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最終戦争

さあ 最終戦争の始まりだ
窓はもう開けたかい
自分をどのように終わらせるか
まずは顔洗っとけ

 

ペンは剣より強いと教えられた
皆は次々にペンをとり始めた
遅れるなよ
ペンが強いんじゃない
意志が強いんだ

 

何だ 行き先も今日の服もまだ決めていないなんて
自分の事くらい自分で考えろよ
今日という日の終わらせ方を
お前以外にお前のリーダーなんていないよ
さあどうする それともまた寝る?
また寝る? いいよ また寝る? また寝る?

 

基本的に車のキーは壊れてる
何度もボタン押して たぶん電池が怪しいのだと思う
あきらめる? ねえ あきらめる?

 

今日の最終戦争のBGM 演歌だ演歌なんちゃって
マスクをとって 汗をぬぐう
それさえ汚い事だってわかってる
でもここは果てしなく暑い
完全装備 頭にまでかぶって
ベルトコンベアの食品と戦うのさ
でもこれが僕の望んだ戦いじゃないって
死にたいほどわかってる

だったらどうする?泣き出すんだ?どうする?
進んで遅れて時計の針
ただ暑いんだ 裸になりたいくらい 暑い 暑い 暑い
僕はいったい何をしているんだろう?一生をかけて
ベルトコンベアと戦って終わるの?

だったらどうする?逃げるの?どうする?逃げるんだ?

ベルトコンベアかすんで シンキロウ

 

さあ 最終戦争の終わりだ
僕が今日天に召される前に
やりたい事全部出来たかなあ
来世に宿題を持ちこむなんて悲しい事言わないで
時計が止まってて何時かわからない
なんにもない 星もない 食べるものもない

さあ 最終戦争の終わりだ
ノートにガーッと意味不明な汚れた話
書き散らかしては殴っては
エライ名言を打ち倒せ 倒せ ペンで倒せベイビー
どうする?バレちゃうね どうする?どうする?
僕が今日天に召される前に
ペンであと3時間僕は戦いに出る
撃て 倒せ 僕の詩創がペンで消される前に
君は今日の君をどう終わらせるの?
君の野望の使い道は何?
それとも また寝る?


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最終更新日 : 2017-02-18 14:12:04

バーゲンタッツ

スーパーの売れ残りコーナーに
どうみても怪しげな 高級ぶったアイスがある
「あれはバーゲンタッツだ」と人は言う

 

だいぶ前からいらっしゃったのだけど
誰も手を伸ばしていないのか ずっとそのまま
あれは 賞味期限 大丈夫なのだろうか
(だから安くなったのかな)

 

ああ ずっと昔食べたハーゲンダッツが僕を呼んでいる
「自分を食べて下さい」と呼び起こす
ただのバニラなのに 
口の中に幸せがとけて広がるあの味を 
舌は準備完了 
ラメ入りのバニラビーンズ
もしあれが ハーゲンダッツだったのなら
記憶を盗んででも持ち帰りたいとか 
あれはたしか冬の晴れの日で 
冷えきったアイスをスプーンで少しずつけずって 
家族と分けあって食べたとか そんな思い出が 
一度に浮かんでくる たくさんの風船のようで
受けとめきれないのに

 

でも 安すぎるあのアイスは 実は別の国製で 
ダンボールと大豆を合成してできていたらどうしよう 

だから あれは バーゲンタッツと僕も呼んでいて
その記憶はきっと 
カゴに入れて持ち帰る事はできないんだ

 

ああ バーゲンタッツが僕を呼んでいる
見るたびにどんどん安くなっていくあのアイスが
(もう100円もしてないな)
もはや あれは危険なのか 食べて大丈夫なのか
それでも僕は 震える手で
幼い日の記憶を盗んで リュックに入れた


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最終更新日 : 2017-02-18 14:12:04

ニコチンライター

闇の中にも草生える
なんてシンドロームなブルーライト
オレは地球全体にネットを張るクモ
彼女は美しい まるで金のよう
ここをクリックして

 

口座の中から金が落ちたっていうニュースがまた
夜の真っ黒な雪のように降ってくる

 

満員電車に降りてきたクモ
あの子きっとこじらせてるぜ
左手にやたらアクセサリーつけてる
心を抑えて人波をかき分ける
もう一度逢いたいからね? 
アカウントと電話番号教えて
手を握っていい? 必ず君を金にするから

 

人間ひとり居ない公園にぽつり しずくの花
糸だらけ キスだらけ 傷だらけ

 

