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23 【あぐおる】

 

鼻 ふくふく

白犬 黒犬 たっぷり伸び して

見回してみると 変化のあと

 

糸が通った こたつ 霧の深みを のぼっていた

 

ぼくら どこまで のぼるのだろう

のぼったあと どうなるだろう

うえとした しか ないのかな

なぜのぼって いくのだろうか

ほんとうは どちらに 動いているかな?

 

冷えた鼻 ぺろり

 

白が見た黒 底へ 舌の息 おくり

黒が見た白 高みに耳を振り

 

似た影 糸こたつ すぎゆく

影の こたつの のぼりおり

みえかた うや むや それも 粒ずつ

 

 

2ひきは おなかがすいたので

 

白は 雲と蝶になる息をはき

黒は 星と陰火になる息をふき

 

干し芋 わけっこ 食べました

 

・ ・ ・

 犬先生:すとろぼ効果のようなものかのう…むしゃむしゃ。んぐっ

 

 ラクシャさん:糸の先や加重も 気になるところだね…むしゃむしゃ。はいお茶。


24 【跳と柔】

 

ひえた前足 ひとなめ

尻尾もかちこち さあこたつだ

…と思えば 変化のあと

 

こたつが ぷるぷるゼリー になっていた

 

つつくと ふるえ

置いたもの お手玉ぽん

 

はじっこ かじるに かじれず

ふとん めくるに めくれず

白黒2ひきも お手玉ぽんぽん

 

すっかり舌出し 尻尾 威勢よく

へんてこ2匹 はざまの童心

 

ぶらんこ ぶらん ふりこの空 ふる ふる 黄の葉

水溜り ひととび しっぱい 幾重にも 幻想の雲間

ふりそそぐ 陽と 雲おぼろな 月 光ずつ

 

なぜ いま こんなに 残光 まぶしく 沁みるのだろう

 

わふん どしん ぶつかりっこして おりてきた

犬たち ぺろんと こたつも ひとなめ

あいた隙間 ほこほこ 丸く なりました

 

・ ・ ・

 犬先生:外で中、中で外のようなものなのだよ。我が腹はそんなかんじ。

 

 ラクシャさん:そして、ご安心を。犬先生は魔法ずぼんを着用しています。


25 【背と背】

 

雪雲を 吹き流す 風の音響く

みぶるい起きた 白い仔犬だけ

きょうは こたつ 変化のあと

 

あれ 黒犬さん どこだろう?

 

鼻ならし みまわし ぱたぱた

尾とおなかに力入れ よんでも こたえない

 

黒 どこへいったの?

歩けなかったぼくと いっしょに歩いてくれた かげ

 

 

一方 どこか 白犬さんを 探す仔も

 

かいだり 耳をたて とすとす

尾とおなかに力入れ よんでも こたえない

 

白よ どこへいった?

ひび割れた私の そばを歩き来た 光

 

おおきななかの ちいさななかの

いのちのなかの こころのなかの

 

ぼくら 形なす粒ずつの 確かに対の仔 だった

 

 

アクアマリンの アルマンダインの 瞳 こごえ 潤み

ふす… と白い仔 座り込んだら あれれ

 

あしもと 垂直反転

うらにもこたつ うらには黒い仔

 

いなくなって なかったんだね

へんてこ底越し ちゃんと2ひきは 2ひきだったね

呼んでみたけど姿だけ 声が互いに 届かない

 

うつろい行くことの 光と影

終わらず続くことの 影と光

 

愛らしい顔 元気な声 ふるふる 尾っぽ

ありて いぬものたちの 幻幾年 名残幾年

 

こころの?きおくの?

いつか どこかの 2ひき

 

背中あわせの ぬくもり

 

・ ・ ・

 犬先生:おや、ラクシャおらんな…超健康・骨虫椅子 出したのに。

 

 ラクシャさん:わ~ この座椅子座り心地いいなぁ…でも、犬先生どこだろう?


