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「選挙事務所に行ってみた!!」企画趣旨

こんな企画を企てたのは、他でもない、最近の世の中の動き、その空気感が、どうにも「キナ臭い」からである。

僕は今まで、選挙にも全く関心がなかった。政治家になりたい奴なんて、どうせロクな人間はいない、などと思っていたのだ。僕のブログやFacebookにも、政治的な発言は極力抑えてきたつもりだった。なにより、政治や選挙の基礎知識すら、僕は持ち合わせていないからである。

そんな僕でも「安保法制」や「憲法解釈で集団的自衛権を行使できる」などというのは、これは行き過ぎではないのか? と思った。

そこへ来てとうとう「憲法を改正しよう」と言い出した。

「オイオイ、マジかよ、この国は」

僕はここ数年、ヒトラーとナチズムに興味があり、ちょうど関連書籍を読んでいる最中だった。

麻生大臣が「ナチスのやり方、あれに習ったらどうかね?」

という発言には唖然としたが、

最近では「緊急事態条項」とかいう用語まで乱れ飛んでいる。

僕は全身麻酔で3回手術を受けた。それで例えれば「緊急事態条項」とは

「憲法に全身麻酔をかけること」である。

それこそ「仮死状態」にされるのだから、どこをどう切り取られようが、まさに

「まな板の上の鯉」状態。機能停止になるのだ。

「日本国憲法」って、そんな軽々しいものなの? という疑問を持った。

さらに、僕はかつて「株」のデイトレードをやっていた経験がある。

株取り引きについての基礎知識は多少ある。

そこへ国の独立行政法人「GPIF」が、国民の年金(まあ、税金ですわな)を、じゃぶじゃぶ使ってその挙句、5兆円の損失を出した、というニュースを聞いた。

「そんなもん、やったらアカンやろ? 完全にアウトやんか!」

僕の株トレードの経験から、これだけは言わせてもらう。

「株は紛れもなくギャンブルである」ということだ。

国家ぐるみでギャンブルをやっているのだ。(まあ、公営競馬というのはあるけれど)

しかし、国民の税金を「国民の承諾も得ずに」かってにギャンブルにつぎ込むのは、どうみたって尋常な感覚ではない。

これは、もはや、れっきとした「詐欺・横領」「犯罪行為」

日本国民全員に対する「背任行為」である。

ここまで、おかしなことをやっている、それを認めている現政権に対して、僕は猛烈な不信感を抱いた。

そんな時に、参議院議員選挙の時期がやってきた。

そして、今回から18歳選挙権が導入された。若者はどう行動するのだろう?

テレビや新聞では、自民、公明などが参議院で3分の2以上の議席を獲得すると、

今後一気に「憲法改正」の動きに突き進むだろう、と報じている。

これは、えらいことになったなぁ~、と56歳のオッサンである僕も、じっとしておれなくなった。

何か、したいけど、何をしていいか分からない。

僕にできることは何か?

僕は文章を書くことがそれほど苦ではない、というか、まあ好きな方だ。

ならば、自分の目で、この選挙をレポートできないか? と思いついた。

それも、天下国家を論じる国会や永田町を取材するのではなく、あくまで僕の地元である、兵庫県神戸市での、各政党の選挙活動を、できる範囲でレポートしてみたい。

だが最低レベルの生活水準であるぼくが(ちなみに月10万円で生活してます)金のかかる取材などできない。

そこで、おもいついたのが

「とりあえず、選挙事務所に行ってみようかなぁ~」ということだった。

 

ちなみに前回2013年7月の参議院議員選挙、兵庫県の投票率は53,02% 全国の投票率は52,61%である。

(引用元;選挙ドットコム

つまり、有権者の半分近くが、日本国民のせっかくの権利を使うことなく、むざむざと「ドブに捨てている」状態なのだ。

他人のことを言えた義理ではない。

僕もかつて何十年間も投票に行ったことがなかった。

そんな、今まで全く政治にも、選挙にも関心がなかった「一般ピープル」である自分が、試しに「選挙事務所」に行ってみたらどうなるのか? 何を感じるのか? という、その事務所の雰囲気や「空気感」を独断と偏見を元に文章にしてみたい。

これなら、僕にもできるかもしれない。

ただ、難しい政治論争を、それぞれの事務所に吹っかけるつもりなど、サラサラない。

そんなことを書きたいわけではない。

少しでも選挙に関心を持ってくれる人が、この文章をひとつの「エンターテイメント」として面白おかしく読んでいただければ幸いである。

そして、投票所に足を運んでくれる人が、一人でも増えてくれたら、こんなに嬉しいことはない。

こうして、矢も盾もたまらなくなった僕は、全くの思いつきで、このドン・キホーテ的な企画をスタートさせたのである。


僕はなぜ、選挙事務所に向かったのか?

