目次
この本は、東京を走る電車の中の楽しい人間模様を書き留めたものです。
赤福!
ちょうちんブルマー
順番こ
のぞき見(ミタさん)
(トリコットのドレス)
 (ウォッチ君のウォッチ))
(明朝の眉が心配・・・)
(帽子の被り方)
(たんたんと・・)
(銀座線で・・)
紬着物地の利用法
日暮里繊維問屋街というところ
笏を持ったお内裏様・・?
がんばれ!にっぽん! 「ロンドン五輪選手のエンブレム」
ミサンガ
マンタのマント
ピコットちゃん
ふくらはぎ
キューピー体型
スカーフ
ほっこりする風景
冷え冷えタオルの賞味時間
かなしき「デブリン部隊」
美しき「優先席」のひと
銀座線の人
近頃の「手袋事情」
一口コント!
一本の白髪で・・
サマーヤーン
鳩杖
円形・・・
紙の使い方
「謎」のセリフ
スカイツリーと夫婦の有り方
バイヤスのボタンホール
つけまつげ
魔法の液体
ぱか~ん!
ブランドおばあさま
自分のことを一番知らないのは自分
ミスマッチ?
ロココ婦人
お歳頃の心得
しまぶくろ・・・?
「優先席」のA・B・Cさん
ピン一本で・・・
入れ歯遊び
伊達男
色男の困惑
車中ウォッチング(携帯編)
衣替えの季節
人はみかけに・・・
ルーズソックス
体操おばさん
若い男性
クリスマスバージョン
化粧
逆ウォッチング
はな〇〇
おばさんの会話
奥付
奥付

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人はみかけに・・・

電車がある駅に到着すると、わいわいと人の波が吸い込まれてくる。
昼下がり、買い物帰りの人だろうか三々五々それなりの位置へ・・・。
私の隣に座った二人連れ。
男性はW杯の審判長のようなおつむ。それに、白地にグリーンの民族柄の長目のシャツ姿。
女性は・・紫色の華やかなシャツに白いパンツ。
頃は45歳前後?


透けるつばのある帽子の女性。お二人とも黒々としたサングラス。
そう・・・。ここまで書けばお察しのように、どうみても「○○組」に所属しているあねさんとだんな風。
なにやら楽しそうに会話が途切れない。

と・・。ある駅に近づくと、審判長がツと立ち上がり、手を差し伸べた。
きらり光る白い歯。やさしさと愛しさを瞳にほのともして、「さぁ・・」と右手を差し出して促す。
見ると、反対の手に涼しげな可愛いバッグを下げている。しかも、紫のスカーフがひらり結んであるもの・・・。
うれしそうに差し出された手につかまり、「よっこらしょ!」と立ち上がる紫おばさん。
私より素晴らしい(?)体躯
ころころと審判長の手につかまりながらホームに消えて行った。

手を差し出した時の審判長の微笑みと、愛溢れるまなざし・・・。(あ、この時はサングラスを取っていたのね)
それに呼応して、うれしさを巨体に滲み出しながら付いていった紫おばさん。

いいなぁ・・・いいなぁ・・・。
最初の「おわっ」という姿勢が、自分で恥ずかしくなったことでした。

人は見掛けで決めてはいけないのね・・。


ルーズソックス

わいわいがやがやと電車の扉あたりにさざめいていた高校生の一団。


松戸でさっと人が降りて座席が空いたので、私の向かいの席に3人座る。


今流行りの「小顔」のかわいこちゃん達。
ミニの襞スカートの足を広げて、うっ・・・ばか!見えるだろうが・・・。

足を付けて座りなさい!
目が合ったら教えてあげようとMEMEおば(あ)さんはじっと彼女の顔をみているが、全然気が付いてくれない。
私の隣にはうら若き男性が・・・。
慌ててちらりとみると、「わたしゃ見えてません」とばかりに下を向いている。
もう!
普段パンツ姿が多い為、足を広げて座る事に何の抵抗も無くなっているのだろうか・・・。