26 【数と仔】

 

すきまなく並ぶ こたつたち

そのなか一つ うろほろ一つ

 

鮮やかな模様 そこ ここに

すきま ありますか と ふとんで つん

どうにも ぴっちり また うろほろ

 

大きな こたつと 小さな こたつたち

すきま ありますか と ふとんをふった

群れ 威勢よく 木の足がたがた また うろほろ

 

立派な  こたつ 綺麗な こたつ

戯れる通りは 気がひけて

やんちゃな こたつ 荒ぶる こたつ

駆け回る広場も むなしくて

 

強気な こたつに どなられて

したたか こたつに みくだされ

うろほろ うろほろ

 

 

ほんとうに ぬくもるところ どこだろう

おいらの おでこ みかんのっけて

ひえたあし あたためて ほっとわらったりする なにか

 

おいら ふるくて よごれちゃってるから だめかな

もようも 品も知も なまえだって なんにもないんだ

だれもおいら いらないかな

 

 

とびきり きゅうっと なったので

長老こたつに とうとうと

 

わしらにはね まほうじかけの 一粒があるよ

だれにも 一粒 だれにもとられない 一粒

にているようで まったくちがう ひとつずつ

 

みずから おばけに ならずおるのは

一粒が君に灯し 一粒に君がみせるから

 

かげもひかりも 幾千も幾万も

 

かなしみやしあわせ だれそれと 

比べ得るものじゃ ないね

きみの一粒はもう 知ってる

そしてまだまだ 幾億も 未知の粒 あるんだ

 

ときにかぎりが あるからこそ

こころいっぱい ならしてごらん

けがすためでなく あたたまるため

 

わしらは へんてこな こたつ

こたえるものには 難しいけど それは どこかで わかるから

 

こたつ おーいと 呼んでみた

こころで おおきく 木の足 きしませ

 

なんども なんども なんどめか

 

遠くで ひゃん!と 仔犬たちの挨拶 響いた

 

・ ・ ・

 犬先生:お~よしよし、なら この私が君を アルティメット格好いい超温の魔法こたつに…

 

 ラクシャ:しちゃいかんってば!

 


27

 

ほこほここたつに だんだん変化

赤い扉 青い扉と、 へんぺいな 蜜柑色の扉

 

あぁ、もう このときか

毎年だが、こたつというのは

出るのが名残惜しい ものだのう

 

黒犬さん 寝そべって 前足ぺろり

長い耳も ふとん なでてる

 

私の暦では 温期があと50年ほど 続くのだがなぁ

 

 

さぁ、もう じかんだよ

年々 こたつがすきになるけど

日と月 あるから こたつが嬉しいんだ

 

白犬さん 黒犬さんの すねた背 ぽんぽん

綿雲のような尻尾 ほいっと ふり

 

来年はもっと しっかり しなくちゃだなぁ

 

 

ふだんは対極の地と まほうと その やくわり

ありて いぬものたちのかけあいを

 

おこたつ みまもっている

 

 

いってらっしゃい

がんばってるの、あたしゃ わかっとるよ

おまちしております

ほいじゃあの~

いっしょにふゆ こえていこうね

すやすや

おかえり、さむかったろう

ごはんくって、からだ きいつけるんだぞ

だいじょうぶに していこう

へこたれたら、わしとこで 足あっため

 

ほしの数ほどの おうち

ほしの数ほどの こたつのなかの 少し不思議な 一台ずつ

だれかを想って いるかもしれない

 

 

扉 がちゃり きえてく

なにかのどこかの こたつといぬの お話の粒

12月まで また 来年。

・ ・ ・

 犬先生:やあ諸君、命の旅の程はどうかな?私はカニに尾を挟まれておるぞ。かわいい悪夢。

ではまた、12の月に…

 

 ラクシャさん:皆さん、おつかれさまでした。体をあたため、水分補給をしましょう。腰には温湿布!

では、よいお年を…!

 

 



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