閉じる


<<最初から読む

7 / 32ページ

6 【水と棲】

 

ちゃぷ ぴちゃん

薄暗い白い部屋に 水音

薄らぐうたたね 頬なでつつ

よく見てみると 変化のあと

 

こたつの天板 たゆたう水面

 

みかん ぷかぷか

寝息の腕に おどる光

白い毛並みに 淡い虹色映え

つついてみても まだ夢の中

 

しかたないので ぺろぺろすると

どこか懐かしい味する もい なので

黒い渦巻き尻尾 ふんふん

 

どこから流れて きたんだろう

どこへ 流れて いくのだろう

 

すべての水が 消えたら いったい?

すべてが水に なったら どうなる?

 

アルマンダインの 黒犬の目と

アクアマリンの まだぼんやりした 白犬の目が

 

泳ぎ着き あくび中の首長竜と 観合った

 

・ ・ ・

 

 犬先生:ぺろぺろう~んピリッと美味いなァ…もう一杯!

 

 ラクシャさん:君…舌に小さなサメ 噛み付いてるよ?


7 【窓】

 

ひといきついて さぁ、あたろう

がしゃん とぶつかり 驚いて

気がつけば 変化のあと

 

こたつの ある面 窓になってる

 

寒さ 暑さ わずらい なさけ

隔て守るもの しめだすもの

 

謎がる2匹の 耳が ひよっと

 

幽かに じんた 風めく曇天

いつかの汽車が 厳冬の野を行く

雪かぶり 息するような音をさせ

 

大荷物のそわそわした顔たち 乗せて

からす鳴く小さな駅に 写真撫でるだれか 置いて

ぼおぉ と鳴らし 小さく 小さく

 

いつか それを みたかもしれない

 

凍る原野と ぬくもりの家

ほんとうはどちらに いるのだろう

きみは ぼくは

 

二匹 きょとんと顔を見合わせ

こたつに もいちど どっこらせ

 

とおくで とおぼえ呼ぶ声 響いた

 

・ ・ ・

 

 犬先生:あいすくりん、うまいぞ。君の分も用意してあるぺろぺろ。

 

 ラクシャさん:こらっそんな薄着で冷たいものを…!腹こわありがとう。

 


8 【いめとな】

 

なにやら ふっと めがさめた

夢の内容 回想のそばから 薄れていき

すこしむなしく 思う 目の先

気づいたら 変化のあと

 

こたつぶとんの模様から 何かの 頭

 

口笛で呼ぶと ひっこみかけて 見つめる目

豆さしだすと のびてきて かすかに鳴いた

 

ひとつの声に いくつも 答える

伸びた いきものたち ゆらり

たのしいだろうか こどくだろうか

 

やがてぶくぼこ みな登る泡となり

こたつはもとの 静かなこたつ

 

目覚めた夢から こぼれた いきもの

憩える場所まで 旅するだろうか

 

姿も 名さえ うつろいながら

 

茶の湯気に 一粒なにか 光り きえた

 

・ ・ ・

 犬先生:我が魔力の蓄積部たる髪々も こたつに収納できるかな?よし魔改…

 

 ラクシャさん:お、今日も目玉と星いるね。こたつの魔改造はやめようね。


9 【枯葉と休】

 

こしをあたため 今日は白犬 こたつむり

いたむとまるで おこられて いるみたい

くふん と鼻を ならして 一呼吸

薄目あけたら 変化のあと

 

こたつのとこだけ 落ち葉が降ってる

 

緑に黄 真黄色 橙 赤に茶 銀 紫?

丸まり 穴あき 少しちぎれ かさり かさり

 

白い毛並みにも わしゃ と乗った

黒い毛並みの子は しゃびしゃび かじった

 

元気な息と 足音と 風を切る銀河の音 聴きつつ 

もう戻らぬ頃の記憶 窓際 朝の光浴びた母犬 思い出しては少し照れ

こたつのなか かってにそっと 尻尾 ふんふん

 

懐かしい とは こころひかれて慕わしい ことらしい

 

千以上の太陽 千以上の月と そのぶん さすらい ゆめかうつつか

なにかが どこかが うれしいか

渦巻き尻尾 勢い良く振り 元気な黒犬 わおん!と吼えて 跳び駆ける

 

舞い散る枯葉 分解されて 森の滋養の土に なるらしい

 

なにかが なにかに 少しずつ響いていく

いみの うやむや すやすや とけて

へんてこ2ひきの 童心の 寝顔

・ ・ ・

 犬先生:ぐぅ…ぐふふ、もう食べられないのだよ…ふぴぃ…

 

 ラクシャさん:(何枚食っちゃったんだろう、落ち葉…)うとうと…


10 【巡と歴】

 

骨にも沁み込む 寒さになでられ

ひとふんばりの、ひと段落 さぁ こたつだ

じんわり解凍 目をあけたら 変化のあと

 

こたつのまわり 空撮の景色に なっていた

 

こたつの つあー?”行きたい ところは”?

とまどう 白犬  にやりと 黒犬

風吹き抜けて ひらけた 先は

 

伝説の祭り 神々のくらし たたかい

恐竜の卵 孵る地 竜の眠るところ

へんてこ機功 魚が降った日

発明の瞬間 読めぬ文字の意

歴史に名を残す怪人物の 高笑い

 

まだまだ あるねと 白い尾も ふわふわ

 

宇宙の果て 太古の船

深海の奥 未知の動物

初めての生命 何種もの原始の 人々

音楽の発見 別の銀河

 

へんなのだって あったらたのしい

 

月夜の柄の巨鳥 指先程の太陽が育つ畑

街灯の頭をした騎馬 通信する鉱石鯨

耳と鼻が長い塔や 見渡す一面の綿飴花

星を呑んで泳ぐ 伝説の生き物も

 

美味しい椅子 楽器の声の獅子 水で出来た野原 と みて 

いまが化石になったころ…といいかけ やめた

 

あらゆるもの いつか そのとき

だれも思いうかべぬ空と地 

幾つものはずの、みえぬ姿 そのとき

ぼくら どうなる?

 

さぁ、ありがとう もう、もどろうね

 

不思議な空間 どこかからの 光と影

 

・ ・ ・

 

 犬先生:いつしか、こたつもだろうか…おぉなんと惜しすぎることよ…ほっぺすりすり。

 

 ラクシャさん:ほんとうに大好きになったんだね、おこた。



読者登録

謡犬 ユネさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について