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邦画部門

グッドモーニングショー

グッドモーニングショー

2016年10月11日鑑賞

 

爆弾と視聴率とエンタメの関係?

 

最初はねぇ~、これスルーしようかな、と思ってたんですよ。

でも観て正解でした。お金払った分は、ちゃんと「おもしろい!!」という作品に仕上がってます。

本作は映画の初めから、時間軸がリアルタイムで進行する、というのが大きな特徴です。

ほとんど回想シーンなどを挟まず、まさに今、目の前で起こっている分、秒、単位の時間、ワンカット、ワンカットが極めてスリリングな効果を生み出しています。

主人公はニュースキャスター、澄田真吾(中井貴一)

相方の女性キャスターに小川圭子(長澤まさみ)

彼女の失恋を慰めようとした澄田のちょっとした優しさ。そこにつけ込んだ圭子。実は肉食系女子なのです。澄田と、まんまと男女の関係を作ってしまった、という設定からお話は始まります。

今朝もいつも通り、ニュースワイドショー番組の司会を務める二人。

最近、視聴率の落ちを気にしているのは、スタジオの奥で腕組みしているプロデューサー、石山(時任三郎)

本作、いい俳優さん使ってるんですよねぇ。

きっと俳優さんたちのギャラは、高くついたんだろうと思います。

ただ、作品全体の予算としては、そこそこリーズナブルに作られたのではないか、と推測します。

本作の面白さにどんどんはまり込んで行きながら、片方で僕は、やや冷静に

「これは低予算でも、おもしろい映画が作れる格好の見本だ!」

という思いを強く感じていたのです。

映画にとって予算は極めて重要な要素です。

例えば「時代劇を作ろう!」と監督、プロデューサーが決めた時点で、内容はともかく「金のかかる映画」を覚悟しなければなりません。

対照的に「これだけしか予算がない」

という場合、答えは簡単です。

①現代劇にする

②ロケはなるべくやらない、できれば室内劇にする。

③登場人物を少なく、エキストラをなるべく使わない。

④有名俳優を使わない

本作では知名度の高い、有名俳優を”止むを得ず”使ってます。

これは宣伝広告、興行収入を睨んで、費用対効果を狙ったものであることは言うまでもありません。

本作の舞台が「ワイドショー番組のスタジオである」と言う点も見逃せませんね。

ちなみに制作はフジテレビ。

なんのことはない、本作で使う舞台装置や機材は、すでに「ぜんぶ揃っている」わけです。新たに機材を買う費用もいらない。

なお、低予算で大ヒットを飛ばした映画の例があります。

矢口史靖監督の

「ウォーターボーイズ」

「スウィングガールズ」

などが格好の例でしょう。

登場人物を演じたのは、当時、全く無名俳優であった、妻夫木聡、玉木宏、上野樹里、貫地谷しほり、と言った人たち。

彼らは、これらの出演作で広く世に知られるようになりましたね。

ちなみに「スウィングガールズ」については予算5億ぐらいで、21・5億円を稼ぎ出す大ヒットとなったそうです。

さて、本作に戻りましょう。

朝のニュース番組の進行中、突然速報が入ります。

立てこもり事件発生!

人質は数人。

犯人は銃と爆弾を持っている。

更には犯人の要求が、なんと

「ニュースキャスター、澄田真一、本人をここに連れてこい!!」

警察の物々しい警護の元、澄田は犯人の立てこもり現場へ向かいます。

このとき、番組スタッフやプロデューサーたちにとっては、まさに「独占スクープ」

こんなに「美味しい」ことはありません。

全国のお茶の間の視線を独占できる。

視聴率が稼げる!!

番組スタッフは、澄田の防弾及び特殊「防爆」スーツ(ちなみにアカデミー賞を獲った「ハートロッカー」

で主人公が着るやつです)に、こっそりカメラを仕込みます。

キャスター澄田と、犯人の緊迫したやりとりが、生中継できる!!

心の中はまさに狂喜乱舞状態のスタッフたち。

当のニュースキャスター澄田は、身の危険に怯えながら、犯人の説得を試みるのですが……。

まあ、テレビ局にとってみれば、キャスターひとり、事件で殺されたところで、視聴率が稼げ、スポンサーが喜べば「言うことなし」なのです。

もし万が一、キャスター死亡、なんてことになったら、それこそしばらくは、ワイドショーや特集番組で、またバンバン視聴率が稼げるわけです。

危険な場所へ向かわせたのは警察とテレビ局ではありますが、犯人の要求であり、なにより、キャスター澄田、本人も了解済みなんですね。

合法的な人殺しシーンが取れるなら、

それさえも「エンターテイメント」になってしまう。

本作中に「テレビの報道なんて、しょせんエンタメなんだよ」

と言う趣旨のセリフがあります。

本作を象徴する一言でしょう。

報道はテレビ局にとって「商品」の一つに過ぎない。

僕たち一般市民は、常日頃から、こういった「加工済み情報」に、ある種、飼いならされているかのようです。

食品添加物なしでは、もう美味しいと感じない料理と同じでしょう。

メディアの情報に飼いならされた僕たちの日常。

市民の世論や感情、何より、正義と真実は「分かりやすいはずである」と、思い込まされていること。

そして、お茶の間で他人事のエンタメとして報道を楽しむ「一般市民の欺瞞」さえも、本作は炙り出して見せているかのよう。

表面は薄っぺらいエンタメ作品を「あえて」装いつつ、実はかなり深掘りできる作品だと僕は思いますよ。

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆

美術 ☆☆☆

音楽 ☆☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

監督   君塚良一

主演   中井貴一、長澤まさみ、時任三郎、濱田岳

製作   2016年 

上映時間 104分

グッドモーニングショー」予告編映像


SCOOP!

