閉じる


はじめに

初めに一言。

少し堅そうなタイトルですが、私は平和ボケ推進派です。

 

ただ、この先では以下の言葉が多く出てきます。

 

憲法。

自衛隊。

軍需産業。

 

おそらく、近頃この言葉を聞くことになった人は多く、また右翼や左翼といった思想と関連づけて考える人も多いと思います。

 

事実、関連づけて考えれば、いきつくところはそういった思想でしょう。

なお、私はどの思想が良いとか悪いとかは思っておらず、以降もそういった話は出てきません。

 

ここで上の5つの言葉を出したのは、自衛隊について考えた際、自然と浮かんできたからです。

その結果、やっぱり平和が一番だ、という至りました。平和ボケのなかで育ったので当たり前かもしれませんが。

 

そして、その「平和」とは「日常」です。

例えば、私たちが朝起きて、身支度をして仕事に出て、友人と飲んで家に帰ってくるような、よくある光景です。

 

”尊く守るべき”と誰かが言っていても、そう教わっていても、私たちにとってはそうと自覚することすらないほど当たり前のものです。

 

もちろんそれは、自衛隊で働いている自衛官も同じです。 

いざ法が変わった場合真っ先に戦争に行く、「平和」とは離れた位置にいってしまう彼らも、私たちが「日常」のなかを過ごすように、自衛隊の「日常」のなかを過ごしています。

 

しかし、その「日常」は私たちの「平和」とイコールではないかもしれません。

さらにいえば、彼らが望んでも望まなくても、もしかしたら今後ははっきり違ってくるかもしれません。

 

では、自衛隊とその周囲は具体的にどう変わるのか、また世論はどうなるか、そしてその変化の前に何をするか、が本書のメインテーマです。

 

難解な言葉を並べた思想書でも、平和の意義を問うような畏れ多いものでもありません。

自分の日常と友人の日常についてふっと考え、ひょっとしたらとこうなるかも、という私見を述べたものです。

 

いまを考える小さなきっかけとして、ご一読いただければ幸いです。


目次

以下は見出し名と、そのページの簡単な説明および個人的な感想です。

 

○はじめに

本書の主旨と、その動機についてです。政治、自衛官と一般市民、両者の乖離に言及しています。

 

○新卒自衛官の内訳

自衛官の種類と応募者数の推移、実際の充足率についてです。とりあえず思うのは、省庁も企業も非正規雇用は多いということです。 

 

○「国のために!」は超少数派……?

採用者の志願理由と訓練についてです。街でのスカウト、なんて話を聞いて、時代の変化を感じました。

 

○筋トレに消費される精神力

自衛隊に入ってからの人間模様と過ごし方です。スパルタは肉体派公務員の鉄板なんですね。 

 

○太った組織でやせてみて

自衛官の給料と職場環境についてです。エリートと正社員とアルバイトはたぶん分かり合えないだろうなと思いました。

 

○「戦争後進国」日本と世界の軍需産業

自衛隊の外部、軍需産業の世界観について軽く触れています。これを考えるときは、空しくなるんで自分の金銭感覚は捨てたほうがいいですね。

 

○平和国家も”備えあれば憂いなし”か

軍需産業の特徴と日本の独自性についてです。正直日本はこれで良いと思います。

 

○金も兵も出すけども

平和国家の日本が軍備を整えることについて述べています。同じ平和(?)な国でも外国は地盤がしっかりしています。

 

○目を向けるのは草だけ

実際の戦争の危険度についてです。先進国って身勝手なものですね。

 

○憲法は頑強な堤防

憲法と政治と自衛隊についてです。本当に難しい問題だと思います。

 

※8月27日に一部内容等を変更、修正しました。


新卒自衛官の内訳

まず、自衛隊に所属していた友人の話、また省庁や調査機関等のネットの情報から、自衛隊がどのような状況のなかで、実際どのように働いているかについて、若者を主軸に据えて述べていきます。

 

自衛官を志望する者にはコースがいくつか用意されており、例えば防衛大卒なら幹部候補生、一般から応募できる一般曹候補生、自衛官候補生などがあります。幹部候補生、一般曹候補生は定年までの終身雇用が見込める非任期制隊員であり、自衛官候補生は任期が2、3年間と、いわば契約社員のようなコースです。なお、有事の際招集される非常勤の予備自衛官という立場もあります。

 

毎年新しく入る自衛官の採用者数は、2015年の数値を参考にしたところ、一般曹自衛官で約4500名、自衛官候補生約8200人、予備自衛官が約1400名、一般幹部候補生は約260名ほどで、防衛大からは卒業者数からみるに約420人となっています。

 

ただ応募者数はいくらか減少傾向にあるようで、例えば一般曹候補生の場合、この年の応募者数は約2万5000人で、その前の年の2割減であり、最多の2011年の応募者数約5万1000万人から数は減り続け、今では約半分になっています。また、防衛大から卒業後も自衛官にならない任官拒否者が50人近くになり、これは前年の倍近くの数字です。

 

こうなると、巷で噂されている5~50(!)もの倍率には少し疑問が残ります。

この倍率と実際に採用され自衛官として働き始める人の数については大きな乖離があるかもしれません。

 