僕はなぜ、選挙事務所に向かったのか?

 ~会社人間にとっての政治とは?~

 

7月10日は参議院議員選挙である。世の中は騒がしい。

もう、情報が多すぎて何を聞いて何を聞かないか?

どうやって判断したらいいのか?

僕にはさっぱりわからなかった。

(なお、このコラムは選挙事務所レポートとは直接関係がないので、お急ぎの方は、読み飛ばして頂いても結構です)

僕はかつて神戸に本社を構える会社に勤務する、ごく普通のサラリーマンであった。

神戸生まれ、神戸育ちの僕は、本社採用で正社員となり、名古屋工場の営業課に配属された。

朝8時出社し、夜10時過ぎ、会社借り上げのマンション(家賃や光熱費さえ会社が負担してくれた)に帰る。そんな暮らしだった。寝ている時以外は仕事、という状況である。

会社の同僚とよく言ったものだ。

「平日は忙しく仕事する。土日はゆっくり仕事する」

ほんとうにそうだったのだ。事務処理がたまって、土日、自主的に会社の事務所に行き、書類の束を片付けないと、平日の仕事に支障をきたすのだ。

とうぜん、こんな風だから、目の前の仕事をこなしてゆくことしか眼中にない。

政治のことなど、もとより関心はなく、政治家なんぞ、

「やりたい奴にやらせておけ」と思っていた。

1990年に入社したその会社は福利厚生もよく、給料もそれなりに良かった。

貯金も増えた。ゴルフもやった。

在籍した5年間のあいだに、新車を2台買いかえた。どちらもキャッシュで払った。

それでも貯金通帳には「金」が余っていた。

テレビのニュースなどは見ていたが、全く政治にはなんの関心もない。

選挙にさえ行ったことがなかった。

別に選挙に行かなくても、自分の給料が減ることはない、と思っていた。

実際そうであった。

一度も選挙に行かなくても、驚くべきことに、僕の月給は年々、僅かずつ昇給していたのである。

今の若者から見れば、なんと恵まれた時代なのだ?!と非難を受けるかもしれない。

ただ、そのころの僕といえば、金の使い方さえ、さっぱりよくわからない、幼稚園生も同然だった。

風俗店に入り浸り、居酒屋で同僚と酒を飲み、上司の悪口ばかり言って、うさを晴らす。

人生なんてこんなもんだろうなぁ~。

きっと、こんな風にして俺の一生は終わるんだろうな、と思っていた。

波風さえ自分からたてなければ、何もかも順風満帆に行くように見えた。

だが、1995年、1月7日。

予期せぬことが起きた。

阪神淡路大震災である。

名古屋工場の僕たちは何もすることができなかった。その朝、上司は、僕たちに何も指示を与えなかった。

「普段どうりに仕事しろ」というだけだ。

冗談じゃない。

本社の社屋は阪神高速道路がぶっ倒れた、そのちょうど真北にあるのだ。夜勤の社員もいる。

社員の安否情報が何一つない。そんな中、僕はしかたなく、いつも通り2トントラック(これが営業車なのである)でお得意先廻りに出かけた。その途中、公衆電話を見つけた。

