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 …も、あっちこっち床は抜けてるわ、ひっきりなしに天井は降ってくるわ、非常 階段 なんて殆どもう踊り場しか残っていない!て感じで、一体どーやって無事に脱けて来られたんでせうね?

 自分でも不思議だ。

 おまけに途中からは火事の毒煙に危うく巻き込まれそうになって決死の鬼ごっこだったし。

 もし留置場がもう少しでも下の層にあったら、俺たちゃ完っ全にオダブツでしたねっっ

「 清クンっ!」

 やうやう屋上ヘリポートにとりつくと5m上方に愛しの『 MISS-SHOT 』…♪

「どいてユミちゃん!」

 かなり慣れてきたタイヤ⇒ホバー⇒タイヤ、の操作を手早くこなしながら、クォク3台そのまま続けざまに宇宙艇の格納庫口へ跳び込んでしまった。

 周りで警戒敷いてた好とひろと先輩も手荒く乗り込んで来る。

 クォクをきちんと繋索するヒマもなし、ヤニさんが宇宙艇を急発進させた。

「 様子はどうだ?」

 コケかけるひろと先輩とクォク同時に押さえこんで好が怒鳴る。

 べつに今までの喧嘩と違って今回は fellow-soldiers が多いんだから、必ずしも 俺が 窓に飛びつかなきゃならない理由ってのもないんだろうけど、気がつけば上半身乗り出してるとこ見ると、こりゃ条件反射だ★

「………おわーーーーっ!! 」

 だけどマジに凄い、ちょっとした眺めだった。

 幾百って感じの飛行艇が都市区画I-39棟の頭上を飛び交っている。

 ニアミス事故が起こんないのが不思議…とゆうか奇跡だね。

 大部分が406~409層の格納庫から引き出された軍令部のエアパトカー。

 もちろん乗っているのは兵隊とばかりは限らないはず。

 むしろ割合としちゃあ脱走犯の乗っ取ってるヤツのが多いんじゃないかと思うけど、うかつにI-39棟空域から離脱すると警備兵側にそれと知られて撃墜されるので、身動きがとれない。

 兵たちにしたってとっくの昔に指揮系統なんて壊滅しちまったに決まってるんだから、事情は似たようなもんなんだろう。

「 ん、とにもう、しょーもないなっ! あのまんまじゃ燃料切れるまで右往左往やってるに違いないぜっ!」

 そのハエみたいな小さな機体群を押しのけるようにして、ドでかい都市の救急車や消防車らしきもの。

 それから…

 その正体に気がついて俺は思わずほくそ笑んでしまった…

「 やったねっ! この船と同じようなのが何隻か… あ、更にあっちこっちから、集まりつつあるぜっ!」

 ヤニさんがタイミングを計っていたかのように通信器のスイッチを入れた。

 艇同士の干渉波のせいでノイズがもの凄いけれど、なんとか聞き取れる。

 集まって来た高性能小型宇宙艇は、この騒動を聞きつけて脱獄犯たちをお出迎えに来た、早い話がお仲間のアウトロウばかりだった。

 それぞれが全波帯使って知り合いの乗ってるパトカーを捜し出し、まだ屋上に残っている連中で、正規のレスキュー隊には捕まりたくなさそうにしているのを2~3人みつくろっては、慣れた手並みで収容してさっさと引き揚げて行く。

 警備兵側のパトカーがいくら撃ったところでこの場合、役に立ちゃしないのだ。なんたって、その気になりゃ(コスト無視すれば)自力で大気圏離脱入のできる外鈑。

 この分なら全員助かりそうですぜっ

 るん♪

{ィヨ~ウ。べっぴんさん。これまた大層なことをやってくれるじゃねェか。}

{礼を云うぜ。今度会った時にゃあ一杯奢らせてくれ。}

 仲間捜しのにぎやか極まりない会話を傍受する合い間に、そのうちそんな通信が混ざって来る。

 誰もがヤニさんのことを個人的にも良く知ってそうな口ぶりなのに、決して『 MISS-SHOT 』の名もヤニさんへの直接的な呼びかけも口に出さない。

 べっぴんさんてのだって洋風に考えれば船のことを云ったんだとも受けとれるわけだから…

 さすが無法者のプロ達だね。

 軍側に聞かれても後からヤニさんに追及の手が伸びる事のないよう、よっく心得てる。

 その中のひとつにこんなのもあった。

{こちら、反皇勢力・スターエア独立回復戦線 副将 尾崎 済(さい)。脱出のチャンスを与えてくれた事に感謝する。今後、我々が力を貸せるような機会があったら、ぜひ云って来てくれ。

 それから、…お尋ねの件だが、さしさわりがなければ我々の情報網でも探させてもらって、何か判れば君たちの本部に連絡させてもらおうと思う。
 構わないかね?}

 俺は短く感謝するとだけ答えた。好もゆかり姫も何も云わなかった。

 尾崎 済。

 ほんの少し向き合って話しただけの相手の顔を、漠然と思い浮かべてみる。

 落ちついた、それでいて、若々しい。

(( …いつかあの人とはまた会う事になるだろうな… ))

 予感がした。

「でもさすがですわ磯原さん。これでこの『 MISS-SHOT 』、完全に目立たなくなってしまいましたわね。」

「さァて、そろそろこっちも全速力でとんずらと行きますかね若旦那がた!」

 唐突にスピードアップ。

 ひろと先輩が慌ててクォクの繋索具合を確かめに行く。

 俺はぼんやり赤ちゃんを抱いたまま、遠ざかって行くI-39を眺めていた。

 既にあらかたの騒ぎはおさまり、今はもう四方八方に散って行く無数の小型艇の姿と、立ち昇る黒、黄、紫、様々な色の、見るからに有毒そうな煙の流ればかり。

 あ~あ。環境汚染だぁ…。




 エルフィーリ。

 … "水の" 娘 … アトゥル・ウルワ…。



 どのみち火事を消し止めたところで、あの建物は2度と使い物になりはしないだろう。





「ところで清。」


 部屋の向う側で好がニタリ笑って云う声が聞こえた。

「おまえいつのまに赤んぼ産んだんだ?」

「お兄ィちゃん!」

「俺じゃないわいッ★」

 ヤニさんが無責任に笑いこけた。



 不夜城めいた都市空域を離れてしまえば、今は夜。

 広い太平洋の上に、俺たちの出発点が、明るく浮かんでいた…。




          …続く。…

 

 

 

 

 

(参照したければ資料)

http://85358.diarynote.jp/201611112222476577/

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奥付

 

リステラス星圏史略

古資料ファイル

5-X-1-3

『未完史』

第1部

第3章

俺たちは

 無鉄砲のかたまり。


http://p.booklog.jp/book/111026


著者
霧樹里守 is 土岐真扉
as
遠野真谷人
 
 


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