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tovo plus〜あおもりの100家族、わたしたちのこれから。[season 5] No.055

今号(56家族目)のご家族 ▶

安田 修平さん・美代さん

撮影場所 ▶工房polepole(青森県鰺ヶ沢町)

 

【インタビュー】

●2011年3月11日のこと、憶えていますか?

▶美代さん「その頃は、タイのバンコクにいました。JICA(日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関。開発途上国への国際協力を行っている)のシニア海外ボランティアとして、セサティアン聾学校にて陶芸指導をしていたんです。その日はその聾学校の文化祭で、ほし(息子。星乃介くん)も日本から遊びに来ていました。地震のことは、カウンター・パート(ボランティアの協力活動を共同で遂行する現地側のスタッフ)から『日本に帰れないよ』と聞いて知りました。他のJICAボランティアの人たちと一緒に、CNN(アメリカ合衆国のケーブルテレビ向けニュース専門放送局)やBBC(英国放送協会。イギリスの公共放送局)の放送を『大変なことになってる…』と驚いて見ていましたね。」

▶修平さん「ほし(息子。星乃介くん)はその頃、秋田の大学に通っていたのですが、その秋田の友達とは連絡を取れていたようでした。でも、かまや(七色たい焼きで有名な板柳町の駄菓子屋さん。修平さんのご実家)とは連絡が取れなくて…。地震から3日後、やっと知人を介してメールで連絡が取れました。発電機を借りておけば良かったって言ってましたね。工房にあった作品は、タイに行く前に上の方に置いていたものを中心にほとんどダンボール箱の中に仕舞っていたので、割れたものはありませんでした。」

▶美代さん「地震翌日、市場に行くと知らない人からも『大丈夫だった?』って声を掛けられました。タイの人々にも津波の映像はインパクトが大きかったみたいです。『募金したよ〜』とも声を掛けられましたね。タイはとても親日的な国ということもあり、デパートやコンサート、マラソン大会、サッカーの試合でも日本への募金活動が行われていました。いたるところで『PRAY FOR JAPAN』の文字を見ました。」

 

●その後、心境や生活の変化はありましたか?

▶美代さん「震災のあった年の10月には、タイは洪水(タイ洪水。2011年7月から始まり、3ヶ月以上続き、北部のチエンマイ県から中部のバンコクまで、58の県に浸水が及んだ)で大変なことになっていました。私たちの住んでいた場所は、国王のお家や軍の主要部に近い所だったこともあり被害はありませんでしたが、その周囲は大変でした。その頃は健康診断のため日本に一時帰国していたのですが、帰郷されたカウンター・パートの先生たちのお家も大変だったこともあり、タイには戻ることができませんでした。それならと、弘前大学のタイ人留学生と一緒に、今度はタイの皆さんのために街頭募金をすることにしました。素晴らしいことに、蓬莱広場であったダンスイベントの会場でやらせてもらいました(2011年11月3日。弘前城築城400年を記念した特別イベント『Red Bull BC One ALL STAR JAPAN TOUR 2011 in HIROSAKI』。世界のTOPダンサーが集った)。また、2012年に板柳町の中央アップルモールを歩いて『ここでクラフトフェアができたらいいね』とそのまま町役場に相談に行き、2013年から『クラフト小径』を始めたのですけども、その名簿冊子の中に『クラフトで、できること。』というページを設けています。そこでは、東日本大震災以降、モノ作りに関わる人間として、被災された方々の為に何ができるか?というテーマのもと、実際に行動された作家さんたちのことを紹介しています。最近では、3.11だけではなく、広く思いを巡らせています。」

 

●ご家族の10年後は?

▶美代さん「タイの2年間で教えることの楽しみを知ってしまったこともあり、2015年の春から子供向けの英語教室も始めました。10年後も勿論、モノ作りをモノを紹介していくことをライフワークとしていきたいと思っていますが、ギャラリーをやるにも元手がなければですから、英語教室も続けながらギャラリー&カフェができたらいいなと思ってます。英語教室の子供たちに私たちはミーヨンとシューポッターと呼ばれているんですが、そのミーヨンとシューポッターが子供たちの時間の一部にいるんだなと感じるようになってきたら、英語教室がすごく面白くなってきましたね。」

▶修平さん「焼き物が売れなくなってきたなぁと震災後から感じていたのですが、それは壊れるもの割れるものが選ばれなくなってきたのかなと思っているのですが、これからも陶芸を続けていきたいですね。」

 

【取材後記】今年も10月1日と2日に板柳町の中央アップルモールにて開催された『クラフト小径』。そして、鯵ヶ沢町の日本海拠点館に隣接する新設海浜公園にて2001年から2010年までの10年間開催されたクラフトフェア『C-POINT』。この2つを立ち上げ、引っ張ってこられたのが今回の安田夫妻です。僕は青森に帰ってきた2004年から、ちょろちょろと安田夫妻のところ(≒工房polepole)に遊びに行かせていただき、C-POINTとクラフト小径もお手伝いさせていただいております。何故なら、すごく「あずましい」から。2人のそばにいると、違う時間の流れを感じ、それが心地良いのです。でも、そんな2人の中にも勿論2011.3.11があり、そこから皆と同じ分だけの時間が流れ、想いを繋いでいることを今回のインタビューを通じ、改めて感じました。(今号No.055 インタビュー:なるみしう/撮影:須川健太郎)

 

【寄付総額】2011年6月〜2016年8月29日まで「¥4,466,774」を、あしなが育英会「あしなが東日本大震災遺児支援募金」へ寄付することができました。ご支援に深く感謝致します。

 

【定期購読のご協力を!】1年間の定期購読を承ります。1,800円(送料・寄付含)/1年間(12号)です。このフリーペーパーは定期購読の皆様のご支援で発行されております。ご支援の程、宜しくお願い致します。ご希望の方は、ウェブショップ(http://shop.tovo2011.com)よりお申し込みください。

 


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最終更新日 : 2016-11-08 11:12:04

この本の内容は以上です。


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