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にひき&あらすじ

 


1 【2匹と暖】

 

ここは どこ?
これは こたつ

れんめんと生きる 時の 世界の はざまに
ぽつんと あたたか いつから どこから

そこに にょきっと 白と黒
ふんふんと鼻と尾 のびのびと
木目と 花柄のぐるりを 眺めてみる

そうっと 息 しているね
模様の一つ まばたきをしたな

へんなもの 3 匹
へんな どこかから 長旅 ここへ
どこから どこへか

ほこほこ あたたまり始めました
・ ・ ・

  犬先生:やぁ、私がへんな犬先生である。ごません食べるかい? 

 

  ラクシャさん:あ、どうも!僕が…ラクシャです。お茶、いかがですか?


2 【野景】

 

まどろみ さめて くちもとぺろり

白黒の犬たち もそもそ起き出し

かいでみれば 変化のあと

 

こたつが 香る 花野原に

 

天板は頂上 大樹の葉がそよぎ

さえずり遊ぶのは 豆粒ほどの小鳥達

 

抹茶色の ふとん中 大小の花々ひらき

近づけた鼻に 甘い 霧を吹いた

 

卓上のみかんは お店に 鉛筆は ベンチに

 

 

ひとしきり 小さくなって駆け回ったら

へんてこ白黒 ぽかぽか ねそべり

 

こたつになったものたちが こたつになる前に 

みた空や 包まれていた地層の 混淆の残照 響いた

・ ・ ・

 

 犬先生:お、アイス屋さんもあるぞ。ざくろ彗星テールカルシウム味おーくれ!

 

 ラクシャさん:(すきなのかな、ざくろ彗星テールカルシウム味…)


3 【書と蛾】

 

まどろむ鼻先 何かが さらさら

身震いして 起きると すでに変化のあと

 

鼻くすぐったは ない風になびく しおりひも

こたつの天板 立派な装丁の おおきな古書に

 

きしむ扉の音たて ひらくと  月夜の模様

浅黄の紙 本の表題 ばらばらぐるぐる

 

脈絡のない 挿絵が ところせましとひしめき

置いていた手 ききっと何かに 挟まれた

わっと退くと 挿絵たち たんまり一緒に 飛び出した

 

目 石の構造 南の島の地図 駝鳥 月面 9つの頭の獅子

林檎 熱帯の花に蔓草 窓 回転木馬 鷲の翼 寓話の飾り枠

 

ほえて問う 白一匹 尾を振り踊る 黒一匹に 吹き抜ける絵の風

こたつで読んだ 描いた ものたち

こたつは覚えて いるかもしれない

そのかげ そのぬくもり 行きたかった ふしぎなところ

 

ぼんやり2匹の そのあいだ

手を振るように まったりと飛ぶ 透けた蛾を おくりだし

おかしな古書 何事もなかったように 閉じた

 

・ ・ ・

 犬先生:ふぅ 収まったか…やぁ今年はこたつも変だのう、ラクシャ。

 

 ラクシャさん:うわぁ犬先生の体が しおりひも にっ!


4 【広と忘】

 

こたつにぬくもり そのあと はっと

そうだ お茶とみかん 忘れてた

まだ冷たい足をなで 見渡せば 変化のあと

 

台所 ぐんぐん遠く なっていく

ちっぷす うっかり それもぐんぐん 遠ざかり

そうだ 宇宙 広がり続けて いるってね

広がった後 なにが どうなる?

 

覚悟を決めて 2匹のじゃんけん

だれぞ かちやら わからない

 

白犬 すっくと 立ち上がり

翼を得たような俊足 駆けて行く

目指すは淹れて忘れた お茶と

柔らかくて甘みさわやか 魔法犬仕様の みかん

 

行きはばっちり 戻りは遠く

わっせのその先 こたつむり

こぼれて飛んでいく 魔法犬お馴染みのちっぷす 呼んでいた

 

このへや 広がり続けたら

そのあと一体 なにがどうなる?

 

光の俊足 すべりこみ

ほら お茶 まだあったかいよと 荒い息の間に間に

 

はっ として 少し潤む目の先に

みかん どこへか 流れ去る星

 

・ ・ ・

 ラクシャさん: こ 今年のこたつ 躍動的だなぁ…はぁ骨がっ…

 

犬先生:千年以上生きたが、まだ未知があるとは。さあ 秘蔵骨ガム あっ

 



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