僕は電話ボックスに駆け込み、神戸の実家に電話をかけた。

奇跡的に電話は通じた。

実家は全員無事だった。姉の嫁ぎ先にも電話をかけた。

姉は名古屋から数百キロ離れた電話の向こうで、ただ、泣き崩れていた。

さて、その日の外回りの営業が終わり、僕は工場の事務所に帰ってきた。

事務所に入ったとき、

僕はこの時の光景を生涯忘れないだろう。

部屋の奥のデスクで、工場長と営業部長が向き合って座っていた。

二人とも前かがみになり、頭を抱え込んでいる。

そして工場長が、唸るようにつぶやいた。

「ああ~、部品の納期が~!!」

神戸と隣の明石市にある本社工場二つが壊滅し、得意先へ納める部品の納期の目処が立たないのだ。

そのシワ寄せが、名古屋工場にも直撃したのである。

社員の安否はまだ何も情報がない。

生きているのか、死んでいるのかわからない。

人の命より、部品の納期が大事。

「この会社にいては、僕はダメになる」

このときハッキリそうおもった。

初めて僕は、いままでの長い「夢うつつ」から、目が覚めたような気がした。


僕が『天見谷行人』を名乗るまで

僕が『天見谷行人』を名乗るまで

 

この1年後、僕は住宅業界へ転職するのだが、そのいきさつは拙著「たったひとりのアポロ13」をお読みいただければ幸いである。

かつて消費税3%の時代があった。そして5%に消費税を上げたとき、最も被害を被った人たちがいる。

ぼくもその一人だった。

そのとき僕はすでに転職し、大手建材メーカーの住宅部門に勤務していた。

注文住宅を売る、営業マンである。

消費増税前の駆け込み需要が一段落すると、客はパッタリと途絶えた。

住宅展示場に閑古鳥が鳴いた。

家はさっぱり売れなくなった。

管理職からは

「死んでも売ってこい!!」という、虚しい檄(げき)が飛ぶばかり。

勤続数十年のベテラン営業マンでさえ「こんなことは経験したことがない」と嘆いた。

そして営業不振で僕は会社をクビになった。

やがて僕はうつ病を発症した。

一人で住んでいた3LDKを引き払い(贅沢でしょ)格安の学生向けワンルームマンションに引っ越した。

車も売払い、携帯電話さえ解約した。

貯金は底をつき、まさに絵に描いたように、坂を転げ落ちる「転落人生」を送ることになる。

ついにもう「これ以下の生活はない」という状況になったとき、僕はようやく世の中に対して目を見開くことができた、と今では思う。

政治や経済というものの「ミスリード」は、社会で最も弱いものが、最も被害を受けるのだ、ということを、わが身を持って実体験した。

「世の中を知る」ということ。自分の目で世の中を見つめるということ。

それはいろんなリスクを背負う。

僕のように「高い授業料」を払う場合もあるだろう。

だけど、会社の中のことだけ知っていればいい、後のことは全部、頰被りして、

「見ざる、言わざる、聴かざる」を決め込むのか?

