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最終更新日 : 2017-07-19 15:54:14

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 巨大都市グレイシティ、超高層ビルが林立する近代都市。文化、経済の中心地で、街は華やかに繁栄していた。

 

 中心街の高級ホテルのナイトバーで、ぴったりとした背広を着た長身の男が、カウンター席で一人、ウォッカを飲んでいる。黒髪に少し肌が青白い、横顔が端正な美男である。

 しばらく時間が経ち、ナイトバーのカウンター席は、ほとんど埋まり、バーのマスターが常連客達にカクテルを作り、愛想良く世間話をしている。

 

 男は、隣の席に、いつの間にか長い黒髪に、派手な化粧をした、美しい女が座っているのに気づく。

 

「この辺りでは、お見かけしない方ですね。最近、この街にいらしたんですか?私は、このナイトバーの常連で、週末は、よく来るのですよ。お一人なら、ご一緒していいですか。」

 女は、少し笑顔で言う。

 

 女は、あでやかな紫のアイシャドウに、アイラインは、おおげさなマスカラを付けて、チークは、頰が、こけて見える程、濃く厚く塗り込んである。黒のミニのワンピースを着た、かなりの長身の魔女にも見えるその女は、薄暗いナイトバーの照明の下で、あやしく輝いていた。

 

「私は、先週、この街に来ました。ここは良い街ですね。中央並みに大資本の拠点も多くありますし、私が見た限りですが、どの企業も活気がありますね。本当に人も産業も、すごく、うるおってますね。」

 男は優しく丁寧な口調で女に言う。


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 ビルのラウンジの窓ごしに見える、満天の星々の様にゴージャスな街の夜景は、この街の巨万の富の象徴である。

 

 「実は私も、この街に来て、まだ半年なのですよ。この街は私にとって、とても住みやすいですし、こうやって夜を楽しむ場所も沢山あります。この窓から見える濁りのない、きれいな夜空と街の壮大で美しい明かりは、この街の健全な発展の証しですよ。

 でも、ご存知かもしれませんが、最近、台頭して来た、バージャックエネルギープラント社の高圧的で横暴なやり方は、この街の秩序をおびやかし始めています。」

 女はグラスのジンライムを飲みながら、少し表情をくもらして言う。

 

 

「カウンターで飲んでるゾルティン社のエージェントさん、少し我々の話を聞いてもらおうか。」

 ナイトバーの入り口に、グレイのラバースーツに、最新装備の防護プロテクターを装着した男が立っていた。短い髪型に鋭く冷たい目をした、バージャックエネルギープラント社のコマンドである。

 その隣には、胸元が大きく開いたグレイのボディースーツを着用した、長い黒髪に、大きな瞳の女コマンドが立っている。

 さらに、その後ろには同じく、グレーのラバースーツを着用した、コマンドの手下達がずらりと十二人並んで、男を、にらみつけている。

 

「何の用だ、バージャック社の皆さん、まさか、今日の昼間の交渉の結果が気に食わなかったとでも言うのかい。」

 男は、振り返り様に、先程の女との物静かな物腰から、一変、物凄く高圧的に、バージャック社のコマンドと手下達に、すごむ


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 先程から、バーのカウンターで、黒いワンピースの女と談笑していた男は、グレイシティ近郊のエネルギー鉱石採掘場の採掘権をめぐって、中央の巨大企業、ゾルティン社から派遣されて来た、交渉代理のエージェントである。

 

「悪いんだが、明日の公式調印会は中止してもらうよ。我々、バージャック社は、君らの様な、よそ者が嫌いなのだよ。確かに、エネルギー鉱石の採掘場は見事、君らゾルティン社が作り上げたけれども、元々、この地域のエネルギー事業は、我々、バージャック社と同盟三社に管轄権があるのはご存知の通り。そこで、地元の我々にも採掘権の割譲をと言う話が、昼間の協議の結果は、君達ゾルティン社が採掘権の半分を持ち、我々、バージャック社と同盟三社で、残りの半分の権利を四分割してくれとは、どういう話だ。この地域の古参企業である我々、バージャック社の採掘権がたった八分の一とはおかしいじゃないか。」

 

  バージャック社内部の強硬派は、昼間の穏健派及び同盟三社とゾルティン社の協議の結論に、ふんがいしていた。彼らは明日の公式調印会を、つぶすための実力行使に出たのである。

 以前、バージャック社の、グレイシティの近郊のエネルギー鉱石採掘場の建設事業への参入は、完全にとんざしていた。理由は、その技術的規模と膨大な資金調達は、地方企業バージャック社の企業規模では困難という結論だった。そこへ、中央の巨大企業ゾルティン社が、その膨大な資本力でエネルギー鉱石の採掘場を、単独で完成させてしまったのである。それに対して、元からこの地域のエネルギーの管轄権を持つ、地元企業として、バージャック社と同盟三社が採掘権の割譲を申し出て来たのである。


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