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新章開始

ご無沙汰しております、浄閑です。

 

さて、「Shining Blade II」終了から2年あまりが経過し、また筆を執る気になりましたので、新章を「Shining Blade III」と題して、新たにボチボチと思うところを書いていきたいと思います。

 

前章「Shining Blade II」は、私が馬主として最初に購買・所有した馬、「Kanandah Queen」の子供達を追うというのが、そのメインコンテンツだったわけですけど、カナンダクイーンは出産時の事故で昨年にその生涯を閉じました。子供も残念ながら助かりませんでした。残された現役の産駒は、2歳になったグランプリボス産駒のみ。この馬が最後の希望にして、唯一の後継となりうる牝馬となります。

 

新章「Shining Blade III」は、このグランプリボス産駒の活躍を追うという内容を勿論含みますが、主たる項目としては「相馬師編」という事にしたいと思っております。

 

私も、今ではおかげ様で、相馬師として一定の成果をあげる事ができ、何人かのクライアントを持つ身になりました。ただ、基本的な私の社会的立ち位置というのは、あくまでも「情報技術者」であり、これまでと何も変わりません。

 

「情報分析の専門家から見た相馬」というテーマが、この新章のメインコンテンツとなります。

 

よろしくお願い申し上げます。


電波的相馬論ふたたび

「Shining Blade」「Shining Blade II」をお読みいただいていた読者の方は既にご存知だと思いますが、ここで簡単に「情報分析による相馬の存在意義」とはどういったものなのか? その概要を簡単に説明しておこうと思います。以前は、「電波的相馬論」と呼んでいた内容です(笑)。

 

「競走馬としての素質に富んだ仔馬をどう選別するのか?」

 

その方法は多岐にわたります。

 

血統的なアプローチ、馬体的なアプローチ、その動きから予想される運動能力、その仕草から予想される気性、経験からくる直感的な勘、普段世話をしている牧場関係者からの情報収集、馬がもつ雰囲気、個別に挙げればキリがありません。

 

そして、こういった多項目に渡る相馬の要素を総合的に考慮し、実際に馬の選別を行うのは調教師、もしくは牧場主というケースが一般的です。

 

彼らは、日常的に現役の競走馬、もしくは幼駒を管理し、多くの走る馬・走らない馬を継続して見てきているわけですから、相馬に必要な項目の大部分に関して、深い見識を備えています。その見識は、当然ながら相馬に必要で、かつ大いに有用でもあるわけです。

 

私は、今は引退されましたが名伯楽にして相馬師としても名高い白井寿昭元調教師に教えを乞い、今の師匠は森秀行調教師という人間ですが、やはり多くの項目に関して、私の力量はこのクラスの調教師に遠く及びません。

 

特に、トレーニングセールとなると、まるで歯が立ちません。森師の管理馬に、ヨシオという馬がいますが、この馬などは個人馬主にとって「究極の理想」と言える馬です。まだ5歳なのに、既に50戦を消化し、5勝。オープン馬でこれまでの獲得賞金は一億円以上、購買価格はJRAブリーズアップセールで500万円弱、まさにFlawless。完璧です。

 

こういったパターンでの成功は、調教師や牧場主、または育成事業者など所謂「プロ」の間での争いであり、そこに情報分析による相馬にアドバンテージはなく、割り込む余地は全くありません。

 

プロの中でも、突出した見識を備えている人たちによるガチの競争という話になります。

 

では、どこに情報分析による相馬のアドバンテージがあるのか?