いやん!また見えてる・・・。もう!
はらはらどきどきしていると、中の一人が何やらカバンの中からびろ~ん!と白いものを取り出した!
なに?これ!
白いなが~い物体2本。
1メーター以上もあるかと思う靴下だ!
これがあの「ルーズソックス」というものの使用前の姿か・・・。
と・・・。
今まで履いていたハイソックスを脱いで、その「殿中でござる」のようななが~いソックスに履き替え始めた。
わっ!
またまた凄すぎる・・・。目のやり場がない風景がそこに出現したのであった!
もう!どうしてくれよう・・・。
目にリキを入れて念力をだしているMEMEには全然気付かず・・。


隣のわかもんは?どうしてる?・・・と盗み見をする。
あ、本を取り出して読み始めた・・・ほっ。


もう片方も同じように履き出す。
ひぇ!またまたちらちらと・・・。ばか!


なが~い靴下を襞襞にして膝から下に収めると、あんな物体がちゃんと見慣れた「ルーズソックス」に変身するのも見事だ。
(感心しているばやいか!)

 


となりの若もんは・・・?
一層深ぶかと本に顔を擦り付けて・・・。

一通リの履き替えが終わったところで柏駅に。
何事も無かったように高校生達はさざめきながら「靴下の女」と共にホームに降り立って行った。

ほ~~っ・・・。
隣の若もんと共に、深いため息をついたことでした!
やれやれ、イマドキの高校生は・・・。ふぅ・・・。


MEMEおば(あ)の命が1年3ヶ月縮まった出来事でした。


体操おばさん

梅雨寒で、この季節なのに長袖を着用している方が目に付く。


ラッシュが終わった電車の中、座った私の右斜め前に立つご婦人もオレンジ色のニットレースをお召しだ。


駆け込んでくるなり荷物を荷台に上げ、両手を「イチニのサン」と親指から広げたり折ったり熱心に指の体操を始めた。
それが済むと今度は肩を左右にゆすり、柔軟体操。
おまけに、首を前後に曲げだした。


後ろに立っていた若いお嬢さんの鼻のあたりに、体操女史のもじゃもじゃ髪が遠慮も無く襲い掛かる。のけぞるお嬢さん。


体操女史の、しっかとした清潔そうな装いといい、キリリとした潔癖感に支配された美しい顔立ちといい、縁無しメガネから見える涼しげな目といい、完璧な清潔好きの奥様風。


寸暇を惜しんでの彼女の自己鍛錬は、ぐーたらデブちゃんの私には耳が(目が)痛い風景。

と・・・
私の左隣の席の人が中腰になって降りるそぶり。


何気なく体操女史を見た瞬間、視線がバッチリ合ってしまった。
その時!
私ににっこり微笑みかけて来たではないですか!


えっ!えっ!えっ!


今までこっそり観察していた私の視線を知っていたのか・・・。ひぇ!


どぎまぎしながら曖昧な表情でかわす私の目に映った彼女の行動・・・。
先ほど荷台に放り上げた黒い袋を慌てて引きおろしている・・・。
ということは・・・。


そこで疑問解決!


彼女の「にっこり」は、私に左隣の席を確保してぇ!という合図だったんだ!
気が付いた時は既に遅し。
体格満点の若い男性がどっこいしょ!と座席を揺らして座った後!


だって・・・。彼女は右の方に立っていたのだから、私の左隣の席まで辿り付くには、三人の人を乗り越えて来なくてはいけない・・。
そんな理不尽があるでしょうか・・・。
当てにした空席が埋まるのを見ると、黒い袋をまた荷台に放り上げた女史。
その後の彼女の観察はもうストップ。
一度も振り返らないで目的地で降りたことでした。

