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ゆめちゃんがいなくなると はなちゃんは たちあがって
へやのなかを うろうろと しています

    へんだわ ゆめちゃん なんだか いつもとちがうみたい
    ときどき おしいれのほうを見てるし
    わたしになにか かくしているのかしら


はなちゃんは おしいれのある部屋へ 行ってみることにしました


そして おしいれをあけて なかにいた なきまくらを みつけました

「 わあー!! なにこれ かわいい!
これだったのね ゆめちゃんのかくしていたものは 」

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まくらたちは はなちゃんの おおきな声におどろいて 
おしいれの おくへにげましたが 手前にいた 花がらまくらが 
にげおくれて ふすまとふとんの かどにはさまって 
とうとう はなちゃんに つかまってしまいました

「 にがすもんか・・ おとなしくしなさい・・ いまからわたしがママよ 」

あばれるまくらを ぎゅっとだきしめます

「 なによこれ やわらかくておおきいじゃない うちにもないのに 
ひどいわ わたしにかくして ひとりじめにしてたのね 」


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そのとき ゆめちゃんが あわてて そこにやってきました

「 やめてー!はなちゃん わたしのゆめまくらさん かえして 」と 
ゆめちゃんがさけびました

「 これ はなちゃんにちょうだい! 」と はなちゃんは はなしません

「 あーん どろぼー もってかないでー! 」

「 たくさんあるんだから 一つくらい いいじゃない! 」 



ふたりに ひっぱられて まくらは
「 みゃる・・ みゃーる・・ 」と ちいさな声で くるしそうに なきました

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そこへ おばあさんがやってきました

「 なかよしのふたりが なにしているの けんかはおよし 」

そして まくらをとりあげて いいました

「 ほら なきまくらが くるしそうに ないているじゃないか 」

「 それって なきまくらっていうの おばあちゃん? 」と はなちゃんは たずねました

「 そうだよ しあわせな家の おしいれにやってきて
まくらに宿る めずらしいおばけだよ 」

「 えっ!おばけなの? 」と はなちゃんは おどろいて めをまるくしました

「 でも いいおばけなんだよ わるいことしないもん 」と ゆめちゃん

「 おばあちゃんの おばあちゃんもね はたけしごとからかえってくると 
よく おなかに顔をうずめて いたもんだよ 」

「 おなかにかおを? そうやってつかう まくらなの? 」

「 ああ なきまくらは つかれをとってくれる おばけなんだよ
むかしの人は そうやって まいにちのつかれを とってきたんだよ 」 

「 どうして その おばけが いまここにいるの? 」と はなちゃん

「 どうしてだろうねぇ どの家でも来るって わけじゃないんだよ
それでも 昔は よくみかけていた ものだけどね
さいきんは あまり見なくなったねぇ 」

「 はなちゃんもほしい! 」と はなちゃん

「でもね なきまくらも いいことばかりとは かぎらないよ
つかいかたを まちがえたら こわいんだからね 」


そして おばあさんは昔ばなしを ひとつ してくれました

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むかしむかし そのむかし あるむらに ひとりぼっちの 男の子がいてね
その男の子には 食べものも ねむるところも なかったんだってさ

それを かわいそうに思った 村にある おやしきの主人は 
「 しごとをてつだうなら かわりに 食べるものも ねどこも あげよう 」と いってね

主人は とてもよくはたらく その男の子を 本当の自分のこどものように かわいがったんだ
そして 男の子は 主人のへやのほかは どのへやでも入っても いいことになったんだよ

ある日 主人がようじで でかけていってね
男の子は そうじをしながら 帰りをまっていたら
主人のへやの おしいれから 小さな なき声と ものおとが きこえてきたんだよ
男の子はそれが 気になってたまらなくなり
ちょっとだけならと つい へやにはいって おしいれをあけてしまった

「 なにが入っていたの? 」と はなちゃん

「 中には おおきな なきまくらがいたんだよ 」

あんまり やわらかくて きもちがいいものだから
はじめのうちは いけないと思っていたんだけどね

「 うん それで? 」と ゆめちゃん

これが じぶんのものだったら と 考えるようになっていってね
そして 主人の るすのときは こっそりと まくらをもってきて
ねるばかりしていたんだよ

それから しばらくしてね 男の子とまくらは おやしきから いなくなってしまったのさ
主人は男の子をとても しんぱいして さがしたけどね みつからないから
となりむらまでいったんだよ

「 まくら もっていっちゃったんだ・・ 」と はなちゃん

「 となりのむらに 男の子はいたの? 」と ゆめちゃん

「 むらの中にはいなかったけどね でも 神社で男の子を見たひとがいたんだよ 」

それで主人は 神社に行ってみたんだけど やっぱり男の子はみつからない
主人は がっかりして帰ろうとしたんだ

そうしたら うしろから「 みゃーる・・ みゃーる・・ 」と こえがしてね
ふりむくと木のかげに まくらと おんなじ顔をした男の子が いたんだってさ



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