 

プロローグの中で具体的に述べていきたいと思います。

 


情報分析による相馬の利点

情報分析による相馬、その最大の利点というのは、

 

「そんなアプローチからの相馬は、ほとんど誰もやっていない」

 

これに尽きます。

 

実は、相馬というのは、初歩の段階だとそんなに難しい話ではないのです。例えば、9頭の未勝利馬の中に、1頭だけGI勝ち馬を混ぜて、「さてどれがGI馬でしょう?」なんてクイズを調教師に出すと、不正解なんて人はさすがに一人もいないと思います。

 

これは競走馬のセリ市においても同様です。例えば10人の調教師に、200頭かそこらの上場馬の中から、購買候補馬を20頭に絞れという作業を依頼すれば、その20頭は大体被るでしょう。ただ、その20頭の中から、「実際にどの馬を競るのか?」という段階に進めば、そこで調教師の真の力量が問われる事になります。

 

というのは、選別の過程における判断は、もっと具体的な事でケースバイケースになるからです。例えば単純に膝に不安がある仔馬がいたとしたとしましょう。これを「問題」と捉えて蹴るのは簡単な事なのですが、中には大丈夫と判断して安くその馬を購買し、ちゃんと競馬で走らせるなんて調教師も当然ながら存在します。プロの見識というのは、こういった局面で発揮されるものなのです。

 

話が少し脱線したので、元に戻します。

 

あくまでも、ざっくりとした話ではありますが、次の話として、「では実際に競りの結果がどうなるのか?」といえば、上記のようなプロの判断によって若干の誤差はあるものの、基本的には、候補馬として多く被った馬が高額になり、評価がバラけた馬がそれなりの値段になり、あまり他と被ってなかった馬が安くなる。まずまず、こういった結果になります。

 

つまり、「良い馬を探す」という作業に関しては正確なものの、そこに値段的な旨味は基本的にあまりありません。

 

少し辛辣な書き方になりますが、調教師が良い馬と判断する根拠、基準というのは、人によってそんなに無茶苦茶変わるものではないのです。これは牧場主や育成事業者であっても同様です。競りに参加している牧場主、育成事業者だって、同じ見方をする同業の人間が他に何人もいるわけですから。

 

更に辛辣な事を書けば、こういった選別方法がメインの手法なのであれば、「選別という作業がそもそも必要なのか?」とも思います。

 

すなわち相馬による評価が、結局は「値段なり」になるのだから、「高い馬を競ってりゃとりあえずそれで問題ないんじゃないの?」という話になってしまうのではないでしょうか。実際、セレクトセールで一億円の値段がついた馬を否定する調教師はほぼいないと言っていいでしょう。

 

情報分析による相馬は、良い馬と判断する基準・根拠かこれまでのやり方・手法とは大きく異なります。つまり、他の選別者と候補馬が被りにくい。それ故に、安く買える・・・。

 

「値段的な妙味がある」

 

これが、情報分析による相馬、最大の利点となります。

 


情報分析による相馬の成果

私が初めて競走馬を購買したのは2004年。以来、14年に渡って、実際に競りで仔馬を購買してきました。

 

その間には、ピックアップはしていたものの、値段的な問題であったり、環境的な問題、単純に運の問題で実際には買えなかった後の活躍馬も多くいるのですが、現実に購買に成功した馬での活躍例となると、以下のような馬達になります。

 

ヨヨギマック    38戦5勝  取引価格300万円  獲得賞金額9999万円 ※7歳現役

ブライスガウ    16戦3勝  取引価格950万円  獲得賞金額4721万円 ※5歳現役

ケッキセヨ     40戦3勝  取引価格200万円  獲得賞金額4465万円

エルドリッジ    39戦4勝  取引価格900万円  獲得賞金額3821万円 ※8歳現役

デブリン      30戦3勝  取引価格12万ドル   獲得賞金額2765万円 ※6歳現役

ドウカンヤマ    13戦3勝  取引価格1250万円  獲得賞金額2465万円 ※5歳現役

ステージインパクト 25戦12勝  取引価格350万円  獲得賞金額2128万円 ※6歳現役

ヴォーガ      11戦2勝  取引価格1000万円  獲得賞金額1642万円 ※4歳現役

サカダッシュ    43戦4勝  取引価格200万円  獲得賞金額1395万円 ※6歳現役

サオトメ      14戦3勝  取引価格1200万円  獲得賞金額1379万円

ヨウチエンコース  11戦3勝  取引価格400万円  獲得賞金額892万円  ※5歳現役

ランパク      3戦1勝    取引価格550万円  獲得賞金額572万円  ※3歳現役

 