それにしても、あれだけ熱心に自己鍛錬運動をしていたら、何人もの人を乗り越えた空席確保など必要ないと思うなぁ・・・。


若い男性

梅雨の晴れ間、野暮用でちょっとお出かけ。
息子に買って貰った高級運動靴(ウォーキングシューズ)を履いて颯爽とどたどたと車中の人に。
ふと見ると、前に座った若者の何と美しい顔立ちだこと!
私の半分位(まさか)の小顔に、きりりとした眉。ずっと下を向いて熱心に読書。
額にかかる短めの髪がかすかな影を落として、何とも言えないムード。
と・・。プルルと携帯電話。腰のポッケから携帯電話を取り出してメールを読むが、眉一つ変化させないでそのまままたポッケに。
その時、初めて目を上げた。
わっ、涼しげな目! 白目の部分が青みを帯びて、まだ成熟していない若芽のような・・・。
また直ぐに目を本に落として、無表情に読み進む。
ほんっとにかっこいいんだけど、読んでいる本に気がついてみたら、あれま、週刊漫画本。
でも、こんなに素敵な顔なんだから、何でも許す!(?)

孫のような若者に見とれていると、隣にドスンと座った男性が手提げからごそごそノートを取り出した。
背の高い30がらみの顎髭くん。ちょぼちょぼした髭とグリーンと紺のチェックのハンチングが何やら業界風。
ふと見ると、あれ?使い慣れた感じの手提げに、何やらアプリケが。
頭を後ろに反らして、彼の視界からなるべく遠い位置かたらよくよく見れば! ふふ!
隣の本人とソックリな髭のおじさんがウィスキーを捧げている図柄。
もしかして、恋人か奥さんが手刺繍で作った手提げかも。
良く見れば、提げ手の部分や周囲には可愛い花柄のキルティング。
う!こぼれ見えているストラップには「熊のぷ~さん」が覗いている。
鉛筆を取り出して何か書きはじめる。
ん・・?  あれま、五線紙。
さらさら鉛筆の動きに目をやると、四分音符やら八分音符やらをシャッシャッと書いて、縦線をビュビュ!
目にも留まらぬ速さで五線紙を埋めて行く。
おぉ、それに合わせた重音まで書いているぅ・・・。
髭おじさん図柄の可愛いアプリケの手提げの上で踊る彼の魔法のような手。
ほのぼの「ミスマッチ」をしっかり楽しんだウォッチングでした。
いったい彼はどういう人物だったのでしょう・・。

斜め前に座っていた女性、私もカナワヌどすこいさん。
日暮里駅に着いて、エスカレーターのある階段に遠周りする私と行動が同じだったことには笑ってしまった。
やっぱし!


クリスマスバージョン

今年もあとわずか・・・。
何となく慌ただしい気分は毎年のこと。
その割りにはちっとも年末のお掃除には手が付いていない。

今日はデッサン会最後の教室。
勉強の後は、ささやかな忘年会の予定。
重たいデッサン用具をえっさらほいと担ぎ、反対の肩にもイーゼルを担いで車中の人に。。

さすが年末。ウィークディの午前にしては結構込んでいる。
隣の駅から乗ってきた小さなおばあさま。年格好は80歳は過ぎていらっしゃるかな・・?
ふと見ると、なんと!着易そうな紺色のオーバーの前身ごろに、可愛い小さな薔薇の花が刺繍してあり、それが袖口にもあしらってある。
袖口も丸い可愛い切り込みが入っていて、その部分に赤い薔薇が刺繍してあるのだ!
良く見ると、前身ごろのあちこちにも配分良く赤い薔薇が散らしてある・・・。
お孫さんのオーバーの「おあがり(お下がりの反対)」にしてはあまりにもお背が小さいし。

おぐしはすっかり白く、少しの髪を黒いターバン風のニット帽に包んで、どう拝見してもやっぱり80歳に見えるおばあさま。
で!
ふと視線を襟元に落としてびっくり!
オーバーの小さな襟元に飾ってあるブローチが、「赤い可愛い靴下」からキラキラした宝石が溢れているデザイン!
サンタさんからのプレゼントのガラスの宝石達。

なんておしゃれなおばあさま!
その小さなお身体は、オーバーの上からでもしっかり年を感じられるスタイル。
でも、お心はいつまでも「サンタさんを待つ」少女なのでしょうか。
何だかとってもうれしくなってしまったことでした。



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