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愛にしがみつく

 

 

 

作      作 うんこ太郎

 

 


 

 

女1「全部、私がいけないってことはわかっているんです。結局、私がこんなんだから、だらしないから、ダメだから、オカシイから、こんな風になってしまったんです。でも、やっぱり、夫のことをどうしても許せない自分がいて。だって、もう、私とはここ最近めっきりだったわけですかそれなのに。あちらときたら、結局、若い女に手をだしているわけじゃないですか。つまり、おちんちんの方は、さながら、元気だったということですよ。だけれども、私という存在じゃあ、立たなくなってしまわれたというわけですよ。そんなことをせめても仕方がないことかもしれませんが。私が何より許せないことは。そういった状況にありながら、さも、何事ないように毎日をふるまい、さも、私のことを愛しているかのように、ふるまい続けていたという事実が本当に許せないのです。いったい、今までの笑顔はなんだったのでしょうか。いままでの、私たち二人の間のやりとりはなんだったのでしょうか。あなたは、いったい、どんな状況のなかで、私と会話をしていたのでしょうか。」

 

 

 

男1「え、まってまって。そんなこと言ってたんですか。ちょっとまってくださいよ。いや、ほんとに信じてほしいんですけど。ぼく、絶対、そういうことしてませんからね。それ勝手に麻衣ちゃんが言ってるだけですから。いや、ほんとに。そういうことするんですって。はじめてじゃないですから、そうやって、自分を正当化するためになら、ふつうにウソをつくんですよ。麻衣ちゃんは。だから、そういうの含め、もう、結構、限界なんですよ。だって、いま、言ってたこと、全部麻衣ちゃんの作り話。妄想なんですよ。ついてけないですよ。そうやって、僕の知らないところで、いつの間にか、悪者にしたてあげられてるんだから。こわいですよ。まぁ、でも、別れたら別れたで、今度は何するかわからないってのはありますけどね。とりあえず、僕は現状を打破したいんです。

 

 

 

女1「私は彼のことを許したいと心から思っていました。ですが、家で一人でいると、どうしても不安になってしまって、いろいろなことを考えてしまうのでした。

 

彼が、帰ってくると、わたしは彼に事細かに質問をしてしまうのでした。別に、彼を怪しんでいるとか、そういう意識はなにのですが、どうしても、彼の一挙一同に怪しい部分がないか、矛盾している部分はないかと、確かめたくなってしまうのでした。それが、わかったとして、ただただ、自分が傷つくだけだということを分かっていながら、そういった行為を繰り返してしまいました。彼もはじめのうちは、うんうん、と御機嫌よく話に応答をしてくれるのですが、次第に、私の質問攻めに、表情を曇らせ、しかし、私はそのことにも気づかず、終いには彼の逆鱗に触れるところまで彼を追い込んでしまうのでした。

 

 

 

男1「うるさいんだよ!」

 

 

 

女1「でも、私は、子供の前で大きな声を上げる彼のことがどうしても許せませんでした。もちろん、彼を激怒するまで追い込んでいる私にも責任はあると思うのでしが、それでも、子供の前で大きな声を上げるなんていうことは、絶対によくないことだし、みっちゃんのことを本当に大事に思っているならば、そんなことはできるはずないし、私だったら絶対にしない。そういう、みっちゃんのことを大事にしない、彼のことを、軽蔑さえしていました。私だって、彼にいろいろ酷いことを言われて、何度も何度も怒りたかったですけど、それは、みっちゃんのために、我慢をしてきました。そういうことって、普通にしなきゃいけないことじゃないんですか?そういうのができないって、親として、最低なことだと思いませんか?

 

 

 

男1「あのね、僕だって、それは何回も何回も何回も何回も何回も。考えましたよ。でもね。現状ではやっぱり、僕がみっちゃんを育てたほうがいいに決まってるんですよ。●でも、別れることがどういうことになるかってことぐらい分かってますし、そうならないためにはどうしたらいいかっていうことだって、考えました。僕の中で変えられる部分があるならば、いくらでも変えたいということを、麻衣ちゃんには提案しました。怒らないでほしいと、大きな声を出さないでほしいと麻衣ちゃんは言いました。」

 