サオトメはトレーニングセールでの購買でしたので育成費はかかっていませんが、維持費を考慮すると当然赤字ですし、ヨウチエンコースも余裕で赤字なのですが、便宜上、こちらに入れています。

 

一方で、購買時の取引価格に、獲得賞金額が追い付いていない馬達は以下のようになります。

 

ネオスターダム    29戦4勝 取引価格9600万円  獲得賞金額8585万円  ※6歳現役

デヴァスタシオン   13戦1勝 取引価格7200万円  獲得賞金額2010万円

キュイラッサ     20戦0勝 取引価格860万円    獲得賞金額427万円  ※4歳現役

ブラーボプリンチペ  4戦0勝   取引価格820万円    獲得賞金額280万円  ※4戦で故障

トリデカゴン     28戦5勝 取引価格1200万円  獲得賞金額235万円

ランズデール     18戦3勝 取引価格1800万円  獲得賞金額160万円

バリアスカラーズ   22戦3勝 取引価格200万円    獲得賞金額80万円

コトホギ       6戦0勝   取引価格200万円    獲得賞金額96万円     ※3歳現役

ドルチェダモーレ   10戦0勝 取引価格150万円    獲得賞金額69万円

カツヤドーム     1戦0勝   取引価格1250万円  獲得賞金額0円    ※1戦で故障

シウダニーニャ    8戦0勝   取引価格40万ドル   獲得賞金額0円 ※デビュー前に蓄膿症

フリズスキャルブ   0戦0勝   取引価格2400万円  獲得賞金額0円 ※デビュー前に故障 

 

そして、上記の内容で、私が購買に関係した全24頭のリストにもなっています。今現在で、丁度半分づつになっていますね。

 


情報分析による相馬の実績まとめ

前述の結果を、簡単にまとめてみましょう。

 

成功例の購買総額:8500万円

成功例の平均購買価格:708万円

成功例の獲得賞金総額:3億6224万円

成功例の平均獲得賞金額:3020万円

成功例の中央勝ち馬率:83%

 

失敗例の購買総額:2億9600万円

失敗例の平均購買価格:2473万円

失敗例の獲得賞金総額:1億1942万円

失敗例の平均獲得賞金額:995万円

失敗例の中央勝ち馬率:17%

 

 総合では、

 

平均購買価格:1590万円

平均獲得賞金額:2008万円

購買総額:3億8100万円

獲得賞金総額:4億8166万円

回収率:126%

中央勝ち馬率:50%

 

こうなります。なかなか面白いデータだと思いませんか?

 

高額な馬、すなわち他の選定者からも高評価を受けた馬達だと、むしろそんなに結果は出せず、オリジナルのメソッドを活かして、安価での一本釣りに成功した場合は、結果もついてきている。そんな感じでしょうか。

 

私は本職が情報技術者という事もあり、心ない競馬関係者から「この素人が」とよく馬鹿にされます。白井師や森師など、真の実力者からはお褒めの言葉を貰う事があるのとは対象的に、あまり大したことのない競馬関係者ほどそういった傾向があります。とりあえず相手をするのが面倒くさいので、そういった輩には「俺様は確かにただの素人だが、お前はただの馬鹿だろう」というスタンスで臨む事にしていますが。

 

馬券の生涯回収率も余裕のプラス、相馬においてもプラスという人間は正直あまりいないと思います。本音としては、「現在の情報工学をなめんなよ、そんな石器時代のやり方で走る馬がどれかなんてわかるか!」という思いもあります。

 

ただ、私の総合的な実力はまだまだ第一線の調教師や牧場主の域まで達していません。これからも勉強というのが現実です。

 

走る馬を仔馬の段階で見分ける方法はたくさんあります。その中の一つとして、情報工学を駆使した相馬というメソッドもある。

 

「Shining Blade III」では、そんなお話を中心にしていきたいと思います。

 

新しいURLは、 https://note.mu/shining_blade  となります。

 


この本の内容は以上です。


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