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「おい、今度は直ぐ下の国道で何かトラぶってるぞ!車の間で、男がひとり土下座して謝ってる。」

「USBコネクタにこれを差し込め、こっちのモニターに映像をおとす!」

部屋から持ち出した液晶モニターに、ナイトビジョンの画面が再生されます。

「相手はチンピラ3人だな―――車コスったか?」

「ドアで隠して、蹴りを入れられてる、可哀そうに。」

「おっおい!男が急に立ち上がって何やらスプレーを吹きかけたぞ!チンピラ3人、顔を覆って蹲った―――片端から手錠をかけている。」

「―――チンピラの車に何か放り込んだぞ。」

「パトカーが集まってきた!」

「蹴られていた男も、警官だな―――。」

レイバンが暗い顔で呟きます。

「 “麻薬常習グループ、夜の国道で現行犯逮捕” 明日の朝刊、事件欄の見出しだ。」

 

「マンジュウ、お前の寺の境内、何か動きがあるぞ―――。」

山裾の暗い石段を駆け上がる3人の人影がモニターに映ります、直ぐに拝殿の前、ぬれ縁上の賽銭箱に取り付きました。

「あの親爺!性懲りもなく―――。」

モニターを見ていたマンジュウが呆れ顔で叫びます。

「この前の爺さんか?」

「今度は仲間を連れてきた、馬鹿でかいバールとハンマー持ってる。」

「手口を変えたな、賽銭箱解体するつもりだ。」

「そう簡単にはいかんさ、充分に補強してある。」

自信ありげにフォックスが呟きます。

「バールを賽銭箱の角に当てて、仲間にハンマーで叩かせるつもりだ、何か危なっかしいな。」

「ああっ!―――バール握っていた指を思いっきり叩かれた、ぬれ縁の上で、のたうち回ってる。」

ぬれ縁の袂にある蹲踞に、手を浸して暫らくじっと耐えていましたが、よろよろと再びバールを持ちました。

「今度は床の隙間にバールをこじ入れて、梃子を使って引き上げるつもりだ、濡れ縁の床大丈夫かな。」

「ほら見ろ!床に穴が開いて2人共転げ落ちた、爺さん束石に頭ぶつけてふらふらしている。」

「おい!もう一人が小型のフォークリフトに乗って来たぞ!賽銭箱持ち上げるつもりだ。」

「フォークリフトあるなら最初から使えばいいのに、どういう連中だ?」

「おお!最大位置に持ち上げた!」

「前につんのめって一回転した!」

物音に気が付いて、庫裡の窓に明かりが灯ります、3人の賽銭泥棒はバールにハンマー、ひっくり返ったフォークリフトを置いたまま、暗闇に消えました。

 

「どうやら、諦めたようだ。デッドウエイトに小石を大量に入れといたのが功を奏した。」

「結局、一円の賽銭も盗れずじまいか、情けない奴らだ・・・・。」

「おい!丘の上の分譲地見てみろ、屋根が次々輝きだしたぞ!」

「何だあれは!団地中の屋根が光り始めた、どうなってる!?」

「団地内大量死だ!ガス事故か?明日は一日、あの分譲地で営業だあ~。」

「そうじゃない、時空の相転移だ!あの世とこの世が入れ替わった!?今見てるのは、俺たちの意識が勝手に創造した幻想かも知れん!」

「じゃ、俺たちもう死んでるのか?」

「分からん!」

 

 

「二人共しっかりしろ!東の空をよく見てみろ、夜が明けただけだろ、馬鹿どもが!」

レイバンの銀縁のサングラスを透して、眩しい朝日が3人の酔っ払い坊主の顔を、紅く光輝かせていました。

おわり。

 

以上、すべてフィックションです。実在の人物・団体等一切関連ありません。 

 


奥付



時空に意識あり!


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著者 : 南海部 覚悟
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