だから、僕も、麻衣ちゃんがどんな風に僕のことを攻め立てても、周りの人に当たり散らしたとしても、怒りませんでした。優しく接していましたよ。それでも、麻衣ちゃんは、何も変わりません。しまいには、よくわからない妄想の中で、僕のことをどうしようもない悪者のように仕立て上げて、こうやって色んな人に言いふらして。麻衣ちゃんのどこに、僕と二人で、二人の関係をどうにかしていこうという気持ちがあると言えるんですか、それは、そう、そうそう、そう。麻衣ちゃんは、おかしくなってしまっているっていうことはわかりますよよ。その原因が僕ではないって、さっきから言っているじゃないですか。あぁだから、だから、だから、僕も、もう限界なんですよ。あぁ!って大きな声を出してしまいそうになるんですよ。怒りたくなってしまうんですよ。こんな自分、生れてきて、初めてですよ。そんな自分がいるなんて、この年になってはじめて知ったくらいですよ。それぐらい、もう、限界。なんですよ。本当に。もう、僕は、全部、やめて、0からやりたいんです。どう言われたって構わないですよ。誰が不幸になったって構わないですよ。もう、僕は、許してもらえるんだったら、なんでもしたい気分なんですよ。おんとうに、限界がきているんですよ。そこに。それでも、別れないほうがいいんですかね。

 

 

 

女1「●彼は私からあの子を取り上げようとしました。私の頭がおかしいから、というのが彼の言い分でした。たしかに彼のいう通り、私は頭がおかしいのかもしれません。だから、こんな私とみっちゃんが一緒に暮らすことはみっちゃんにとっても、不幸せなのかもしれません。でも、私は、そのことを思うと、本当に悲しくなってしまうのでした。みっちゃんのことが、本当に可愛いし、離れたくないし、「ママ、ママ」って呼ぶ、みっちゃんのことを思うと、どうしたって、離れることはできないと思ってしまうのです。私、みっちゃんの前から消えることは、彼が言うように、みっちゃんにっとっては教育的には良いことなのかもしれませんが、きっとみっちゃんは、すぐに、そんなことを受け入れるはずはありません。いまでさえ、少しでも、私の影がなくなると「ママ、ママ」って呼んで、泣いてしまうのに、何日も何年も、みっちゃんの前から私が消えてしまったら。みっちゃんは、ずっとずっと、私を呼んで泣き叫んでしまうように思うのです。少し、大人になって、泣きや叫ぶのをやめたとしても、心のどこかでは、私を呼び続けてしまうのではないかと思うのです。こんなのは自意識過剰なのかもしれません。でも、とにかく、今の私にはそのことができないのです。それは結局は、みっちゃんのためだけではないのかもしれません。今の私が、もしも、みっちゃんを失ったとしたら、私はいったい全体なんのために生きていけばいいのでしょうか

 

とにかく、みっちゃんのためには、私たちは別れるべきではない。どんなに苦しくても、偽りだといわれたとしても、別れはいけないとおもうんです。そう思うでしょ。そんなのはあたりえですよね。それなのに、どうして彼はそんあことを言うんでしょうか、どうしてそんなことを軽々といえてしまうのでしょうか。頭のおかしな私が言っていることは、やっぱり頭がおかしいことなんでしょうか。もう、私には何が正しいかわかりません。

 

 

 

男1「なぁ、なぁ、なぁ、一人で話してないで。ちゃんと話そう。」

 

女1「・・・」

 

男1「ごめん。やっぱりいろいろ考えたんだけどさ。別れよう」

 

女1「やだ」

 

男1「なんで」

 

女1「・・みっちゃんがかわいそう」

 

男1「・・こんな状況の中で育てるほうがかわいそうだよ」

 

女1「・・じゃあ、・・どうすればいいの」

 

男1「・・みっちゃんは俺が引き取る」

 

女1「それであの女とみっちゃんを育てる気なんでしょ」

 

男1「そうじゃないでしょ!」

 

女1「大きな声を出さないでよ」

 

男1「・・・違うから、親に来てもらったりいろいろ考えてるから」

 

女1「やだ、みっちゃんと離れたくない」

 

男1「それは麻衣ちゃんの希望でしょ」

 

女1「だって、ママママって呼ぶんだよ」

 

男1「麻衣ちゃんじゃ、・・育てられないでしょ」

 

女1「・・なんで、・・私が頭がおかしいから」

 

男1「・・そうだよ」

 

女1「(泣く)」

 

男1「あぁ、もう、なんで泣くんだよ!」

 

女1「だめ、私、みっちゃんがいないと死んじゃう、みっちゃん連れてかないで」

 

男1「じゃあ、いいよ。もう、みっちゃんとか、もうどうだっていいわ。二人がんばればいいじゃん。俺は出てくから。俺は頭おかしくなりたくないからさ」

 

 

 

男1、出ていこうとする

 

 

 

女1「待って、待って、待って」

 

 

 

女1、しがみつく

 

男1、倒れる

 

 

 

男1「はなせ、はなせ、キチガイ!お前は普通じゃない」

 

女1「やだ、はなさない」

 

 

 

 女1、男1の体に自分の体を重ねる。

 

 

 

女1「・・・ハグして」

 

 

 

男1、女1をハグする。

 

 

 

泣く。

 

 

 

 


この本の内容は以上です。


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