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まえがき

私の幼少期、保育園の受け持ちの先生は山が好きだった。
卒園して小学校に通う私たちにこまめに連絡をくれ、御岳山や高尾山に卒園生一同を連れて行ってくれた。先生がその時に履いていたエンジ色の登山靴はなぜか今でも記憶に残っている。
何年か経ち、母が山によく行くようになった時にはすでに私は思春期に入っていた。
家族全員で一緒に行くことはほとんどなかったが、どこの山だか母の記憶にもないというが、私がハイペースで登った影響でバテて歩けなくなった不覚だけははっきりと覚えている。
その後も高尾山へは写真目的で数回行ったことがある。山間の稜線から見える富士山が美しく、今でも好きな場所のひとつだ。
2015年1月、ひとり親として子育てに迷走していた時機もようやく心に余裕が訪れ、ダイエットした成果を検証するべく陣馬山へと向かった。汗びっしょりで登頂した甲斐があり、全方向に雄大に広がる景色を眺め、山の魅力に取り憑かれてしまった。
実はその前にも娘と高尾山に行ったことはあるものの、肥満や運動不足の問題で膝を痛め、今後登山をしようとは思わなかった。
それが今なぜだろう?幼少から山に行く機会を与えられ、潜在的に擦り込まれていたからだろうか。なんとも説明しがたい、疲れるのを承知で山に登っている。
通常の旅行なら、帰宅後に現実の世界に引き戻された不快感があるのに、山行はさっぱりと心の汚れを洗い落としてた感覚で帰ってくるのである。『なんであんなことでイライラしてたんだろ?』と。

今回、電子書籍化するため、今までのブログで書いたものを再編集し、写真を追加して構成しました。
まだまだ初級レベルですが、いつか上級レベルの山行記録をこのように残せることを目標に頑張ります。


2016年7月3日 高橋 啓道


目次

  • 第一章 高尾周辺~大月周辺
    • 陣馬山 減量成功か!?
    • 相模湖_嵐山 雪道で半ベソ
    • 石老山を行く
    • 景信山 ファミリーハイキング
    • 高尾山で同窓会
    • 倉岳山 秋のはじまり
    • 九鬼山 鬼はいねぇか!?
    • 高尾山_なめたらあかん
    • 雪山縦走(高尾山~景信山)
  • 第二章 丹沢山地(神奈川県)
    • 丹沢 ヤビツ峠~大山を行く
    • 表丹沢の眺望 頭高山~震生湖を歩く
    • トレランの女王と日向山(丹沢)を行く
    • 津久井湖城山の急峻
    • 津久井湖城山_体育の日
    • 丹沢_二ノ塔から三ノ塔へ
    • 娘よ、これが天空の世界だ!(鍋割山~塔ノ岳)
    • 娘よ、これが山の神様のご褒美だ!(主脈縦走)
    • 梅雨山行でヒル被害
    • 雨の丹沢 表尾根縦走
  • 第三章 奥多摩
    • 御岳山 ファミリーハイキング
    • 高水三山 「大きな山には登れませんが・・・」
    • 大岳山(奥多摩三山)を行く
    • 雲取山までの道(1)七ツ石小屋まで
    • 雲取山までの道(2)東京都の最高峰へ
  • 第四章 奥武蔵
    • 巾着田の曼珠沙華と日和田山
  • そのほか
    • 鎌倉アルプスを行く
  • コラム
    • 山男 山女
    • 山小屋が好き
    • あとがき

第一章

高尾周辺~大月周辺

 

 

 


陣馬山 減量成功か!?

20150105

きょうは娘の朝ごはんと学童に行くためのお弁当を早々に仕度し終え、陣馬山(標高855m)にアタック。

JR
藤野駅から徒歩で登山口~『一ノ尾尾根コース』~頂上~和田峠~陣馬高原下というトータルで10km強の道のりでした。

今回の主要持ち物は、カメラはコンパクト1台。PETの水と食事のみ。体重が減った分とあわせても従来より十数キロも軽い装備でのアタックです。
積雪・霜柱、ぬかるみによる悪路、行く手を阻む巨大な倒木、大量の落ち葉の堆積でコースが見えない危険などいろいろありましたが、以前のメタボ体形時代と 比較して楽しめる登山となりました。

疲れた事には大差ないですが、この日のために余暇にウォーキングやジョギングしておいて良かった!

でもまだ標高 1000m超えにはほど遠そう・・・


相模湖_嵐山 雪道で半ベソ

20150204

標高405メートル、最寄である相模湖駅はすでに標高200メートル。たった205メートルのハイキング気分で向かった平日のトレーニング。
一ヶ月前に登った陣馬山(855メートル)の半分以下の高さであるため楽勝であろう。しかも当時よりさらに3kg以上体重を絞っている。登山地図でも登山口からわずか30分で山頂に着き、『かながわの景勝50選』にもある嵐山からの相模湖が拝める、理想的だ!
駅から迷うこともなく登山口に着き、観光地とは違いショボい(失礼!)道幅の狭い岩肌の急斜面を登り始める。
が、2~3分もしないうちに路面は雪に覆われ、登山靴だけではこの斜面は非常にきつい!
これはヤバいことになりそうと思いながら、登ってきたコースを見下ろす。
今、ここで下りて諦めるべきか、それとも今回は北側からの入山ルートのため下山する南方の雪解けに期待して登り続けるか、自問自答が足を遅らせる。さらに緊張感で呼吸が荒くなっているのが自分で解った。
そのとき丁度良いタイミングで50代と思わしきおっちゃんが上から下りてきた。
「こんにちは!」山の挨拶をお互いに交わすと、すぐさまおっちゃんは険しい顔で
「スニーカーじゃ危ないよ!」
彼は白いスニーカーで南側から入山したと言う。
確かに私がここまで登ったわずか数分の急斜面は積雪のため下りるのは危険。おっちゃんの話ではここまでのルートは積雪は大したことはなかったという。たしかにスニーカーでここまで来ただけのことはある。その情報で私は登頂することにした。

これまでどんな急斜面でも上りではストックを使うことはしなかったが、ここは無理!まして路面は岩肌が多くストックが滑り、身体の重心が容赦なく崩れる。
あのおっちゃんはよくこんな雪道をスニーカーでしかもストックなしに下りてきたもんだ、と感心しながら日当たりの良い中腹に着く。
私はここまでの間で軽アイゼンを靴に装着する場所を探していた。

これがないと危険と判断したのが正解。その後は比較的安定して間もなく登頂。

想像したほどの絶景とはお世辞にもいえないが、私一人しかいない静まり返った山頂で写真を撮る。
高尾山並みまでではなくとも数人は山頂のベンチで休憩しているのでは?と想像していたが見事期待外れ。この先の情報は入手できない孤独と不安感。
しかし、下山ルートを上から見下ろす限り、積雪はなく下りやすいようだ。
落葉を踏みしめながらゆっくりと南へ。これは北側から来たのは間違えていたな、と後悔しながらどんどん下っていくと・・・

ガーン!また雪道。
しかも肩幅ほどのせまい断崖絶壁や積雪が踏み固められた細い木橋が高所恐怖症の私の行く手を阻む。すでに半ベソ。写真なんか撮ってる余裕なし。いままでの 登山で一番恐い!しかも単独。そんな焦燥感の中で携帯電話をおもむろに取り出すとアンテナ三本!ここで死ぬことはないようだ。
標高が低いとはいえ軽いハイキング気分で出掛けた天罰、「山をナメたらあかん!」の仰せのとおり改心して真剣に下山するのでありました。



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