目次
(ある老人の言。) (1984.9.19.)
《 我らが美わしの天地よ 》 …アリンシ=エランの物語…
《われらが麗しの天地》
…スタル・アルラーナ 創世賛歌…
《 ナシルの谷 》 史略
《 ナシルの谷 》 史略
《 ナシルの谷 》
(荒筋)
『 ナシルの谷 史略 』 : 目次
(草稿&没原稿)
(草稿&没原稿)
(手書きノート表紙)
(草稿)
『 ナシルの谷 史略 』 第一章 第一節 (1990.05.21.着筆)
大陸ウァ・エムバの大半を占めるングサ・インスカ(神聖帝国)が、いまだ平穏であった時代に、この史略は端を発した。
「概要: 《ナシルの谷》 史略」。 (仮題)
「人間なんてさあ、仕事と、食うものと、あと寝るところさえあったかけりゃ、それで十分だと思わん?」
「史略概説」。
(ナシルの谷 史略:概説
(設定資料)
(設定資料)
「神・聖・王・貴・業・労・素/放。 」+「学舎」。
([ン]が末尾につくもの⇒末子。)
(キャラ設定)
(キャラ設定)
◎ (仮題) ナシルの谷へ
アリンシ・エラン内親王
レーデル家のウルアン。まじめできつい。)
( だれだろう だれかしら ♪ )
(借景資料集)
(借景資料集)
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『 ELAN 』
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「概要: 《ナシルの谷》 史略」。 (仮題)

「概要: 《ナシルの谷》 史略」。 (仮題)

2017年2月24日 リステラス星圏史略 (創作) コメント (1)

 


 概要: 《ナシルの谷》 史略 (仮題)
               貴野真扉(とおの・まさと)


 うすももいろの春ぶどう、たわわに実る、ングサインスカ(大陸帝国)の初夏…

 官立学者の自給菜苑で、エルル、こと、ハッシュ・ノグナス(貴・ノグナ家の)エルドス=ローンは、風変りな姫宮に、であ(遭遇)った。

 見慣れない北方の毛深い獣に曳かせた車輪つきの輿に乗り、侍女のひとりも連れずに、身分の低い見ず知らずのエルルに気さくに話しかける。

 春ぶどうの房をうけとりに輿をおりた姫宮は、一歩を踏みだすたびに上体の大きく揺らぐ、不具の身の上だった。

 エルルの無礼なふるまいを知った旧友のウルアンは仰天して劣化のごとく怒る。

 パエ・ラクサス(聖ラクサ家の)・アリンシ=エラン。

 ングス・アイン(現神帝)の末の姫、内親王である。

 学者住まいの母方の従兄を、ときおり訪ずれるのだと、いう。

 学舎寮内では新入生にもすでに知られた話で、聞き及ばないのは、世間知らずの昼あんどん(行燈)とそしられる、エルルくらいのものだろう。


     O


 ハッシュ・ヴェーラス(貴・ヴェーラ家の)アランノ・アール(長子アランノ)は変人君との噂がたかい。

 才幹にあふれ、容姿にも恵まれ、前神帝の親王を父にもつ、望んで叶わぬ地位のない選りぬきの貴家の嫡子でありながら、各家の姫たちの求婚をぬらりくらりと言いぬけて、ろくに帝都へ伺候すらせずに、もう六年もの間、学舎住まいで通しているのである。

 学究の徒になりたいというわけではない。

 講義にもさして出ず、暇潰しに学内の後輩たちの人生相談などしてやりながら、気が向けば金琴をたしなむ。

 腕のほどは確かなものである。

 本人もそれを十分承知していて、家柄の枷さえなければ、ああ私は自由なエゲラ(放楽人)になりたい、などとわざとらしく世間を煙にまくような言葉を吐くもので、ひととなりを伝え聞いた姫君たちが、俗世嫌いの風流子、と勝手に思いこんでますます熱をあげ、求婚の使いの途絶える日もない。