それは「人として」どう生きるのか? という問題でもある、と僕は思う。

その自分なりの回答として、僕は自らのペンネームで回答したつもりだ。

「転落人生」「これ以下の生活はない」

まさに谷底のような人生である。

そのような「谷」の底にあっても「天」を「見」あげて「人」として「行」く。

そうして僕は自分のペンネームを

「天見谷行人」(アマミヤユキト)に決めた。

長い紆余曲折の末にたどり着いた、僕の今までの「全人生」を象徴するペンネームである。

その「天見谷行人」が、この国の行方を大きく左右する、今回の参院選をレポートする。

いま、谷底にいる99%の人たちの気持ちに寄り添って、僕は記事を書くつもりだ。


取材初日7月4日 自民党 

取材初日 7月4日(月) 晴れ 神戸の最高気温 33,1℃

①自由民主党 末松信介候補選挙事務所

末松信介候補HP

取材初日。

トップバッターは自由民主党。

末松信介候補の選挙事務所に向かった。

事務所は神戸の中心地。JR三ノ宮駅を出て、すぐ目の前にある。

大通りを隔てて東側には「そごう百貨店」がみえる。

事務所を構えるには、神戸としては「これ以上ない」というまさに、最高ランクの立地条件であろう。

「こんなところに取材に行くのかぁ~」

「敷居が高いなぁ~」

ああ、やめときゃよかった、なんてボヤいても、もう遅い。

天見谷行人、56年生きてきて、生まれて初めて、選挙事務所に足をふみ入れるのである。

やはり、緊張する。

何を質問しようか? そういえば、そんなことすら考えてなかったな~、うわぁ~、どうしよう。

不安でいっぱいになる。

しかし、選挙事務所巡りをやるのは、もう決めたことだ。

それこそ、バンジージャンプを跳ぶような心境で、選挙事務所に飛び込んだ。

「こんにちわ」と挨拶して中に入ると、お揃いのポロシャツを着たスタッフ二人が、にこやかに出迎えてくれた。

二十代と思われる青年と、もう一人は中年の女性である。どちらも笑顔で応対してくれる。

「こちらの受付のみなさんは、ボランティアなんですか?」

「ええ、我々はそうですよ」

僕の方もスタッフさんの、にこやかな顔を見て、ちょっと緊張が解けてくる。

ここで取材の趣旨を説明した。

「いままで、選挙に行ったこともないし、政治にはなんの関心もなかった『ど素人』が、いきなり選挙事務所に行ってみたら”こんな感じだった”という、まあ、いってみれば、その場の空気っていうんですかね、そういう雰囲気を、僕の独断と偏見で申し訳ないんですが、文章を書いて、ルポにしてみたいんです」

すると、青年の方は「こいつ、ちょっと怪しいやつかも?」

と、やや警戒感を出していたが、中年女性の方は、相変わらずにこやかである。

「なんでも聞いてちょうだい」と肝が据わった感じ。

僕の方もちょっと、事務所内を観察する余裕が出てきた。

とにかく部屋中に「必勝!」「必勝!」のポスターだらけ。

見事に美しい胡蝶蘭が3鉢ほど並べられており、華やかさ満開。きっと値段高いんだろうな、この花。

いつも思うけど、こんな高価な花を買って、選挙事務所に贈る人や企業団体がある。

その一方、今日の子どもたちの食費をどうしようか、と途方に暮れている母子家庭もある。

 

事務所に入って左の壁には、見えるところすべて、天井までびっしりと「推薦状」というものが貼られている。

それを見て、中学校の「卒業証書」をおもいだした。

それが、何十枚も壁一面に貼ってあるような感じ、とご想像いただければよろしい。

この「推薦状」というのは、一体なんなのか?

なんの効力があるのか?

どうやら企業や団体が発行しているようだ。

それに目立つのは

「祈 必勝!」と書かれた白い大きなポスターである。

これがまた、何枚も、何枚も部屋中に貼ってある。

きっと、いろんなところに影響力があるんだろうな、と思う。

また、その影響力の大きさを誇示したい、という選挙陣営の気合も感じる。

事務所内を珍しそうに僕が眺めていると、ビジネススーツを着た二人の男性が事務所に入ってきて、親しげにスタッフに挨拶している。応援している企業・団体の人たちなのだろうか?

