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00.世界に何が起きたのか

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 かつて、「世界」があった。
 過去形の「あった」は異なるかも知れない、何故なら厳密には今も世界は「ある」のだから。
 ただ形を、変えただけ。
 変わったのは、「世界」そのものか。それとも世界に「存在」するモノなのか。
 それを確かめられる「何か」は確実に存在しているのだろうが、それを「周知」出来るかと言えばそうでもない。
 何故なら、彼ら彼女らは「それ」を知らないから。

 始まりがあれば、どんな事にも終わりはある。
 それが、世界の「法則」だ。
 等価交換? あるかも知れない、ないかも知れない。
 不条理? あるだろう、ないだろう。

 例え、それが世界の「頂点」と言われる位置に座する者であろうと。
 例え、それが世界の「最低」と言われる位置に座する者であろうと。

 存在が存在として発生した時点で、ソレは必ず訪れる「終焉」が起きる。
 あらゆるモノ、あらゆる存在の唯一の「平等」である。
 けれど、大抵の「意志ある存在」がそうである様に自らの「終わり」が近づき認識を深めると大多数の「意志」は抗いを見せる事が多い。必ずしもそうとは限らず、場合によっては時に諦観をする事で全てを受け入れる事もあるだろう。理由はどうあれ、この場合は「抗う」事を選択した。
 ただ、それだけだった。

 世界に生まれた「存在」は世界の「内側」にある者だ。意志であり意思があるモノは世界と言う「壁」を超える事はない、何故なら世界の内側に生まれたからであって他に理由も意味もない。
 彼らまたは彼女らは世界と言う壁に阻まれ、決して外側に出る事はない。
 そう、世界が壊れる事さえ無ければ。
 ただし、今回はそうではない。幸か不幸かはさて置き「世界そのもの」がたまたまとか偶然とか言うご都合主義的に持っているのか、はたまた他の世界でも一般的なのかは別として「意志ある存在」としてある以上、自らの死亡または終焉、もしくは消滅と言う危機を知り得た為に混乱を来した。それがどんな影響を及ぼしたのかはさて置き、結果的に他に手だてが無くなってしまった事で「世界」は求めた。

 助けを。
 助力を。
 助命を。

 あらゆる多方面の世界に、それこそ環状線状とでも言えば良いのか放たれた「声の様な何か」は飛ばされた……おかしな事など、何一つない。
 何故なら、放たれた「声」は「世界」が世界と言う「個」であり個と言う世界である以上は「同線上に存在している何か」または似た様な誰かが存在していた場合、それを受け止める「可能性」があるからだ。
 例えて言うのならば、町中でいきなり大声を出した相手と意思疎通を取る様なものである。かなり異なる乱暴な理論ではあるが、あえて言うのならばそこに近いものを見出す事が出来ない事もないだろう。

 つまり、とある「世界」に存在した世界そのものである個たる「何か」は己の消滅を憂いて助けを求め。その声に「応えてしまった誰か」の力を借りて己と己の内包しているものを可能な限り持ち込む事で九死に一生を得た事になった。
 ただし、それは単に「世界」が「別世界」に押しかけ女房宜しく体当たりをかまして押し入った居直り強盗もかくやと言う。乱暴どころでは済まない状況であると同時に、世界そのものを「書き換える」と言う概念的な事象を引き起こしてしまうなどとは。かつて、その世界そのものであり「神」や「悪魔」と呼ばれていた「意志」にしてみても甚だ計算外も良い所だと言う現実は、予測など欠片もしていなかったりしたのだが。

 そう、かつてより「地球」と呼ばれていた惑星を中心に宇宙世界へと薄く広がって行ったのは。
 かつて、「剣と魔法」が存在していてわずかに残った力を持ち込み広げて行く事になった世界が。
 重なり合って生まれた、新たなる世界なのである。


この本の内容は以上です。


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