 当人は、どう考えているのか。

 学資とひきかえに小姓の役割をひきうけている特待生のウルノル=アンは横目で観察している。

 固有の家名も持たないギオ・ラグノン(素労系)出身の彼が官界で身をたてようと思えば、学舎での修業期間中に後ろ楯をつかんでおかねばならない。

 この、現在の主君は、どういう人物か…


     O


 学舎の新入生と思しき先刻の少年に姫宮は好感を覚えたものらしく、本題にはいる前にひとしきりその顛末を語った。

 身分の上下に卑屈にならず自分の非礼をきちんと指摘してくれたのが善いと、きっぱりと言いきる姫宮は、その不具である肢体以上に宮城では異端者だった。

 ただ、父である現神帝と東宮にはその気性を深く愛されている。

 そのことを、従兄アランナールもよく承知していた。

 アリンシ=エラン内親王の、母妃は十数年前に異母姉との后位争いに敗れて以来、心痛のあまり帝都郊外の自領にこもったまま、半ば隠遁者か半病人のような暮らしを続けている。

 争いに破れてというのは文字通り、現聖后の放った手の者に城館をとりこめられ、深傷を負わされたのである。

 それも、自分ではなく、たったひとりの愛姫アリンシに。

 生涯、歩けぬ、と、治療にあたった医薬師どもは口をそろえた。

 悲嘆に泣きくれる心弱い母妃に比べ、姫宮の気性は父帝のほうにこそ、はるかに似ていた。

 傷の癒えるとともに寝台から這い降りて独りで歩く訓練をはじめ、

「姫さま、そのように無様なお姿を人目にさらすくらいなら、寝たきりの内親王よと忘れられた方がまだしもで御在ます。」

 侍女達になんと責められようとも、どこへでも自分で歩いて行った。

 その速度はつねのもの半分にも及ばなかったけれど。

 その苦労を笑いとばす姫宮自身の話を聞いて、乗用にと北の獣を献上したのが、アランナールの父にあがる現神帝の弟君である。

 アランナールは北辺の自領から、贈物をたずさえて初めて従妹姫を訪れた。

 幼い二人には気性に似たところがあったのか、すぐに意気投合して大の親友となり、結局、ジョアというその荷役獣に乗るにも姫宮の脚は適さないと判ったので、獣に曳かせる独特の車輿を、三月かかって従兄は考案した。

 ジョアは穏やかで賢い獣で、走ることは決してしないが、人の足より早く、一日中でも歩き続ける。

 まもなくアランナールは貴家の慣例に従って官立の学舎に入寮し、アリンシ=エランは聖家の姫宮らしくもなく、供も連れずに度々訪問するようになったのだった。


     O


 聖家のアリンシ=エラン姫が窓ごしに気軽く声をかけると、アランナールはいつも窓わく越に抱き上げて、室内へと招きいれる。



(未完)
 

 

 

コメント

霧木里守≒畑楽希有(はたら句きあり)
2017年2月24日18:54
画像1: 幼い頃のアリンシちゃん。
画像2: 13歳くらい?のエルルくん。

「人間なんてさあ、仕事と、食うものと、あと寝るところさえあったかけりゃ、それで十分だと思わん?」

「人間なんてさあ、仕事と、食うものと、あと寝るところさえあったかけりゃ、それで十分だと思わん?」

2017年3月3日 リステラス星圏史略 (創作) コメント (1)

 

「…なぁ。」

 課題を浄書する手筆をふと止めてエルルが呟いた。

「人間なんてさあ、仕事と、食うものと、あと寝るところさえあったかけりゃ、それで十分だと思わん?」

「まぁた、脱線して。」

 すでに紙葉の製本にかかっているウルアンが睨む。

「それ今日中に提出だぞ。判ってんのか、落ちこぼれ。」

「うるさいなー。おれ、まじめに考えてんだけど。」

 なあ? と、再度、意見を促されて、 "色男" アランナールは、ふっふと笑った。

「おまえの言うのはアレだな。衣・食・住じゃなくって、意・食住なんだな。」

 竹琴と、女性のためにしか使わない、と本人が公言している長くて細い指が、雅な茶器を口元に運ぶ。…むろん、学舎共有の安物などではない。数多ある恋人からの差し入れなのだろう。

 エルルは、ちょっとすねた顔をした。

 あちこち染料のはねた自分の学徒服を見おろす。

「服なんか着てりゃあいい。…いや、寒くさえなけりゃ、裸でだっていいな。」

「女性が同じセリフを言ってくれたら、私は何をおいても暖房に意をくだくんだが?」

「史略概説」。

「史略概説」。

2017年2月24日 リステラス星圏史略 (創作)





