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~三面鏡~

三面鏡……

 

 

最近はほとんど

見ることがなくなった…

 

 

昔はうちにもあった。

 

 

ぼく…は

よく顔を挟んで

ずっとずっと先の自分を

探した………

 

 

何番目かの顔が

目を瞑ってるとか…

怖い話で読んだことがある。

 

 

ぼく…は

それを確かめたかった。

 

 

でも見付けることできなかったよ……

 

 

 

今は違う理由で

三面鏡が欲しい…

 

 

それもハイテクな

三面鏡が…………

 

 

顔を挟んで

いっぱい写っている自分を

この世に送り出し

ぼく…の代わりに

動かしたい………

 

 

 

時間が足りない………

 

 

 


~異空間~

ぼく…は昔

全く同じ形をした

団地が無数にある町に

住んでいた。

 

 

全て5階建てで

きれいにいくつも並んでた。

 

 

団地以外にあるのは

大きな小学校。

 

 

あとものすごく大きな霊園。

 

 

団地と団地の間に

真っ直ぐに延びる道。

 

 

その突き当たりが霊園だった。

 

 

 

真っ白な団地。

真っ白な霊園の柱のような壁。

 

 

夜道を横切るとき

霊園の方は見ないようにしていた。

 

 

たまにフッと見ると

霧が立ち込めているように感じ

子供心にゾクッとさせる。

 

どこを見ても同じ景色……

 

 

 

学校の脇を電車が走っている。

 

 

隣の町に行くには

その線路の下の

ちょっとしたトンネルをくぐる。

 

 

ぼく…はそのトンネルをくぐると

いつも不思議な感覚に襲われた。

 

 

異空間に来てしまったような……

全く違う景色。

 

 

入り組んだ道……

団地とは違う様々な家……

 

ぼく…にとっては

不思議な町にしか見えなかった。

 

 

子供の感じ方って面白い。

 

あの頃の記憶も

薄らぎ始めている。

 

 

今の環境に

なんの違和感もない……

 

 

なんだか寂しい気がする……

 

 

 


~ドールハウス~

ドールハウスが欲しい……

 

本物そっくりのドールハウスが……

 

 

小さい頃から憧れた。

 

 

小さい家に

小さい家具。

 

 

小さいテーブルの上には

お皿を並べ

プラスチックでできた

ディナーを用意する。

 

 

ぼく…の好きなコーディネイトで

最高のおもてなし。

 

 

人形はいらない。

 

 

なぜなら

ぼく…がそこにいるから……

 

 

 

自分だけの世界。

 

 

憧れる………

 


~意識の先は…~

ぼく…の意識…

 

 

窓を明け

目を閉じて

耳を澄ます…

 

 

色々な音が聞こえる。

 

 

車が走り去る音…

 

 

見ているわけでもないのに

右から左へ意識が持っていかれる…

 

 

突然の花火の音。

 

 

「パンッ!」と鳴る度

体の中で何かがはじける…

ゾワッとした感覚。

 

 

人の話し声……

 

 

聞く気もないのに

意識が話に加わっている…

 

静寂…………

 

 

 

ぼく…の意識は

どこに行けばいいのか

戸惑ってしまうかも………

 


~魂の抽選会~

ぼく…

ふと疑問がわいた…

 

 

ただ食器を洗ってたのに…

 

『なんでぼく…は

  ここで生きているんだろ  う……?』

って…………

 

 

蛇口をひねれば水が出て

ボタンを押せば火が着く……

 

 

当たり前の生活。

 

 

でも……

もしかしたら

世界中で苦しんでいる

栄養失調の子供として

産まれていたかもしれない……

 

 

はたまた

とんでもない金持ちで

何もかも手に入れている

家族の一人だったかもしれない……

 

 

こんなにいっぱい人間が生きていて

なんでこのぼく…として

産まれてきたのだろう…?

 

ぼく…は魂は無くならないと思ってる。

 

 

体はあくまでも

魂を入れる箱のような物。

 

父と母から大事なDNAを分けてもらい

大切な体なのはわかってる。

 

 

なぜこの体を

ぼく…の魂は選んだんだろう?

この体になりたかった

他の魂もあったかもしれない……

 

 

抽選でもあったのか……?

 

水や食料の心配もなく

だからといって

なんでも手に入るわけでもない…

 

 

ほどほどの環境……

 

 

そこで生きていられることに

たまたま洗い物をしていて

突然感謝したくなった……

 

 



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