僕は、末松信介候補選挙事務所、その桁外れの資金力と影響力が醸し出す雰囲気の毒気に、ただただ圧倒され、もう気分的にノックアウト。

インタビューする気力さえ失いかけていた。

最後にひとつだけ、スタッフさんに質問。

「あのぅ~、いきなり、こんなこと聞いてなんですけど、ここの事務所の賃料って、おいくらなんですか?」

女性スタッフは「ちょっと待っててくださいね」と言って事務所の奥に入っていった。

奥には、選挙スタッフの幹部がいるのだろう。しばらくして女性が戻ってきた。

相変わらず、にこやかな顔で

「すいません、こちらでは、ちょっと分かりかねる、ということですので……」とのこと。

最後に

「事務所内の写真を撮ってもいいですか?」と聞くとOKを頂いた。

iPhoneで写真を撮り、お礼を言って事務所を出た。

ああ、勉強不足もほどがある、と深く反省。

さて、本日はもう1件、次の取材先に向かう。

末松信介候補選挙事務所開きのご案内

*****

②幸福実現党 みなと侑子候補選挙事務所

 みなと侑子公式ブログ

みなと侑子候補のブログを見て、JR元町駅すぐ近くに選挙事務所開きをした、という記事を見た。

末松信介候補選挙事務所のある、三ノ宮駅からはJRで一駅西側である。

先日から、耳の病気のため抗生物質を飲んでいる。

その影響か、体がだるい。しかも先月は周期的にやってくる鬱状態で、約3週間ほど引きこもっていた。

1日最大の遠出は歩いて3分のコンビニ。外出は1日一回程度。

それ以外は部屋に引きこもって、横になっている状態。

そのため、足が弱っている。

足を引きずるようにして三ノ宮から、元町まで15分ほどかけて、ゆっくり歩く。

暑い。

この日の最高気温は 33,1℃である。

こんななか、立候補者たちは、選挙戦を駆けずり廻るのだ。

やはり、心身ともにタフでないと、選挙には立候補すらできないだろう。

さて、元町駅南東側に着いたが、みなと侑子候補選挙事務所はどこにも見当たらない。

元町駅西側まで足を引きずって歩く。

ない。

事務所がどこにも見当たらない。

そもそも、選挙事務所の住所が、ブログを見ても、書いていないのだ。

僕は呆れるほどに方向音痴である。

そのため、新しい場所へ行くには、いつもiPhoneにその住所を登録しておく。

そして、地図アプリを見ながら、まさに「人間カーナビ」状態で目的地までゆくのである。

しかし、みなと侑子候補の事務所住所がわからないので「人間カーナビ」も使えない。

暑い、足はひきずる。しんどい。

やむなく、本日の取材はこれにて終了。

とにかく帰って、明日の準備をしっかりやっておこう。


取材二日目 7月5日おおさか維新の会、民進党、公明党

取材二日目 7月5日(火) 晴れ 神戸の最高気温33,4℃

①おおさか維新の会 片山大介候補選挙事務所

 片山大介候補HP

昨日の反省も踏まえて、今日は効率的に取材することにした。

神戸市営地下鉄の県庁前駅を下車して、北へ向かって歩く。

昨日の夜、僕のiPhoneに、各候補者選挙事務所の住所を登録しておいた。

地図アプリをON。

さあ、これから「人間カーナビ」状態にして、片山候補の選挙事務所に向かう。

すると見えてきたのは、なんと自由民主党の大きな看板である。

その少し先にいった、別のビルの一階が、片山大介候補の選挙事務所である。

「こんにちわ、失礼しま~す」と事務所内に入る。

事務所入り口には胡蝶蘭が二つ。

こちらにも、部屋中に

「祈 必勝!」の張り紙がベタベタ貼ってある。

受付は中年男性一名のみ。

「はい、なんでしょうか?」とたずねられたので、各選挙事務所を取材して回っていることを話しする。

すると、受付の男性に、やや身構えるような緊張感が走ったのを僕は感じた。

「こちらの事務所のスタッフの皆さんは、ボランティアさんですか?」と質問。

「ええ、専属スタッフもいますが、ほとんどはボランティアですね。みんな手弁当でやってます」とのこと。

やがて、奥のパーテーションから、黒いTシャツを着た、がっちりした体格の男性が出てきた。

髪は短く刈り込んでいる。ラグビーか柔道でもやっていそうな、体育会系の雰囲気の人である。

この人が事務所の主要なスタッフのひとりであるらしいことは、なんとなく分かった。

昨日の末松事務所の推薦状が印象的だったが、この事務所にはそういったものは貼られていない。

「あのう、推薦状っていうのは、団体さんとか、個人の方でも出せるんですかね?」と問い合わせると

「いや、ウチは推薦状は一切もらってません!」とキッパリ言い放った。

そこで僕は

「実は昨日、末松さんの事務所を拝見してきたのですが、実にたくさんの推薦状が貼られてありまして……」

と末松氏のことを切り出すと、とたんに男性は不機嫌そうな顔をした。

「末松さんのことは知りませんけど、ウチは推薦状は一切いただかないんです」

そして真剣な眼差しで

「選挙は『貰うもの』ではなく、『勝ち取るもの』だ、ということです」

おおっ!! これは見事な決めゼリフだなぁ~。と感心する。

写真を撮っていいかと尋ねると、室内はご遠慮ください、とのこと。取材のお礼を言い、事務所の外観を撮影。

次の選挙事務所に向かう。

 