史略概説

 今日リステラス星圏として知られる機構のもとい(基)となったのは大別して二系統の文明である。地球系植民惑星連邦…テラズまたはテラザニア…と、リスタルラーナ星間連盟として、それらは互いのファースト・コンタクト(第一遭遇)の相手となり、様々な曲折を経て統合され、ほぼ現在に等しい領域とシステム(機構)をもって汎銀河協約に加盟した。

 星間連盟リスタルラーナ、その首都にして人類発祥の地でもあった惑星リスタルラーナの、名称の語源は、リ・イス・スタル・アルラーナ、我らが美わしの天地よ、という、祈りまたは呼びかけの冒頭の詩句である。

 この詩句は現在は一般の人心からは失われているが、リスタルラーナ前・近代の混沌期においては、世情の安定を求める人々のあいだで広く愛唱された歌謡であったという。

 作者は、詩曲ともに上代中期の人、ハッシュ(貴)・ヴェーラ家のアランノ・アール。



 さて、天変地異による混乱の前期を経て、近代にはいり政治的に統一されると共にスタル・アルラーナと呼ばれることになるこの惑星は、その以前、上代においては、それぞれ起源を異にすると思われる三種族の人類と、さらに数多い文化圏とで成り立っていた。

 地理的には二つに区分される。巨大な淡水湖である多島大海…ラクシャ・インストラ…と、それをとりまく形で惑星の過半を占める大陸ウァ・エムバである。大陸は、両極周辺に三千アクラ級の山岳部を有する他は、おおむね起伏にとぼしく、気候も温順で、豊かな耕地が広がっていた。

 この物語は、ウァ・エムバを舞台として語られる。

 かの地で、ひとにぎりの学生たちが始めたささやかな試みが、ひとつの流れとなり、いつしか惑星文明の根底をなす思想として世界を、歴史を、動かすに至った。

 その、始まりと過程の史略である。
 

(ナシルの谷 史略:概説

(ナシルの谷 史略:概説)

2017年3月3日 リステラス星圏史略 (創作)




 ナシルの谷 史略:概要 概説

 今日リステラス星圏として知られる機構のもとい(基)となったのは大別して2系統の文明である。地球系植民惑星連邦…テラズまたはテラザニア…と、リスタルラーナ星間連盟として、それらは互いのファースト・コンタクト(第一遭遇)の相手となり、様々な曲折を経て統合され、ほぼ現在に等しい領域とシステム(機構)をもって汎銀河協約に加盟した。

 星間連盟リスタルラーナ、その首都にして人類発祥の地でもあった惑星リスタルラーナの、名称の語源は、リ・イス・スタル・アールラーナ、我らが美わしの天地よ、という、祈りまたは呼びかけの冒頭の詩句である。

 この詩句は現在は史録に残るばかりで一般の人心からは失われているが、リスタルラーナ前・近代の混沌期においては、世情の安定を求める人々のあいだで広く愛唱された歌謡であったという。

 曲節に関しては残念ながら記録が残されていないが、作ったのは詩曲ともに上代中期の人、ハッシュ(貴)・ヴェーラ家のアランノ・アールであったとされている。

 さて、天変地異による混乱の前期を経て、近代にはいり政治的に統一されると共にスタル・アルラーナと呼ばれることになるこの惑星は、その以前、上代においては、それぞれ起源を異にすると思われる三種族の人類と、さらに数多い文化圏とで成り立っていた。

 地理的には2つに区分される。巨大な淡水湖である多島大海…ラクシャ・インストラ…と、それをとりまく形で惑星の過半を占める大陸ウァ・エムバである。大陸は、両極周辺に3,000アクラ級の山岳部を有する他は、おおむね起伏にとぼしく、気候も温順で、豊かな沃野が広がっていた。

 この物語は、ウァ・エムバを舞台として語られる。

 彼の地で、4人の学生が自分達の生き方を模索して始めたささやかな試みが、ひとつの潮流となり、いつしか惑星文明の根底をなす思想として世界を、歴史を、動かすに至った。

 その、始まりと過程の史略である。


     *   *   *

 ウァ・エムバ最古の

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