早朝からキーボードが唱える黒魔法
タバコを一服 ひさしぶりの空を見たんだ
こういう時しか安らげないのはなぜ?
生まれた時から金に飢えていて
一杯 まきあげて騙して金取って
それでも心は飢えていて
URL貼っとくから ここをクリックして

 

彼女の金と将来 想像しただけで美味そうだ
彼女は美しい まるで金のよう
ただ「YES」をクリックすればいい
ただ電話をかければいい
有名人にしてやるから「同意」をクリックしなよ

 

ひとり暮らしのオレの濁ったアパートのソファー
傷口からニコチンとタールを注いで洗脳

 

闇のドアが開く音 日付がたぶん変わった頃
彼女の泣き顔と決意の目 揺れるライターの火
ニコチンとタールで汚れたオレの脳が
バージンから本当の空を叫ぶままで
宇宙にでも飛んでいけるような気分になってたんだ
魂の燃えカスをもう一度燃やして謝れ

 

その激しさの中に色を見たんだ

焼け落ちていくPC 二人同じ色を見た

 

オレはたった6畳の部屋で思い沈むクモ
ニコチンまみれのしずくの花蜜 胸をクリックして
灰が降りつづくキーボード蹴って走った
地球全体にネットを張ったって それが何?
どうせ捨てていくなら 嘘だと思って もう一度振り返れよ
彼女は美しい まるで彼女のよう


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最終更新日 : 2017-02-18 14:12:04

バカ

どうして心の声まで否定したらいいだろう?
夕暮れの教室で「許せない」って叫んでるボクを

 

世界はそれを「いい」って思ったんだ
ボクはそれを「ちがう」って思った

 

「すばらしい」
「素敵だ」
「かわいい」
「サイコー」
「さすがこの人は」
でもボクは「ちがう」って思った

 

頭から足まで壊れてる人なんて居ない
もう傷だらけの机の影から
きこえてくるんだ
知らない誰かをあのときかばった
キミは「正しい」って

 

世界はそれを「正しい」って思ったんだ
「もっとやれ」って
ボクはそれを「許せない」って
今日も叫べなかった

 

否定して否定して生きたいわけじゃなくて
正しいものを正しいと言いたいだけ
割れた花ビンが邪魔する
こんなに冷たい「ありがとう」があるなんて

 

PC インスタグラム LINE ツイッター
世界がキミを「ただのバカだ」と笑うだろう
ののしられても
傷つけられても
笑われても
追い出されても
「許せない」って叫んだキミをボクは
「たったひとり正しいんだ」って思う


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最終更新日 : 2017-02-18 14:12:04

交換日記

あなたは今乾いた大地を見上げているだろうか
それともビルの街の中で好きなカクテル飲んでるだろうか
小石むきだしの大地の上をはだしで歩いているだろうか
大きな大きな滝の虹の声を聴いているだろうか

 

あなたはいつか私に
「交換日記つけよう」って言った
マックとピアスと変な日本の習慣の話
最初はそれくらいしか書いてなかった

そのうち返ってきたノート
あなたは午後11時に少し窓を開けて飲む
カクテルが好きだと
日記の中で言ってた
私もカシスのカクテルを
夜に窓を開けて飲んでみた
何が美味いのかわからなかった
でもいまだにその味を思い出すんだ

 

あるとき返ってきたノート
突然「Blue」って書いてあった
下に「これを地図にしてみて」って
「Hope」「Truth」 「Youthful」 「Highway」
思いつく限り書いたんだ
あなたはそれを読んで
雨降りの私の影に何を見たのだろう

 

交換日記は1年 2年も続いていって
100均で買ったノートが宝石で埋められていくような

 

あのとき私がわたしたノート
「母の誕生日があるから
プレゼントを一緒に選びに行こう」って
さっそく二人で車とばして
チープなアクセサリー売り場で
選んだのはなんと同じネックレス

 

手をつないで歩くのは
そのときが初めてだった気がした
なんとなくハグした
たぶん向こうのあいさつで
そして交換日記のノートをわたしたあなたは
「しばらく国に帰るから またね」って言った

 

あなたは今どこにいるだろうか
あなたは今どこで誰と何してるだろうか
「さよなら」なんてまだ言ってないのに
交換日記はそのままとってあるよ
二人の時が止まっても 私たちは進んで行くだろう
あなたは裏切ったりしないから
それだけはわかってるから
「またね」って手を振った あの場所に心は置いておくよ

 

あなたはただの交換日記に大陸をつめこんだ
青い光しか見えないハイウェイをつめこんだ
自分の足が誰かと違ってとても無力なのに気がついた
「空港に行けよ」って言われたって交換日記かかえては


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最終更新日 : 2017-02-18 14:12:04


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