必要がある。だがそれは、自分の周辺にモニターを張り巡らし、数百の銘柄の値動きを監視し続ける事じゃない。そんなことをしてもただメンタルと体力を消耗し、アルゴの餌食になるだけだ。

 

 金を稼ぐために相場を張る。それはいい。だが、やり方を間違っちゃいけない。僕が冒頭に掲げた10のルールを順守し、稼ぐ事よりも、生き残る事を最優先にして動くのは、生き残りさえすれば知識と経験が次第に蓄積されていくからだ。その中で知った相性の良い株だけをトレードすればいい。それだけで十分に相場で暮らしていける。

 

 このネタの時はあの株が動いた。あの株が動くときはこの株が連動する。あの株はあまり知られていないけど、こんな事業をやっている。あの株はピン引けしても必ず安寄りする。あの株を仕掛けた奴は、前にあの株を手掛けた奴だ……そういう知識と経験が今の自分に金を与えてくれている。理論すらいらない。だから、相場で稼げるようになるためには、とにかく生き残る事。そして、学ぶことそのものに喜びを感じるような人間に自分自身を変えてゆく事だ。

 

 努力とは決して苦しいだけのものじゃない。僕は稼げるから相場が好きなわけではない。相場を通して学ぶことが好きだからこそ、ずっと相場を張り続けている。僕の跳訳を読み、相場をイチから学びなおしている自分の心を振り返ってみよう。もし貴方に相場に対する適性があるならば、恐らくは今、実際に張ってる時よりも楽しいはずだ。

 

 僕は投資法のみならず、煽り方や生き方もこの本に教えられた。この跳訳を読み進めるにつれ、貴方は何度もその事を実感するだろう。今はまだ知識がなくとも、僕の跳訳を楽しく読んでいけるなら、相場で稼げるようになる見込みが十分にある。僕はこの本に人生を変えられた。願わくば、皆もそうあらんことを。



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