閉じる


 

とある事情で万年筆がやってきた。PARKER 45というモデルの

この万年筆は、およそ40年前に人の手により実際に文字を書いて

いたものだ。                       

 

おそらく、戦後の世界中でこの万年筆は使われていただろう。 

Cola、McQueen、PAKER 45。              

世界のどんな街角にも、それはあったに違いない。      


彼は、筆記具としての役割を休止して30数年がすぎている。

確かめるまでもなく、ペン先のインクは固まっていて、指の

当たる部分にも広がってしまっているようだ。      

カートリッジも水分が蒸発して、粉状になったインクカスが

こびりついているのみだ。               

なんとか書ける状態にしてあげたいな。         


 

ガラス瓶にぬるま湯を入れて、その中にペン先を浸す。

インクが溶け出して、もやもやと広がり始めた。   

ぬるま湯にしたのは、対流が起こって水が緩やかに循環

し、流れができるからだ。             

ガラス瓶にしたのは、こんな風にインクが溶け出すのを

眺められるから。                 

そしてこのガラス瓶には、以前大量のオレンジマーマレ

ードが入っていた。                

 

3回ぐらい水をかえて、一晩置いておくことにする。 



読者登録

真下魚名さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について