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tovo plus〜あおもりの100家族、わたしたちのこれから。[season 5] No.057

今号(58家族目)のご家族 ▶

福士 正芳さん・幸さん・昌伸くん・譲司くん

撮影場所 ▶ふくいち農園(田舎館村)

 

【インタビュー】

●2011年3月11日のこと、憶えていますか?

▶幸さん「ちょうど長男が生まれて100日目の日で、弘前の写真館へ100日の記念写真を撮りに行った日だったんですよ。」

▶正芳さん「そうですね、よく覚えてますね。写真館から帰ってきて、さぁ、りんごの剪定に行こうっていう時に地震がありました。台所でグラグラと揺れて、小学校の時に教えてもらった通りに食卓テーブルの下に隠れました。揺れがおさまったので、りんごの剪定にでかけようとしたんですけど、怒られて引き止められました。停電でテレビはダメでしたけど、いつも聴いているラジオでたいへんな事態になっていることを知りました。この周辺は2日〜3日間停電が続いたんです。でも、ウチは薪ストーブを使っているので暖はとれましたし、ガスも使えました。米や食料の備蓄はあるので、食事には困りませんでした。」

▶幸さん「その頃は弘前の助産院で仕事をしていたんですね。その日はちょうど休みの日だったんです。地震が起きて、まだ長男が小さかったので、抱きかかえて外に出ようとしたら、引き止められて、急いで食卓テーブルの下に隠れました。その頃は、大家族で、祖母、父母、そして、私たちの家族と、あと夫の妹も一緒に住んでいましたので、停電の中、食事やその他、夜を迎えるための準備をずっとしていました。お風呂は停電中は入れなかったですね。」

▶正芳さん「小さい頃はもっと不便な生活をしていて、不便な生活には慣れていたので、停電になってもそんな苦にはならなかったんです。今はいろいろな面で便利な世の中になったので、不便な生活に対する苦しみが倍になってしまっているのかもしれませんね。」

▶幸さん「次の日、私は仕事が休みになりましたけど、夫は畑に出ました。」

▶正芳さん「そうですね。師匠の畑に行きました。でも、このガソリンも買えない非常時に来るな!って怒られて帰ってきました(笑)師匠の様子が心配だったんですよね。ですので、特に被害もないことが分かって、ホっとして帰ってきました。」

▶正芳さん「2〜3日後、電気が通って、テレビがついた時に放映されていた津波の映像がホントに衝撃的でした。」

▶幸さん「電気が通って、携帯の充電ができるようになって、まず被災地にいる親戚や友人や仕事でお付き合いのある人たちに連絡して無事を確認しました。おしめが困りましたね。ストックは少しあったんですけど、ずっと入荷してこなかったので。」

 

●震災後変わったことは?

▶正芳さん「地域のことで言うと、消防団をトップにして、自主防災組織を組み始めました。あと、保育園では毎月防災訓練を行うようになりましたね。」

▶幸さん「子どもたちが保育園に行っている時に何かあったら、どっちが迎えにいくか?という話はしました。地震で停電になって、携帯の充電ができないくらいしか困ったことって特になかったんです。食に関しても普段から蓄えはありますし、薪もありますので。」

▶正芳さん「あらためて農家って強いなと実感できました。ある程度時間もありますし、モノも揃っていますし、生きる知恵もあります。何か困った時にでも、こういう場合は、こうすればイイ、ああすればイイ、あの家にはあれがあるから借りてきて、、、と、そういうネットワークも強いです。いまだにうちに醤油を借りにきたりします(笑)米とかも(笑)ホントに農家という職業を選んで良かったと思います。」

 

●10年後のイメージは?

▶幸さん「私は農家の仕事だけをして、子どもたちにはそれを手伝ってもらって、みんなで畑仕事をしているっていうのがイイですね。あと、男は男同士でみんな仲良くってイイですよね。」

▶正芳さん「子どもたちには便利さに慣れて欲しくないと思います。暑かったら暑いなりに、寒かったら寒いなりに、テレビがなかったらテレビがないなりに、それを受け入れて生きて欲しいと思うんです。不便を感じた分、そこに心のゆとりが生まれてくるんじゃないかなと思っています。」

▶昌伸くん「恐竜博士。」

▶譲司くん「忍者。」

 

【取材後記】 田舎館村のりんご農園「ふくいち農園」の7代目となる福士さんご家族。代々とても大切に育てられている樹齢100年以上の大きなりんごの木の下にて撮影しました。他にも50年も大切に整備されてきたダットサンの軽トラックや道具の数々。福士さんとお話していて、土の中の見えない根っこをとても大切にされている方だなと感じました。脈々と続く根っこを大切にするから、ちょっとのことではビクともしない強さと謙虚さを感じます。樹齢100年のりんごの木の下で、まぁ、人生はいろいろあるけど、それでも、僕がなんとか生きていけるのは、土の中に隠れた強く太い根っこに支えられているからなんだろうと感じました。(今号No.057 インタビューと撮影:小山田和正)

 

【寄付総額】2011年6月〜2016年10月27日まで「¥4,635,628」を、あしなが育英会「あしなが東日本大震災遺児支援募金」へ寄付することができました。ご支援に深く感謝致します。

 

【定期購読のご協力を!】1年間の定期購読を承ります。1,800円(送料・寄付含)/1年間(12号)です。このフリーペーパーは定期購読の皆様のご支援で発行されております。ご支援の程、宜しくお願い致します。ご希望の方は、ウェブショップ(http://shop.tovo2011.com)よりお申し込みください。


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最終更新日 : 2016-12-10 15:34:54

この本の内容は以上です。


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