SCOOP!

2016年10月24日鑑賞

 

ゴギブリとドブネズミ、以下の「美学」

 

「福山がスキャンダルな役をやるらしい」と言う印象しかなかった本作。

当初観る予定もなかった。

しかし監督の名前を知って観てみようと思った。

「モテキ」「バクマン。」を撮った大根仁氏である。

それほどまでに、この二つの作品は抜群に”面白カッタ”のだ。

本作では福山雅治が、ダーティーでワイルドな「中年パパラッチ」を演じる。

その意外性と、テンポの良いストーリーに引き込まれる作品に仕上がっている。

福山演じる主人公「都城静」は、芸能人、タレントなど有名人を盗撮するのが仕事だ。

かつては出版社に勤めていたが、今はフリーでやっている。

組織の”しがらみ”から外れた、まさにアウトローであり、一匹狼。

彼の車はベンツのゲレンデワーゲンである。

新車だと軽く1000万を超える車だ。

「結構儲けてやがるなぁ~」と思っていたら、実は中古で買っていたのだ。

フリーカメラマンの暮らしは楽じゃない。

彼の場合、一般ピープルが、覗き見したくなるような、著名人を狙う。

夜の闇に紛れ、獲物の行方をどこまでも付け狙い、追いかける。

その姿はまさにハイエナである。

やがて彼のカメラが決定的瞬間をゲットする。

「カシャッ、パシャッパシャッ!!」

次に彼がとる行動はただ1つ。

逃げて逃げて逃げまくるのだ。

「獲物達」は反撃してくる場合があるのだ。そういう危機的な状況に陥った都城を助けてくれる、変なおじさんがいる。

名前を「チャラ源」という。

この闇夜の時空間に、ふわふわ漂っている「クラゲのような」得体の知れない人物を、演じられるのはこの人。

リリー・フランキーだけであろう。

このキャスティングは大正解。この人の演技にはいつも驚かされる。

本作でもかなり衝撃的なシーンがあるのでお見逃しなく。

さてこういう、ヤサグレた”汚ッたねぇ~”現場に配属されてきたのが、二階堂ふみ演じる”ウブな”新人女性記者「行川野火」

写真週刊誌の「イロハ」も、まるでわからない”ど素人”だ。

「なんでこんな奴と組ませるんだよ!」と都城静は、やり手女性編集者(吉田羊)に悪態をつくのだが…。

彼は、この”ど素人”女性記者を車に乗せ、今日も獲物を求め、夜の街に紛れ込んでゆく。

彼の仕事の99%は「待つこと」に費やされる。

24時間、狙った獲物を待ち続けても、23時間59分、何も起こらないのが当たり前なのだ。

しかしこの道のプロ、都城静は、その「残りの1分」「シャッターチャンス」に全てを賭ける。

そうやって彼は有名人達のアラレもない、恥ずかしい姿を「SCOOP!」として次々、モノにしてきた。

彼の写真を「商品」にし「現ナマ」に変えるのは写真週刊誌だ。

編集部では、毎号、発売部数がホワイトボードに表示される。

都城静と行川野火のチームは、どんどんスクープをモノにしていく。

刺激的な写真を撮れば撮るほど、発行部数は右肩上がりで、増えてゆく。

まさに「イケイケドンドン」

その発行部数の伸びを横目に見ながら、都城静は、ぼそっと野火につぶやく。

「俺たちがやってる事は、しょせん、ゴキブリか、ドブねずみ以下さ」

しかし、ゴキブリだって、ドブネズミだって、なりたくてその姿に生まれついたのではない。

彼らにも彼らなりの美学があってもいいではないか?

今日も彼らは真夜中の闇に紛れ、こそこそと街の片隅に自らの姿を潜める。

「SCOOP! を撮る」

ただそれだけに、全てを賭ける、彼らの生き様。

ラストシーン。漆黒の夜空。

ぽっかり浮かぶ満月。

月はどんな表情で彼らを観ているのだろうか?

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天見谷行人の独断と偏見による評価(各項目☆5点満点です)

物語 ☆☆☆☆

配役 ☆☆☆☆

演出 ☆☆☆☆

美術 ☆☆☆

音楽 ☆☆☆

総合評価 ☆☆☆☆

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作品データ

監督   大根仁

主演   福山雅治、二階堂ふみ、リリーフランキー、吉田羊

製作   2016年 

上映時間 120分

「SCOOP!」予告編映像