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おしいれの中のまくらたちは
夜の ねるころになると おしいれのなかから かりかりと ふすまをかぐり 
音をならして さいそくします
いつからか おしいれをあけてやるのが ゆめちゃんの しごとになりました

「 ふぁ~ みんな夜だよ・・でておいで・・ 」


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あるばんのことです
お父さんは まくらをうらがえしにおいて ゆめちゃんに こう おしえてくれました

「 ゆめちゃん なきまくらには ひみつがあるんだよ 」
「 ひみつ? ひみつってなあに? 」

「 なきまくらのひみつは おなかにあるんだよ 」
「 おなか?ひみつのおなか? 」

「 うん 」と お父さんは うなずきました

「見てごらん なきまくらのおなかは ふだんはしっかりと むすばれているだろう?
それは ここに ちからが ふういんされているからなんだよ
なきまくらは おなかに 小さな うちゅうをもっているんだ 」

「 ちいさな・・ うちゅう? 」 ゆめちゃんにはなんのことだか わかりませんでした
「 ためしてごらん そうすればわかるよ 」

そう言っておとうさんは まくらのおなかのひもを ていねいにほどきました
ふわふわのあたたかそうな まくらのおなかが でてきました

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「 さあ ひらいたよ ゆめちゃん ここに まくらのおなかに とびこんでみなさい 」

「 とびこむって どうやって? 」

「 おなかに かおをうずめるのよ ゆめちゃん 」と お母さん

ゆめちゃんは ちょっぴり こわかったのですが 
ゆうきをだして ふわふわの おなかに かおをうずめました

「 えい! 」


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ゆめちゃんは ちいさくてあたたかい おだやかな うちゅうのなかで 
ふわふわとただよい およいでいるような きもちになりました

「 わぁ・・ 」

お父さんと お母さんのこえも だんだんと とおざかっていって
ずっとこのまま ただよっていたいと おもえてきて いしきをうしないかけたとき
お父さんと お母さんが おこしてくれました

「 ゆめちゃん だいじょうぶかい 」
「 だいじょうぶ?ゆめちゃん 」

「 あれ・・わたしどうしてたのかしら・・? 」
ゆめちゃんは めざめたばかりのときのように ぼーとしていました

でもゆめちゃんのきぶんは とてもすっきりしていました
それはたとえるなら ぐっすり ねむれた日の三ばいくらいに
 

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まくらになれるまでのあいだ しばらくは おなかの ちいさなうちゅうは おあずけです


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