② 民進党 みずおか俊一候補選挙事務所

 みずおか俊一候補HP

次に向かったのは、民進党の、みずおか俊一氏の選挙事務所である。神戸市営地下鉄、県庁前駅、東出口から東へ450メートルほど行ったところに選挙事務所はある。

事務所に入って、出迎えてくれたのは、半袖ポロシャツを着た中年の女性である。この女性に取材許可を頂き、話を聞く。

この時、結婚式場で書かされるような「芳名帳」(ゲストブックともいうらしい)に署名を求められる。

特に問題ないと思い、住所、本名、及びペンネームを記入する。お昼時であったためか、事務所内は他に誰もいない様子である。

この事務所は、ボランティア5名ほどで運営されているそうだ。

僕が神戸市西区在住だと言うと、スタッフの女性は

「あら、うれしい!『みずおか』本人も、西区に住んでいるんですよ」と言ってくれる。

みずおか候補は、もともと兵庫県豊岡市生まれ、であるとのこと。事務所は東京、豊岡、そして神戸の3カ所。

この選挙事務所内を見ると、やはり各団体からの推薦状が貼られている。

それに、兵庫県知事の井戸氏、神戸市長の久元氏から贈られた、「必勝ポスター」が貼られてある。

兵庫県知事 井戸氏のプロフィール

 

神戸市長 久元氏のプロフィール

ここで、この女性から、

「このポスターは『檄』(げき)と言うんですよ。『檄を飛ばす』っていうでしょう。あの『檄』ですね」と教えてもらった。

そういえば、三島由紀夫が割腹自殺したときに、当時の自衛隊市ヶ谷駐屯地の建物に、垂れ幕を吊るして訴えたのが、確か「檄文」だったと記憶している。

三島由紀夫という、日本文学史上、綺羅星のような才能を持った「大スター作家」生涯最後の文章であったと記憶している。

まさにその檄文の『檄』なのだ。

必勝のポスターを見ながら「へぇ~」と、なんだか感慨にふけってしまった。

ここで最近の若い人たちの様子を聞いてみた。

そうすると女性は、

「みずおか候補のFacebookで”いいね”を押してくれた女子高生が『ぜひお手伝いしたい!』とわざわざこの選挙事務所まで、来てくれたんですよ」というエピソードを話してくれた。

今回の選挙は、若い層にも関心が広まっているのを感じている、とのことであった。

事務所に置いてあるパンフレット等をもらう。

この際「手提げ袋は要りますか?」と言ってくれた。

しかしなぁ~。

選挙事務所や、政党の名前の入った紙袋は、やばいよなぁ~と思った。

それで「いえいえ、お構いなく」と僕が言うと、女性は100円ショップで売っているような、チェック柄の紙袋を1つくれた。もちろん、政党名はない。

それにパンフレットを入れて持ち帰ることにした。

「紙袋貰ってしまったぞぉ~?」

「これって、いわゆる利益供与にならないのかなあ~?」などと妄想してみる。

そのうちに、白シャツ黒ズボンの男性スタッフ一名が帰ってきた。手には弁当をぶら下げている。

僕が受付の女性と選挙事務所について話をしていたら、男性が声をかけてくれた。

「ここは、今日は『選挙事務所』の扱いには、なっていないんですね。看板が移動しますのでね」

「はぁ、そうですか、ありがとうございます」と返事はしたものの、何のことやらよくわからない。

ここは、選挙事務所であって選挙事務所ではないらしいのだ。

今日は「後援会事務所」と言う扱いになるそうである。

「看板」てなんだろうか? それも、よくわからない。

まったく、引っ込み思案で、臆病者の僕は、インタビュアーとして失格であるが、このよくわからない用語については、次の取材先で明らかとなる。

 