幹部候補生、一般曹候補生は終身雇用の可能性があり、加えて公務員人気の影響も鑑みれば倍率が高くなってそう不思議はないですが、契約社員の立場で一定期間の雇用となる自衛官候補生、最も大きな割合を閉めるこの人たちが上述の倍率であるかはやや疑問です。

 

自衛官候補生だった友人は簡単なペーパー試験と面接、検査などだけで受かり、他の就職先に受からなかったから入ったという人も周囲には多くいたそうです。

 

総合すると、感覚的には、充足率はおそらく7割から8割ではないかと考えています。冒頭で述べた若者の関心の低さ、2012年の「日本国憲法改正草案」の発表からも、大雑把な潮流として、自衛官を目指す人の数はやや減少傾向にあるように思えます。

 


「国のために!」は超少数派……?

では、自衛官になった人が、自衛官を目指した理由は何か。

 

自衛官候補生についてのみ言えば、どうも多いのは、ほかの消防、警察といった公務員あるいは他産業種を受けたけども「自衛隊しか受からなかった」という理由のようです。

 

また「なんとなく」周囲の雰囲気に、一時の感情に背中を押されでもしたように入った人も多く、ほかにあったのは「興味があった」「安定して暮らせる」といった理由で、「国のために」や「街でスカウトされた」人はいなかったそうです。

 

もしかしたら消防、警察、自衛隊という3つの肉体派公務員志望者にとって、自衛隊は最後の砦、言い換えれば滑り止めなんでしょうか……。合コンばかりしてる消防の友人は凄かったのかもしれません。

 

ちなみに高卒の方が過半数以上で、ほかには専門学校、大卒、元社会人の人もいたそうです。

 

入隊した者は前期と後期合わせて半年の訓練期間を終え、部隊に配属されることになります。訓練には整列や敬礼の仕方などを覚える基本的な訓練や、銃の扱い方、射撃、戦闘の訓練、重装備で何kmも歩く訓練などがあるそうです。

 

訓練期間の間は何人かで班を組み、全てその班で行動し、半年後部隊配属になってからは中隊(100~200人)のなかの1小隊(数十人)に所属し、さらに訓練を積みます。部隊の人数などはそれぞれで違ってくると思います。そのときは先輩後輩含む数人で1つの部屋に住んでいたとのことでした。

 

いじめや嫌がらせについては、少なくとも身をもって知ることはなかったようですが、別の隊でそう感じることはあったかもしれません。

 

そうなると、訓練の日々はさぞ辛かったのでしょうか。

そんな風に思いますが、実際はそうではなかったようです。

 

なぜなら、辛い、なんて感情を味わう暇すらそうなかったからです。

 


筋トレに消費される精神力

何はともあれ、入ったからにはやるしかありません。

 

誰もがどうせ生活するなら、仲間とうまく付き合って訓練こなして楽しく過ごしたい、と思うでしょう。

 

しかし……やはりというか訓練はとても厳しかったらしく、人間関係も相性の問題か順風満帆とはいかず、諸事に疲れて毎日へとへとだったそうです。

 

守秘義務があるのでそこまで聞けたわけではないですが(もう十分聞きまくってますが……)、入って最初の期間が最も厳しく、基本朝6時に起床し、訓練を終え23時前くらいに就寝という流れのようです。

 

具体的には起きて集まって朝食をとって、訓練して昼食をとって訓練して、雑用をこなしたあと、強制自主筋トレ(?)をして就寝といった感じで、ほぼ全ての間に筋トレが入り込んでくるような生活です。

 

縦社会ゆえか先輩は絶対で上司は神なので、どこぞのRPGでもないのに従う以外の選択肢はなく、点呼に遅れるとやり直して筋トレ、食事中私語したら怒られて筋トレ、服にしわがあったら怒られて筋トレ、毛布が乱れたら筋トレ……。

まるで筋トレの合間に訓練してるみたいです。そりゃガタイよくもなります。

知人は頬はこけたのに体はムキムキでした。

 

なお、同期の人柄は大別すればヤンキー系、スポーツ系、草食系になるそうです。

変哲のない友人はたぶん草食系かその他だったでしょう。

 

諍いもあったそうですが、結果的にみればまあまあ楽しくやれていたそうです。ただ、連帯責任のため誰か1人がミスをすればほかの人も一緒に筋トレすることになり、そのことについてはずっと愚痴をこぼしていました。

 

その後部隊に配属されてからは、銃火器や災害の救助についての訓練、演習などを行い、また意外と掃除や洗濯など訓練以外の仕事も多かったそうです。

 

ちなみに、一番大変な仕事は鬱陶しい先輩をいかに避けるかのようでした。

まあこういう人間関係の弊害みたいなものは民間企業でもどこでもありそうですね。

閉鎖的な環境なので、文句が出ないことは流石にないのでしょう。対人の処世術は鍛えられそうです。

しかし、ごくまれに悪い意味にで驚く人がいたそうです。これもまあ、どこも一緒かもしれません。たぶん。

 

 



読者登録

コアラさんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について