③ 公明党 伊藤たかえ選挙事務所

  伊藤たかえ候補HP

  本日3件目の取材。

地下鉄三ノ宮駅東出口を北に向かって歩く。歩いて5分ほどで、伊藤たかえ候補の選挙事務所に到着。

選挙事務所内に入ると、スーツを着た女性3人が

「いらっしゃいませー」と、にこやかにお出迎えしてくれた。

そして、お茶とおしぼりを進めてくれる。

おお、こんなこと、今までの取材で初めて。

取材の件はOK。

この選挙事務所の、副事務長さんが奥から出てこられた。

名刺を交換する。

まずは質問。

「こちらにいる皆さんは、全員、創価学会会員ですか?」

すると

「スタッフの8割は創価学会の会員です。ただし残りの2割ほどは、個人的に伊藤たかえを応援している人たちなんです」とのこと。

「まあ、立ち話しもなんですから、どうぞお掛けになってください」と椅子を勧められる。

テーブルを挟んで座って話を聞く。テーブルの上には、お茶菓子やキャンデーの入ったバスケットが置かれている。

こちらの取材の趣旨に好意を持ってくれたのか、副事務長さんは、終始、穏やかな笑みを見せている。

室内写真もオッケー。

これは今までの取材で初めての事。

副事務長さんは鹿児島出身の方である。

選挙事務所については、表に貼ってある「白いプラスチックのプレート」がとても重要なのだ、と教えてくれた。

また選挙事務所は兵庫県内に、3箇所、開設可能とのこと。

ただし「選挙事務所」と公言できるのは、このプレートを貼り付けている所だけである。

だからプレートを、それこそ「後生大事に」抱えて、県内の事務所を移動するのだそうである。

へぇ~、そうなんだ。

事務所経費について質問してみた。

かかった経費については、2週間後に選挙管理委員会に収支報告書を出す、とのこと。

今回の投票は7月10日に行われるので、7月25日(月)には、県庁の選挙管理委員会で、選挙事務所の経費は閲覧できると教えてくれた。

その費用はどこの財布から出ているのか?

この際だ。

突っ込んで聞いてみる。

それについての答えは、

「公明党本部からの場合もあるし、また資金カンパなどの場合もあります。政党ごとにお金の出所は違うでしょうね」との事。

末松信介候補の事務所へ、取材に行ったことをお話しすると、

副事務長さんは、

「わたしね、かつて末松さんのお仕事も、手伝っていたことがあるんですよ」

とびっくり発言。

ここでちょっとした時事問題に触れてみる。

例えば貧困で困っている方、生活保護の申請の仕方すら知らないお年寄り、シングルマザーの方など、生活弱者も増えているように思う。

そういった問題についてはどのようにお考えか? と聞いてみた。

「そういう問題こそ、公明党、創価学会が最も取り組んでいるのです」とおっしゃる。

創価学会では、横のネットワーク、横のつながりがとても強いとのこと。

常に連絡を取り合っているから、困っている人、弱っている人を見つければ、すぐに「助け舟を出す」という仕組みができている、とのことである。

「それこそが、創価学会が創価学会である所以です」と、ちょっと誇らしげであった。

ここで、改めて事務所内を見る。

ここにも必勝のポスターが貼ってある。

あれ? 兵庫県知事、神戸市長からの「祈 必勝!」の「檄」ポスターが貼ってあるぞ。

民進党と公明党は、いまライバル関係なのでは? 

「実は先ほど、民進党さんに取材に行ってきたんですよ。そこにも兵庫県知事と、神戸市長からの必勝ポスターが貼ってありましたけど? これってどういうことなんですか?」

「ははは、そうですか、民進党さんに行かれましたか。いえね、兵庫県知事さんと神戸市長さんは、自民党、公明党、民進党の三つを応援しているんですよ」

う~む、これが選挙や政治の力学というヤツなのかなぁ~、僕にはよくわからないなぁ~、と思った。

最後に今の選挙区制度についてどう思うか、と聞いてみた。

「以前は中選挙区でしたねぇ~。その方が民意を反映しやすい、ということもあったでしょう。しかし多くの少数政党が乱立しすぎた、という弊害もありました。

そして**チルドレンといった候補がたくさん当選して、次の選挙には、あっというまに落選。いなくなりました。

まあ、今の小選挙区では、あなたもおっしゃるとおり『勝ったか、負けたか』の二つに一つです。それぞれの制度に、それぞれの功罪がある、と言ったところでしょうかね」と無難な返答。さすがである。

では、さらに突っ込んで

「いっそ、完全比例代表のみにする、というのはどう思いますか?」と質問。

それについては「なんともいえませんなぁ~」とさすがに言葉を濁した。

この事務所では結局30分以上、話し込んでしまった。

今までで最も長い取材となった。

そして多くの選挙に関する基礎知識を教えてくれた。

快く取材に応じてくれた、副事務長さん、スタッフの皆さんに御礼申し上げたい。

以上で本日の取材終了。



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